恐怖支配がなぜ成長を止めるのか
世の中には、恐怖で組織を支配しようとするリーダーもいます。こうしたリーダーがいる組織では、メンバーは「リーダーから怒られたくない」という気持ちが強くなり、組織活動に励むことが起きえます。
時に、こうした組織のリーダーが卓越している場合には、組織は一定程度までの成長を実現することがあります。しかし、こうした組織は同時に、一定時点までいくと成長が止まることも多々あります。
なぜか。リーダーがいかに卓越している場合でも、万能ではありません。特にリーダーが成功体験に囚われている場合、成功時から環境が変化した場合にも自身は変化できず、誤った判断をすることもあります。
その時に組織のメンバーが主体的に考え、そうした誤りを正し、適切に変化してくれるのであればまだよいと思います。しかし、「リーダーから怒られたくない」という気持ちで日々を取組んできたメンバーは、リーダーの言う事に従うことこそあれ、それを正すという事には踏み込めないどころか、思いもつかないことさえあります。
結果、組織として過去の成功体験に囚われ、環境変化に適応できない為、成長が止まってしまうことも多々あるのです。
ちなみに、こうしたリーダーは時に自身のことを織田信長タイプのように例えることがあります。しかし、私は、大概のこうしたリーダーは、信長とは似て非なるものだと思います。
信長は、確かに恐怖で部下を支配する面は否定できなかったですし、特に晩年はその傾向が著しかったと思います。
しかし、同時に自分で考えない部下も極めて嫌い、むしろ外部から採用した思考力・実行力の高い人材を活用しました。
そうした人材の一人である明智光秀は、信長の恐怖支配を嫌い、本能寺の変で信長を滅亡させました。また、そうした人材のもう一人である豊臣秀吉は、信長の志をついで天下を統一させたのです。
信長は確かに恐怖支配タイプでしたが、同時に部下自身が自身で考え、実行することを望みました。そうしたスタイルが、信長を天下統一の一歩手前まで導くとともに、信長を滅亡に導いたのです。
卓越したリーダーが恐怖支配で、ひたすらメンバーがその指示に従ってくれるというのは、一面推進力がある時期があるかもしれません。しかし、そのようなスタイルは、信長よりもはるかに手前の地点で、成長が止まるように思います。
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