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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ…
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#家族支援

うつ病ケアと無力感:自己効力感を育てるヒント

日常の中で感じる無力感。 特に、うつ病患者をケアする家族にとって、目に見えた変化がない療養生活は、忍耐を試されるものです。 家族として精一杯支えていても、目に見えない病気であるうつ病は、回復が実感しにくいもの。 毎日の変わらない生活の中で「何をしても状況が変わらないのでは」と感じる無力感が押し寄せてきます。 この無力感が蓄積すると、ケアへのモチベーションが下がり、家庭内の些細な問題が深刻に感じられるようになるのです。 この無力感への対抗策として「自己効力感」の強化をご提案し

ケアラーに最も必要なものは○○です

◆家族は病気を治せない悩みや問題が起きたとき、自分や家族を支えながらも、ポジティブに未来と向き合うことは難しいものです。 家族がうつ病などの精神疾患にかかった場合、ケアラーは孤独と負担に苦しみ、自己成長を目指すことが重要です。 しかし、家族が直接病気を治すことはできず、支えるしかありません。 その中で、自己成長を通じて家族を理解し、支えることが求められます。 この経験が、結果的に家族と自分自身を支える力となるのです。 ◆メンタルケアラーとは家族がすべきことは、治療ではな

ビジョニングで描く未来:家族のうつ病と共に歩む道

家族がうつ病を患ったとき、支える側のケアラーは現実と未来と自分の感情が三つ巴状態になって何から手を付けていいのか分からなくなります。 しかし、現状を変えて行くためには「自分がどうしたいと思っているか」が明確である必要があります。 そのための方法として今回は「ビジョニング」をご紹介します。 1.ビジョニングとは①定義 「ビジョニング(Visioning)」とは、将来の理想的な状態や目標を具体的に描き、それを達成するためのビジョンを明確にする手法です。 ビジョニングは、個人や

家族のための「障害受容」マニュアル:心の準備と具体的なステップ

家族がうつ病などの精神疾患・精神障害になった時、側にいる人は『自分は何をしてあげればいいんだろう』と考えるでしょう。 勿論その対策は大事ですが、それ以前に必要なものがあります。 『病気になった本人の状態を理解し、受け入れること』です。 これを障害受容と言います。 病気になったのは自分ではないけれど、家族は家族の立場として受容する必要があります。 どうやって受容するかのステップと、必要なものは何か、を考えました。 1.障害受容とは①定義 障害受容とは、障害を持った人が、自

家族のうつ病にどう向き合うべきか? -アドラー心理学で考える-

家族のうつ病は、一体だれがメインで向き合うべき問題なのでしょうか。 うつ病など精神疾患の場合、患者本人が向き合うためには時間が必要です。その間は家族が代替するしかない。 しかしいくら家族でも本人ではないのです。出来ることに限界がある。能力や努力とは別の次元で、です。 今回はアドラーの「課題の分離」を軸に、家族のうつ病に対しケアラーはどう向き合うのか、を考えました。 1.家族の病気は、誰のもの?①病気の症状は本人のもの まず、病気とそれによる症状は、しんどさも悩みも全部本人

家族が知っておきたい「障害者雇用」基礎知識

—障害者雇用について知り、将来への不安を減らそう— うつ病など精神疾患で仕事を休職・退職した家族を見ていると、 『今後仕事はどうすればいいんだろう、どうすることが出来るんだろう』 と考えるでしょう。 もちろん本人の考えが第一ですが、それ以外でも「どういう働き方・リハビリテーションがあるのか」を知っておくことは、家族にとって大きな安心材料になります。 そしてもし本人が想定していた復帰プランがとん挫したときに、アドバイスすることも出来ます。 今回の講座では、以下の内容につい

家族のうつ病を受け入れる心構えと対処法

~困難を乗り越える方法~ 家族がうつ病になった時、それをすぐに受け入れてサポート体制に入ることは現実的には難しいです。 家族の病気はどんなものでもショックですが、精神疾患特有の問題があるからです。それは家族と言えど同じです。 受け入れることが難しい問題と向き合わなければいけないのは辛いです。簡単ではありません。 それでも向き合わざるを得ないのが家族です。ではどんな向き合い方があるのか、を考えました。 1.うつ病の人に必要なのは、周囲からの理解①辛さへの無理解からうつ病になる

