歴史上の人物たちに共通していること
執筆活動の中で、安田善次郎を描いてみました。歴史上の人物の中では認知度が低いため、知らない方も多いかもしれません。
安田善次郎は、明治時代から大正時代にかけての実業家で、金融業を中心に事業展開をしていました。みずほ銀行の前身の一つである富士銀行(戦前は安田銀行)の他、現在の明治安田生命、損害保険ジャパンの前身や東京建物を創った人物です。多方面への寄付も行っており、東京大学の安田講堂は安田善次郎の寄付によりつくられたものです。
安田善次郎の生涯は知れば知るほど興味深いのですが、その根幹は彼が独立した時に立てた3つの誓い「三条の誓い」に集約されているように感じます。その3つとは次のようなものです。
①独立独行、他人の力を当てにしない
②嘘は言わない、誘惑に負けない
③支出は収入の十分の八にとどめ、残りは貯蓄する
安田善次郎は83年の生涯を閉じるまで、徹底してこの3条を実践しました。詳細は割愛してその一片だけご紹介すると、毎朝4時から起き、近隣の掃除からはじめて終日一生懸命仕事をするのはもちろんのこと、誘惑に負けないように好きだった酒や煙草も独立してから辞めています。支出も徹底して抑え、汽車の一等車も一度しか乗っていないと伝わっています。
これだけでも大変ストイックに仕事に打ち込み続けた生涯が伺えます。
今年、少し機会を頂き、多くの歴史上の人物達を描いているのですが、そのなかで痛感するのは、安田善次郎に限らず、歴史になにかしらの足跡を残している人物たちはもれなく大変勤勉です。もちろん才覚や工夫も必要な要素です。しかし、勤勉なくして偉業をなした人はいないと思います。
その思いから現代を振り返ったとき、時代の変化の中で、勤勉が大事という空気が薄れていないかは懸念されるところです。
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