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仕事に活かせる中国古典

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数千年の風雪に耐え、今なお世界中で評価されている中国古典。現代を生きる私達が「よい仕事」を取組むにあたり、どのような中国古典の教えが活きるのかご紹介できればと思います。
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#孫子

孫子から考える、危機感、緊張感がない理由

こんな人は周りにいないでしょうか。このままでは大変厳しい状況になるのに、のんびりしている。計画を立てて、実行しないといけないのに、計画を立てない。一緒に計画を立てても、時間が経って「あの計画やっている?」と聞いたら、「まだやっていない」と涼しい顔。 こんな光景に出くわすと、「孫子」の次のような一節を思い出すのです。 「孫子いわく、兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。故にこれをはかるに五事をもってし、これをくらぶるに計をもってして、その情をも

逃げるは恥でもなく、役に立つ

こんなことはありませんか。自分と比較してあまりにも大きなライバルと戦い、その結果として価格競争などに陥り、疲弊するということが。 そんな時には、中国の昔の兵法書「孫子」のこんな一節を思い出して欲しいのです。 「故に用兵の法は、十なればすなわち之を囲み、五なればすなわち之を攻め、倍すればすなわち之を分かち、敵すればすなわちよく之と戦い、少なければすなわちよく之を逃れ、しかざればすなわちよく之を避く」(「孫子」) (兵力運用の法則は、自軍の兵力が敵の十倍であれば、敵を