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真青

ビービービーーン
ジージージージー

夏には
蝉取りに勤しんだ

帽子をかぶり
虫あみと虫かごを持って
葉の生い茂る
桜並木へ向かう

蝉は鳴きやむ
近づくとヒタ、と静かになる
あ、あそこにいる!
見つけたぞ!

蝉は
枝が少し曲がっている箇所に
ぶら下がるように
ちょうど
関節に見えるよう
目立たぬように
とまっている


じわじわと移動しながら
逃げようか
見つからずに裏へ回ろうか
考えている

後ろからそうっと
素早く
掬うように網の中へ入れる
もたつくと
サッと蝉は飛んでいってしまう 
オシッコを飛ばして



毎日、虫かごにいっぱいに
蝉をとった

すぐに弱ってしまうので
とりあえず家まで持ち帰って
外へ放した

なんのために
あんなに毎日
蝉を採ってたんだろう
子どもだった

ずっと
みんみん蝉を採っていたと思ったが
後々図鑑で見ると
チッチ蝉だった

季節が少しずつ移ると
その音は変わっていく
アブラ蝉がやかましい音をたて 
クマゼミ、ヒグラシが鳴き始める

ツクツクホウシが聞こえると
蝉採りにはそろそろ
飽きている

それでも
見つけてしまった透明な羽のクマゼミを
なんとか今日は採ってやろうと
虫あみを取りに行き
その木に戻ってみると
もうそれはいなかった

蝉も何かを察知するのか
危険な空気をよんだのか

夏は雷とともに遠くなり
やがて
秋が訪れる


ぶり返した暑い日、
一人でおばあちゃんちの近くの林で
セミを探していたら
空き地の角に
男の人がヒソリと立っていた


習っていたスイミングスクールで
毎回終わりにサウナに全員で押し込められた
コーチの一人がいつも
髪が乾いたか確認してきて
最後まで出してもらえなかった

嫌な気持ちというのは
ささいな1ページだ


なんだか知らないけど嫌だ
逃げられない、と感じたとき 
ひとは
自由に生きなきゃいけない
立ち去ること
拒むこと
凛として
態度で示すのを忘れない
これは
練習なんだ


望めば自由になれる


青の真実
僕はどんな青なのか
大人になる前の青だった

愛する人には
生きるものの当たり前さで接したい


愛が何か
まだ知らなくて
ただ自由に生ききることが
儚くも
尊いものなのだと
蝉とその人たちから
教わった



夏らしいあの蝉の音
桜の木の樹液の匂い
汗ばんだ背中
夕立のあとの蒸れた風 


震える少年が
もう泣かない、と
物事を知り始める季節だった



虫嫌いな方
不快な感じで書いてしまいましたが
ここのところ
不協和音が聞こえます

私にとって
とっても良い状況とそれはセットだと
思っています


涼風感じる
台風一過
また一過

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