ハームリダクション「害 (harm) の低減 (reduction)」とは?
ハームリダクションの概念は以下のように要約できます:
定義:
ハームリダクションとは、合法・違法を問わず精神作用性のある薬物の使用量を必ずしも減らすことなく、その使用によって生じる健康・社会・経済上の悪影響を減少させることを主な目的とする政策、プログラム、および実践のことです。
主な特徴:
公衆衛生と人権への強いコミットメントを基盤としています。
使用量ではなく、ダメージの量に焦点を当てます。
実用的で、実現性が高く、費用対効果の高いアプローチです。
科学的根拠に基づいた政策や実践を重視します。
アプローチ:
個人の生活におけるポジティブな変化を重視し、強制ではなく促進的なアプローチを取ります。
注射器の配布、薬物代替療法、薬物使用センターなどの具体的なプログラムがあります。
効果:
HIV感染、AIDSによる死亡、薬物過剰摂取による死亡などの深刻な危害を劇的に減少させることが報告されています。
適切な情報・相談支援や医療支援・行政サービスへのアクセスを改善します。
救急医療利用回数の減少、医療費の減少、就業率の向上、薬物目的の犯罪の減少などの社会的効果があります。
重要な点:
断薬を否定するものではなく、断薬アプローチと補完的な関係にあります。
個人レベルだけでなく、社会レベルでの被害低減にも着目します。
ハームリダクションは、薬物使用者に対する支援の幅を広げ、より多くの人々が適切な支援にアクセスできるようにすることを目指しています。この概念は、薬物問題に対する従来のアプローチを補完し、より包括的な対策を可能にする重要な視点を提供しています。
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