うつ病患者家族が突き当たる3つの壁

~家族のうつ病に直面したとき、あなたにできること~ 家族がうつ病になると、問題は病気だけではないことに次第に気づいていきます。 病気だけなら主治医に任せておくほかありません。しかし家族が向き合わなければいけない問題はそこではありません。 不安が強いと力が入り過ぎて選択肢が狭くなってしまいます。でもそれは家族なら当然のことです。 家族だからこそ突き当たる壁とその克服方法を伝授いたします。 1.家族が病気になると、今までの常識が通用しなくなる①自己認識 まず最初に突き当たる壁

うつ病回復期の準備と注意点

復帰へのスムーズな道のり うつ病が少しずつ回復してくると、一気に「治った」と思って失敗する、を繰り返してしまいます。 それは本人だけでなく家族も同様です。ずっと心配や不安を抱えていたからこそ反動が出ます。 うつ病の回復期とはどんな状態でしょうか。その後も続く再発予防も含めて考える必要があります。 職場に戻る・戻らないの判断に縛られず、家族自身の意見も含め、広い視野から今後を考える視点を持ちましょう。 1.うつ病回復期とは、不安定さが大きく出る時期①気分が安定し、エネルギー

うつ病急性期の症状と治療・サポート

-家族に出来ることのポイントを解説- うつ病は発症直後が一番状態が悪いです。一番しんどい時に家族も何をしていいのか分からず戸惑います。 うつ病が増えていることを頭では分かっていても、いざ家族がなるとすぐに対処出来ないのが現実です。 家族がうつ病になったときにやるべきノウハウの中から、今このタイミングで出来ること・やるべきことを知りましょう。 それが分かれば不要に慌てることなく、対応することが出来ます。 1.うつ病急性期とは①うつ病回復までの3段階 うつ病は発症から回復ま

共感しすぎて辛い!家族のネガティブ感情への対処法と共感疲労防止のポイント

うつ病家族の落ち込みやネガティブ感情に引きずられて辛い、という経験があるケアラーは多いと思います。 人は他者の感情に無意識に共感します。それが病気の家族であれば尚更です。 共感しすぎは多くのデメリットがあります。共感しないスキルもまた必要です。 家族のネガティブ感情への共感疲労への対抗策は、「課題の分離」「役割の明確化」「キャパシティの再認識」です。 1.近くにいる人に共感しすぎてしまう仕組み扁桃体 扁桃体は、他者からの情報発信の中から、特に感情に関する意味を読み取る役割

精神疾患家族との関わり方

3つのタイプ別アプローチと家族ができる4つの取り組み 精神疾患の家族との関わり方は、繊細さと柔軟性が求められるため難しいです。 日によって、状態によって、家族側からの関わり方を変える必要があるからです。 今回は精神疾患本人のタイプを3つに分けて接し方をご提案します。 家族に出来ることがどこまでか、を認識し、本人を尊重しつつ前向きに関わっていきましょう。 1.関わり方を考えるときの3つのタイプ①タイプA:未自覚タイプ まだ自分の精神疾患を自分事として受け入れ切れていない

家族の相談先の見つけ方

~精神疾患で苦しむ家族への支援ガイド~ 「家族が精神疾患になったことで起きている家族側の悩み」は、一体どこへ相談したらいいのか分からない、という悩みを耳にします。 私もそうでした。思い切って相談しても「家族だから頑張って」でおわってしまったこともあります。その時はそういうものかとも思いました。 ですが今自分が専門家になって、家族側の相談窓口が無いことがどれほどのデメリットか、を痛感しています。 家族目線の相談先も絶対に必要です。 それは公的機関、家族会、家族自身がカウンセリ

精神疾患の家族に共感する:メリットと向き合い方

と思っているケアラーは少なくないと思います。 精神疾患になると心と思考のパワーが激減するので、以前とは別人のような言動をして家族を困らせます。そうなると一緒に暮らす家族は振り回され、理解や共感を示す余裕がなくなります。 しかし「共感」は、家族にとって、特に精神疾患を患う人にとって何より重要な関わり方です。 相手に共感することと自分の意思表示は相反するようで両立します。そのコツをご紹介いたします。 1.共感とは何か①定義 共感とは、コミュニケーションの基盤です。自分と相