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2章 とりあえず譲渡情報を見て、事業運営を想像してみる。

第1章の続きです。

おさらいです。条件としては、以下で会社を探してみることとしています。

  • 現在の年収は200万円~500万円程度

  • 買収に利用できる資金は300万円程度

  • 大赤字の会社を買収して、黒字化できるほどのスキル・経験はない

  • 特出したスキルは持ち合わせていない

  • 起業に際して、何をすればいいのか余り分かっていない。

"企業の財務情報の見方は、なんとなく知っている"ということでお話しを進めさせていただきます。


事業買収のプラットフォームを見てみる

さて、小さなステップからです。事業買収に関して、急にできるアクションなどありません。まずは、企業が売りに出ているwebサイトを見てみましょう。有名なものでは、BatonzやTranbiなどがあります。このようなwebサービスを作った人たちは、本当にすごいですよね。

様々な売り案件が出ているのがわかります。前章でもお話しした通り、こういったプラットフォームの情報は、詳細内容を見る際に、秘密保持契約を締結することになりますので、ここからは私が作成した架空の売り案件をもとに、お話をしていきたいと思います。

事業運営をすることを想像してみる

例えば、このような案件、どう思いますか。

  • 業種:東京都立川の飲食店

  • 売上高(年間):1,800万円

  • 営業利益(年間):150万円

  • オーナーの報酬と減価償却(年間):500万円

  • 借入金:1,000万円

  • 従業員数:オーナー夫妻の2名

  • 譲渡価格:800万円

飲食店であり大きな減価償却はないであろうことを考慮すると、営業利益150万円と、オーナーの報酬200~400万円が店舗としての利益は350万円~550万円程度が想像されます。

譲渡価格が700万円で諸費用を考慮して約800万円だとすると、おおよそ2~3年で元本回収ができそうです。オーナーである自分に報酬を出すのであれば、その分調整が必要です。

すごくザックリした考え方ですが、会社は事業利益の3~5倍で評価されます。この事例の買収は、一般的な計算方法と言えるでしょう。

一方、第1章で設定した目標である「時間」は、どうでしょうか。

夫婦で運営している飲食店は、稼働時間も多く、休みも取りづらい可能性があります。また、料理人ではない限り、料理を一から覚えるのも大変そうです。詰まるところ、夫婦経営を1人の会社員として引き継ぐのは、単純計算した事業価値以上に、時間が取られそうです。固定客が減れば、売上高自体が下がることも考えられます。この辺りが、難しそうだなあ、と思うところですよね。

具体的な想像をすると、課題と実現性が見えてくる

このように、具体的に想像すると、「本当に実現可能か」という点でも評価検討を進めることができます。

このような視点で、他の事業も見てみましょう。次に、長野県に位置する木材家具メーカーを想像してみましょう。

  • 業種:長野県松本市の木材家具製造業

  • 売上高(年間):4,500万円

  • 営業利益(年間):▲100万円

  • オーナーの報酬と減価償却(年間):700万円

  • 借入金:3,000万円

  • 従業員数:4~5名

  • 譲渡価格:500万円

こちらは赤字決算企業です。製造業ということから、ある程度減価償却費を要していることを考えると、オーナーの報酬を約300万円と予想します。営業利益との相殺分を考慮すると、事業利益としては約200万円。こちらも2~3年で投資金額は回収できるのではないかと考えるわけです。一方で、赤字が続くと、事業活動を通じて現金を生み出すことができておらず、借入金の返済を適切にしていけるのかどうか、ということを観点として持つ必要があります。業種が変わると、考えることが変わりますね。

様々な事業を見ていくと、事業買収に対する解像度が上がってくると思います。特に20~30代の方だと、60~70代の現在のオーナーから変わって、できることもある気がしてきませんか?

  • 売上高を高めるための新規営業

  • SNSやECサイトを用いた販売拡大

  • 海外への輸出検討

飲食店だと店舗型ビジネスであり幅が一定制限されますが、製造業だと、できることも増えてきますよね。

より具体的に考える

このマガジンを通じて、さらに様々な課題を明確化させることで、事業買収に取り組むことの再現性を高めていければと思います。ぜひ継続してみていってください。

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