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仕事に活かせる中国古典

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数千年の風雪に耐え、今なお世界中で評価されている中国古典。現代を生きる私達が「よい仕事」を取組むにあたり、どのような中国古典の教えが活きるのかご紹介できればと思います。
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2022年3月の記事一覧

豊かな社会の荒廃よりも、貧しい社会の荒廃の方が問題

SDGsの第一目標に「貧困をなくそう」が掲げられていますが、論語の中にこんな一節があります。 「貧しくて怨む(うらむ)無きは難く、冨みて驕る(おごる)無きは易し」 (貧しくて生活が苦しいときは、人や運命をうらまないのは難しい。しかし、金持ちでいばらいのは、比較的易しい。) 人は貧しい状態が続くと、情けない気持ちになり、他人や運命を怨みやすくなる、というものです。 実際、無差別殺人等、悲しい事件の背景に貧困が背景にあることも少なくありません。親子の心中なども経済的理由が

本当に思い悩むべきこと

次のような論語の一節があります。 「人の己(おのれ)を知らざるをうれえず、その不能をうれうるなり」 (人が自分の能力を知ってくれないことを不満に思うより、自分が力量不足であることを心配しなさい。) 人間の欲求の一つとして、自分が能力があることを認めて欲しいという欲求はあると思います。マズローの5段階欲求論というのがありますが、その中で承認欲求が4つ目としてあがっているほどです。 私も仕事上で自分が認められたいという欲求はどこかにあります。そうした欲求は大事なことだとも思