【認知的不協和理論】と『行動依存症』の関係~【認知の歪み】が起きる『脳』の仕組み~

『依存症』とは?

心身の健康や、生活を脅かしているにも関わらず
特定の物質や行動を「やめたくてもやめられない」状態

脳内に報酬(ごほうび)を求める“回路”ができあがり
脳の思考や創造性を担う部位(前頭前野)の機能が低下し
自分の意思(理性)で行動(本能)の暴走をコントロールできなくなる
『脳の病気』

*「依存」を大きく2つに分類すると

アルコール・ニコチン・薬物などに関連する「物質系」の依存と
ギャンブルなどの行動や“習慣”に関連する「非物質系」の依存がある

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*依存症の『心理学的な特徴』として

①異常な執着
 大量・長時間・長期間にわたって依存対象に異常に執着し
 日常生活に支障をきたす

 ②否認
 依存症は《否認の病気》ともいわれ
 自分が病気だと認識できない

 自分が置かれている状況や問題を認識できず

 「自分は正常。いつでもやめられる」
 「✕✕は自分よりもっと酷い」など

 事実を認めず
 自分の行動を“正当化”しようとする

 時にはそういった症状が原因で他者に対して攻撃的になり
 暴言や暴力を振るう

③衝動性
 「将来よくない結果をもたらす可能性があるにもかかわらず
 目前の欲求を満たすために手っ取り早い行動を行ってしまう特性」

 喫煙に対する依存では、喫煙を注意された者
 携帯電話に対する依存では、通話を注意された者など

 自分に落ち度があるにもかかわらず
 依存行為を阻止されたことにより起こる
 “短絡的・衝動的”な暴力事件がしばしば起こる

④行為の強化
 報酬による行為の強化には「行為A」のあとに必ず「報酬B」が
 与えられる“定型的強化”

 「行為A」のあと気まぐれに「報酬B」が
 与えられる“間欠的強化”があり

 “間欠的強化”のほうが「行為A」への執着が高まることが知られており
 これは《ギャンブル依存症》発症の機序のひとつとされる

*依存症になる要因として

現実生活の中で何らかの苦痛や困難に遭遇し
一時的な逃避の手段として依存したり

またコンプレックスや“生きづらさ”を抱える中で
その弱点を解消とする手段として依存する中で

『報酬系の回路』が出来上がり
理性の抑制機能が麻痺してしてしまい
「やめたくてもやめられなくなる 」

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依存症の正当化→【認知の歪み】

報酬系の回路が出来上がると
その行動(依存)を正当化するために認知を改変する→「認知の歪み」

いじめ・体罰・虐待・暴言・失言・煽り運転・窃盗・痴漢・差別・
パワハラ・クレーマー・ストーカー・ヘイト・ネット荒らし⋯

凝り固まった報酬系の思考回路(価値観・思い込み・妄想)の中で
何度も同じ行動(犯罪)を繰り返す

自分の行動を正当化しようとする余り
冷静に状況を把握し
相手の立場になって考えることができない

批判や反対意見に対して
「侮辱された、バカにされた、存在(選択・行動・価値観)を否定された」
と感じ、執拗に粘着攻撃する

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『依存症』になる脳の仕組み

*具体的に『依存症』になると脳はどうなっているのか?

ギャンブル依存症患者は[背外側前頭前野]と[内側前頭前野]の結合が弱く
状況を理解し柔軟にリスクに対する態度を切り替える能力に障害があることが分かりました

ギャンブル依存症の神経メカニズム /前頭葉の一部の活動や結合の低下でリスクの取り方の柔軟性に障害/京都大学
脳の活性化部位を観察した結果
喫煙欲求の強さに関わる部位として[前頭前野の腹内側部]を
喫煙可能状況に応じて喫煙欲求を促進する部位として[前頭前野の背外側面]を見いだした

煙草を吸いたい気持ちを自己制御する2つの脳部位を発見/薬物依存の発症メカニズム解明に期待/理研
行動依存症では“前頭前皮質の活動による確率判断の障害”が関連し
依存行動時の社会的リスクの高い行動をとることが
どのような結果につながるかを認識できず
依存行動の抑制ができていないと考えられる

行動依存症の認知特性を解明/なぜ行動依存症はリスクを犯すのか/京都大学
[前部帯状回-線条体]の機能的結合強度が“弱い”ほど
[線条体]におけるドーパミン受容体密度が“低く”
『ドーパミン放出量』が“多く”なり
『優越の錯覚』は強くなる

