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[無料]2019年夏季と2020年夏季の山岳遭難比較

警察庁による2020年夏季の山岳遭難統計が出ていたので、2019年と比べてみましょう。

2019年夏期における山岳遭難の概況

2020年夏期における山岳遭難の概況

■遭難件数と人数 ー予想より減っていないし死者は変わらず


件数
2019年夏季:606件
2020年夏期:470件 23%減

人数
2019年夏季:669人
2020年夏期:541人 20%減

死者・行方不明
2019年夏季:54人
2020年夏期:47人 13%減

COVID-19の影響で登山者がどのくらい減ったのか分かりませんが(※)、遭難件数は思ったより減らなかったという感想です。件数の減少に対して遭難人数の減りが少ないことから単独での遭難が増えたのかなと推測できます。

死者・行方不明の人数もそれほど減っていません。単独登山者が遭難すると死にやすいためかと考えられます。

※…山域によってはむしろ増えたという場合もあるそうです。都市近郊の低山などで増えたのであれば、道迷い遭難が増えるのは必然です。もともと道迷い遭難はアルプスなどの高山ではなく低山で起きやすい遭難態様です。レジャー白書が出ないと分かりませんが、2020年の登山者はイメージほど減らなかった可能性もあります。

■目的と態様 ー道迷い遭難が増えた

2019年夏季:登山が77% 山菜採りが2.1%
2020年夏期:登山が76.7% 山菜採りが4.3%

目的別では登山が同じ様に多いのですが、山菜採りでの遭難が増えています(14人→23人)。山菜採りは夢中で採っているうちに道に迷うことが多いそうです。

2019年夏季:道迷いが22% 147人
2020年夏期:道迷いが30% 163人

COVID-19によるステイホーム期間が始まった頃から、登山者の減少や山小屋の休業で道が荒れて道迷いが増えるかも知れないと予想していました。やはり増えているようです。

低山を登る登山者が大して減らなかった、山域によっては増えたというのも道迷い遭難が増えた理由かもしれません。

原因は推測でしかありませんが、今後も登山道の荒廃による道迷いと、低山だからといって甘く見ないようにご注意ください。

また、屋内でのレジャーがしずらいために、これまで登山をしていなかった人たちが気軽にハイキングをして道迷い遭難を起こしているという話もあります。

登山をするなら相応の勉強をしましょう。山は危険な場所であると忘れないでください。低い山こそ道に迷いやすいのです。

■年齢層 ー顕著に20代の遭難が増えた

20代の遭難が5.8%から10.4%に増えていて、人数にすると39人が56人となりました。30代から50代までもわずかに増えています。

一方で60代の遭難は6.1%減って人数にすれば64人減っています。70代も27人減っており、遭難者の低年齢化が顕著です。

高齢者の遭難が減った原因は、COVID-19のために高齢登山者ほどステイホームをし、一方で重症化しにくい若者が山に繰り出し遭難しているものと考えられます。確かに奥多摩などに行っても若者の姿を多く目にしています。去年とは年齢層が変わったと感じます。

若い登山者の多くは軽装で、大丈夫かな?という感じがします(こういう感想は老害でしょうか?)。今はネットの情報もいろいろありますし、登山について勉強してから山に入ってほしいと思います。

↑始まった頃はちょっとアレなサイトでしたが、3年ほど前からまともな情報を発信するようになりました。偏見を持っている方も読んでみてください。

■まとめ

・登山者の減少に比べて遭難はさほど減らなかった。特に死者・行方不明は予想より減っていない。

・道迷い遭難が増えた。スマホのGPSを活用して道迷い遭難を防いでください。山菜やキノコを取る時は夢中になりすぎないように注意。

・遭難者の低年齢化が起きています。登山に慣れていない方は勉強してから山に入りましょう。

山で遭難すると命に関わります。くれぐれも遭難しないように注意してください。低い山でも遭難すれば死ぬことがあるんですから。

山岳遭難の多くは、なんでも無さそうな場所で起こっています。

わぁい、サポート、あかりサポートだい好きー。