教え込むこと以上にリーダーの率先垂範が大事

子曰く「民はこれによらしむべし。これを知らしむべからず。」(論語 泰伯第八)
(先生がいわれた。「一般の人民は、行うべき道について、したがわせることができるが、一つ一つ理由を理解させることは難しい(感化するのがよい)」)
 
論語の中でも、論争が多く、また誤解も多いと思う一文です。訳も、上記は斎藤孝先生の訳を記載しましたが、私自身、この訳がベストなのかなと(斎藤先生には恐縮ですが)感じるところです。
 
この一文は、ともすれば孔子が一般の人間を下に見下していたように取られることもある一文です。確かに、私も初めてこの一文に接した時は、少なくない抵抗を感じたものです。
 
しかし、歳を経るごとにこの一文に対する印象は大きく変わってきました。
これは私の感じ方にはなりますが、この一文は、「リーダーたるものが範をみせ、それに従わせる、寄り添わせるようにしなさい。そうする方が口でガミガミ伝えるよりもよっぽど説得力があるし、一般の人もちゃんと変わるものです。」、ということを言われているのでは、という気がするのです。
 
実際、リーダーが率先して範を示していないのに、口でどうこう教えたところで、人は変わらないものです。それよりも、リーダーが率先して範を示す方が、よっぽど下の人が育つことを見てきましたし、自分自身も実感することがあります。
 
もちろん全く教えないというのも実際には難しいことは多々ありますが、その際も率先垂範の裏付けがあってこそ説得力があるのだと思います。

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