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なぜ堕落を自覚しても、改まらないのか

「神を侮辱し、かつまた国民のひんしゅくを買ったことのゆるしをこう。かりに健康を取り戻すことができれば、悔い改め、宗教の支えとなり、国民を助けるよう努める。」
 
ここ最近で歴史の本を読んでいたなかで、これほど衝撃だった言葉はありません。
フランス国王だったルイ15世(1710~1774年)が死去する直前に、国王の伝言として人々に伝えられたものです。
 
このルイ15世、世界史のなかでは前代でベルサイユ宮殿を作ったルイ14世や、フランス革命時の国王だったルイ16世ほど有名ではないのですが、私はルイ15世こそフランス革命を引き起こした、「亡国の国王」だったと考えています。
はっきり言えば、「ダメ国王」だったのです。
 
どのように「ダメ国王」だったかというと、女性関係に没頭してしまい、主体的に政治をリードすることがなかったのです。罪深い身に悩んだ?ためか、神聖な儀式を取りやめたりして、国王の権威も落としていきました。
挙句の果てには、愛人の一人(ポンパデゥール夫人)を実質的な宰相(現在の首相)にして政治を任してしまう始末。
ポンパデゥール夫人のもとで進められた戦争により、フランスは莫大な戦費を費やしたうえにイギリスに大敗し、北アメリカやインドなど、多くの植民地を失っています。
 
そんなとっても「ダメ国王」だったルイ15世が、死の間際に国民に伝えたのが冒頭の言葉なのです。もしかしたら、国民の怒りを鎮めるために、国王の側近が勝手に国王の言葉として伝えた可能性もあります。
しかし、もし本当に国王本人だったとしたら、本人も自分が「ダメ国王」だったことを自覚していたということでしょう。実際、生前にもその自覚を感じるエピソードがありますので、真に国王自身の伝言だったのかもしれません。
 
自分が「ダメ国王」だと自覚していても、その生涯において改めることはできなかった、ということでしょうか。
人間は一度堕落してしまうと、その堕落を自覚していてもなかなか改まることは難しいのか。
もちろん、改まる人もいるでしょう。そのように改まる人と、ルイ15世のように改まらないまま、ゆるしをこいながら亡くなる人の差は何なのか。
現代にも通じることであり、もっと深掘りしてみたい歴史です。

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