うつ病家族の心の持ち方
うつ病本人がとても辛いのはもちろんのこと、そばにいて一緒に生活して状態に一喜一憂して心配しながら過ごしている家族が辛くないはずはありません。
なのに、中々「辛い」と声に出せないのが現状です。
辛い、というと「でも本人はもっと辛いのだから」と順番をつけられてしまいます。
『本人が辛いのは誰よりわかってる。でも自分も辛い』
そう感じたときの心の持ち方を考えてみました。
1.うつ病の人が悪くないのは誰より分かっている
家族がうつ病と診断されたら、大抵の人は真っ先に『うつ病』について調べるでしょう。
そしてどんな病気か、どんな経緯をたどるか、どんなリスクがあるかを理解します。
目の前に実例がいるのですから、一般的な情報が甘く見えるケースもあるかもしれません。
何も出来ないのも、表情が真っ黒なのも、否定的な言葉しか出てこないのも、本人ではなく病気になってしまったせいだということは誰よりも分かっているのが家族です。
2.自分の辛さに順番や大小をつけられる淋しさ
最初の数週間、数カ月は、緊急事態に対して『自分が何とかしなければ』という気合で乗り切れますが、長引くほどに無理した結果が自分に返ってきます。
気力も体力も損なってきたところに、時期的により悪化したうつ病の家族を見ていると、『いつまで続くのだろう』と暗く考えることを避けることは出来ません。
つい、事情を知っている人には泣き言が漏れてしまいます。
しかしあくまで家族はうつ病本人ではないので、何をおいても優先するのはうつ病本人です。
それが家族も十分理解しているからこそ、置いてけぼりになっている自分の辛さが哀れに思えてしまいます。
3.家族が第三者から言われて辛いこととは?
周囲は良かれと思って『本人が一番辛いのだから』と言ってくれるのだと思いますが、心身が疲労しきってる家族には受け入れる余裕がない場合もあります。
それに、本人が一番辛いのは、第三者に言われるまでもなくよく分かっているのですから、それを重ねるように言い聞かせられても感じるところは何もありませんよね。
・本人が一番辛いのだから→だからあなたの辛さはそれほどじゃない
・あなたがしっかりしないと→あなたが辛いとか言ってる場合じゃない
というように変換して聞いてしまうことも。
そしてそういう自分にまた落ち込む、という負のループにはまってしまいます。
4.うつ病患者の家族の心の持ち方とは
どうすることも出来ない葛藤は苦しいものです。誰が悪いわけでもないのに、自分の気持ちも持って行き場がないと、孤独感までついて来ます。
このようなとき、以下のような思考傾向がないか、チェックしてみましょう。
ヨソと比べる
「〇〇でなければならない」思考
自分が犠牲になれば、自分が我慢すればそれでいい
もうずっと永遠にこのままだ
それぞれ、下のように見直すことはできないでしょうか?
よそのご家庭や症例と比べても、性格や周囲の環境が違うのですから意味がありません。
「〇〇でなければならない」と思うなら、「なぜ?」を5回繰り返してみましょう。本当に必要なものが何なのかが見えてきます。
自分が我慢したことでそれ以外が回復しても、それが本当に望んだ姿でしょうか。自分がぺしゃんこになっている未来を望んでいるのでしょうか。
永遠にこのままにしないために、今頑張っているのですよね?
5.大事なのは「ゆるゆる思考」
うつ病になる人もそうですが、家族がうつ病になってしまったことで追い詰められてしまう人も、本人同様とても生真面目な性格の人が多いのではないでしょうか。
更に、その性格故に、普段は人よりも優秀だと言われることが多いのかもしれません。
だから、自分が頑張ればどうにかなる、と考えて、行き過ぎた結果「自分だけが我慢する」状況に陥っているのではないでしょうか。
そんな性格だからこそ、「ゆるゆる思考」を手に入れましょう。
ずぼらでいいのです。100点なんて取らなくていいし、家族としての100点なんて点数がつけられないのですから、目指せばキリがありません。蟻地獄です。
自分があと〇日頑張れる、と指折って数えるよりも、自分が楽をする方法、自分達を支えてくれる人やサービスや制度はないか、を調べましょう。
うつ病(その他精神疾患・精神障害も)は、家族だけで対処できるほど生易しい問題ではないのですから。
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