「自分は平均より優れている」と思う心の錯覚はなぜ生じるのか/脳内の生物学的仕組みを世界で初めて発見/科学技術振興機構

参考)【認知的不協和】と脳の関係↓

過去に自分のとった行動が実際の好みに影響を
与えることを明らかにすると同時に

この【認知的不協和】による好みの変化に
[帯状回前部]や[前頭前野背外側部]という
脳部位が重要な役割を果たしていることを明らかにした

「すっぱいブドウ」は本当か?/脳科学研究所/玉川学園

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↑上のことから言えるのは
『依存症』は

①「脳の前頭前野(理性)の働きによる抑制機能が低下し
本能(感情・欲望)の膨張・暴走を制御コントロール出来なくなっている」

②「冷静に自分が置かれている状況を把握・認識し
柔軟に困難や障害やリスクに対する態度を切り替える能力が衰弱している」
と言える。と同時に、そういう人ほど
③「自分は正しい。優れている。間違がわない」という
『優越の錯覚』が強い傾向がある
逆に
④反対の「選択・行動・価値観」や批判を尊重できず
「否定される・バカにされている」という被害妄想から攻撃的になる

その原因として最近、注目されているのが

「不適切な養育=マルトリートメント」が子どもの脳に深刻なダメージを
与えことが脳科学の画像診断で明らかになって来ている

 「研究グループが健常な子どものグループと愛着障害と診断された子どものグループで脳の活動度を比較したところ、愛着障害グループでは『線条体』という部分の働きが極端に落ちていることが明らかになりました」
【NHK健康】【特集】“子どもの脳”を守れ 脳科学が子育てを変える/NHK

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『愛着障害』で脳に傷を負うと[脳の抑制機能]が成長できず
本能(感情・欲望)の暴走をコントロールできず

困難にぶち当たったときの切り替え能力が麻痺し
生きる選択肢が狭まり

ストレス・不安・恐怖・不全感が増大し
それをを解消しようと攻撃的になり

依存症や精神疾患や
自殺や凶悪犯罪(=社会的自殺)に走りやすくなると考えられる

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『依存症』と『御用学者』

「生きづらさ」や「不安・恐怖」が増大する中で
自分の存在を正当化し「認められたい」という思いが強いほど

自分の行動・選択・依存を絶対化し
正義だと思い込み

逆に
反対の行動・選択をする人を悪だと思い込む

そうして

善悪二元論
全か無か思考
0か100か思考

その価値観=『報酬系の思考回路』の中でしか世の中を見られなくなる

 
そこでは客観的・多角的視点で
冷静で柔軟で深い思考が出来なくなり

衝動的・短絡的な思考しかできなくなる

その中から御用学者やネトウヨが生まれる

「自分が不幸なのは✕✕のせい。失敗は○○のせい」
「批判者は△△と考えているに違いない」

権力者・企業・組織・利権を守るために批判者や被害者を攻撃・誹謗中傷する

「水俣病は貧乏人が腐った魚を食べていたため」
「金が欲しくて嘘を言っている」
「原発は絶対に安全。電源喪失はありえない」
「沖縄の基地反対運動は中国に操られている」

「自分は正義↔反対者は邪悪・操られている」
そこでは反対の価値観を理解し、尊重できなくなる

天皇は神でエライ↔天皇も同じ人間
日本人スゴイ↔どの民族も同じ

親に従うのは当然↔親に従う必要はない
子供は親の所有物↔子供は別の人格
規則ルールは絶対・体罰・排除↔体罰禁止・死刑廃止
一番でなければ意味がない↔順位付けには意味がない
競争・勝敗・優劣・上下の拘り↔ゆとり・自主性・個性
権力擁護・忠誠・隷属↔弱者救済・権力批判
自己責任↔社会福祉

人権・自然より経済成長↔成長より人権・自然
自然は人間の為にある↔人間は自然の一部
反緊縮・富国強兵↔事業仕分け・反原発・脱ダム
家父長制・男尊女卑↔夫婦別姓

ネトウヨ↔リベラル
依存心・忠誠↔自立心・反抗
価値の画一化↔多様性

権力志向↔反権力志向
愛国心↔在日・反日・中共のスパイ

自分の価値観・行動・依存を正当化しようと認知を歪める

反対意見を聞くことができず
物事を両面・多面から見ることができず
1つの価値に拘り
他者を縛り
支配しようとする

その対立の中で
●自分の価値観=幻想・妄想を絶対化するため
●自分の失敗や不正や私利私欲を誤魔化すため
●集団の中で仲間に認められるため
●親分に忠誠心を示し、万能感・優越感・安心感を得るため

常に不安・恐怖を煽り
批判者を攻撃し続けなければならない

そうしないと「自分の存在が否定される」

その不安・恐怖の中で
一度身につけた価値観(思考回路)を変えることは出来ないし

自分の幻想・妄想・思い込みを他者に強制することは不可能

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