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人面魚のはなし #2

第2話 霧

「おまえは何だ?」

授業の後、思いきって人面魚に声をかけた。
「見ての通りよ」
くすくす笑う彼女の姿を見て、おそらく害の無い存在なのだろうと推測する。それで少し緊張を解いた。

「人面魚に見える」
「貴方がそう思うなら、きっとそうなんだわ」
「どうして魚なのに背ビレが無いんだ?」
「だって、この霧には流れが無いじゃない」
彼女は僕の周囲をくるくる回りながら答えた。

僕はこの存在の意味が分からない。

分からないが、きっとこの霧の仲間か同じ世界の物なのだろう。
仕方ないが、僕はこの人面魚と共に生活を送る事となった。