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礼儀文化も元をたどれば輸入したものがある

江戸時代などの時代劇をみていると、ひれ伏す、というシーンをよく見ると思います。現代でも、事故が起きた時に、遺族の方々に謝罪として手をついてひれ伏すように謝るシーンをたまにみたりします。
 
君主等に対して、ひれ伏して地面近くまで頭を下げるという礼儀は、中国でもあったみたいです。
清王朝(1616年~1912年)において、三跪九叩頭(さんききゅうこうとう)の礼といって、「手を地面につけ、ひたいを地面に打ち付ける」礼を行っていたといいます。
 
一方でヨーロッパでは、歴史上も頭を地面近くまで下げるような礼は聞いたことがないなと思っていたのですが、なんと2300年前からアジアにはひれ伏す礼儀があったのに対して、ヨーロッパではなかったということを先日本を読んでいて知りました。
 
2300年前に、ギリシャから東方に遠征し、ペルシア帝国(今のイランを中心とした大帝国)を滅ぼしたアレクサンドロス大王。
講談社から出ている「アレクサンドロスの征服と神話」という本の中では、アレクサンドロス大王は、征服後、家臣にひれ伏させていたペルシア王にならい、同じように家臣にひれ伏すことを求めるようになったというのです。
 
これに対して、民主政も進み、君主に対してといえどもひれ伏すような文化がなかったギリシャ人達は大変な抵抗を行い、(もちろんそれだけではないですが)一部は反乱にも繋がったといいます。
このことから、アジアの国であったペルシア帝国ではひれ伏す文化があったのに対して、ヨーロッパではそのような文化がなかったことが分かります。
 
後年ペルシアと中国がシルクロードで繋がり、また日本と中国も遣隋使・遣唐使で繋がっていたことを考えると、ひれ伏すという文化も、こうしたペルシア帝国から中国経由で日本に伝わったものなのかもしれません(これは想像の域を超えませんが)。
 
昔と違ってひれ伏すなんてことは滅多にありませんが、その他の礼儀のやり方とかも実は海外から流入したということは結構あると思います。そうした礼儀の歴史も、歴史の見方の一つとして興味深いものです。

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