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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ… もっと読む
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#うつ病

うつ病家族の感情のコントロールの難しさ:理由と対処法

家族に対する感情のコントロール、特にイライラや怒りが収まらない。どう対処すればいいか分からない、という悩みはケアラーあるあるです。 私も対処の仕方が分からず、散々夫と衝突しました。今思えば要らないことをたくさん言っていました。 しかし、イライラする根本は「どうにかして状況を改善したい」という意欲です。それは大事なモチベーションです。 意欲をそぐことなく、家族に対する怒りを和らげるためには「ストレス」「無力感」「自己評価の低下」を防止しましょう。 1.うつ病家族に対する感

うつ病回復期の準備と注意点

復帰へのスムーズな道のり うつ病が少しずつ回復してくると、一気に「治った」と思って失敗する、を繰り返してしまいます。 それは本人だけでなく家族も同様です。ずっと心配や不安を抱えていたからこそ反動が出ます。 うつ病の回復期とはどんな状態でしょうか。その後も続く再発予防も含めて考える必要があります。 職場に戻る・戻らないの判断に縛られず、家族自身の意見も含め、広い視野から今後を考える視点を持ちましょう。 1.うつ病回復期とは、不安定さが大きく出る時期①気分が安定し、エネルギー

うつ病急性期の症状と治療・サポート

-家族に出来ることのポイントを解説- うつ病は発症直後が一番状態が悪いです。一番しんどい時に家族も何をしていいのか分からず戸惑います。 うつ病が増えていることを頭では分かっていても、いざ家族がなるとすぐに対処出来ないのが現実です。 家族がうつ病になったときにやるべきノウハウの中から、今このタイミングで出来ること・やるべきことを知りましょう。 それが分かれば不要に慌てることなく、対応することが出来ます。 1.うつ病急性期とは①うつ病回復までの3段階 うつ病は発症から回復ま

うつ病かも…な家族が病院へ行きたがらない時

~精神疾患への理解を深め、初診への道を開く方法~ 明らかに元気がない、様子がおかしい家族に精神科受診を勧めたら拒否された、という時。家族は困ってしまいますよね。 しかし本人としては、心の病気の自覚がないのに「あなたは病気だから病院へ行って」と言われても、すぐには受け入れることは難しいでしょう。 それでも、心の病気は早期治療が効果的です。未治療のままだと本人も周囲もどんどん苦しくなります。 まずはうつ病と決めつけず、本人が拒否しない方法を模索するところから始めましょう。

効果的なメンタル不調サポート

~当事者の要望と周囲の役割~ 周囲、特に家族や職場にメンタルが不調そうに見える人がいると、心配だし気になります。 しかし具体的に自分に何が出来るのかが分からず悩んでしまい、何も出来ないまま時間だけが経ってしまうことが多いでしょう。 メンタル不調を来たしている人は、周囲に何を期待しているのでしょうか。それを知ることで自分の役割が分かってきます。 メンタル不調の人との接し方、家族や職場関係者に出来ることについてまとめました。 1.メンタル不調当事者の要望どんな症状か、元々どう

家族の精神疾患を受け入れるためのステップ

― 恥ずかしいと思う理由とその克服方法― 「家族の精神疾患が恥ずかしい、受け入れられない」と思ってしまう。 恥ずかしい、ではなくても、他の人には言えない、と思ったことがある方は多いと思います。 何故でしょうか。それは病気に対する誤解が大きく関与しています。 精神疾患への正しい知識を得て、目の前の家族としっかりコミュニケーションをとることで、恥ずかしさを乗り越えて受容することが出来るようになります。 1.精神疾患は恥ずかしくない①誰でもなる可能性がある病気である 精神疾

エンパワメント: 家族が力を発揮するためのアプローチ

「エンパワメント」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。 福祉の用語ですが、源流はアメリカの黒人差別撤廃運動から生まれました。 と聞くと「あまり自分には関係ないのでは…」と思われるかもしれません。 でも私は、悩んだり苦しんだりしている人にこそ必要だと思っています。 ではエンパワメントとは何でしょう。なぜ必要で、どうやったらエンパワメント出来るのでしょうか。 1.エンパワメントとはエンパワメントとは、一言で言うと「個人が自分の力を発揮できるようになること」です。 そんな

うつ病で無職になった場合のお金問題

うつ病に限らずメンタルな病気で仕事を辞めざるを得なくなった時、一番の懸念点はお金だと思います。 給与分をどこから得るか、どこで出費を抑えられるか、困ったときに使える支援制度はあるのか。 段階に分けてまとめました。 1.退職前から「傷病手当金」を活用しよう病気になってすぐに退職を考える人は少ないでしょう。 まずは主治医から診断書をもらって休職する人がほとんどです。 ただ休むだけだと有給を使い切ったら無給になります。 連続4日目以降からは「傷病手当金」の支給対象となりますので

ケアラーが陥りやすい認知の歪み

認知の歪みとは「思い込み」「思考の癖」「バイアス」等と言い換えることが出来ます。無意識にやってしまっている自分の考え方の中で、特に偏ってしまっているために自分のストレス源になっているような物の見方です。 ほとんどは10通りに分けることが出来ます。 その中で特に「ケアラーを悩ませやすい認知の歪み」と、その対処方法を考えました。 1.一般化のし過ぎです。 メンタルの病気の症状が表面化するときは、慣れていない人がびっくりしてしまうような状況が起きます。 突然「会社に行けない」

うつ病夫婦の共倒れ防止策

共倒れ、とは、ケアや介護をする人にとってはとても怖い未来です。 家族内で共倒れしないために、福祉制度や介護保険制度では色んな支援があります。 しかしうつ病夫婦の共倒れ防止策はまだ十分とは言えません。 うつ病になった人を夫婦で支えるとき、共倒れをどのように防止すればいいか、を考えました。 1.何故共倒れしそうになるのかうつ病夫婦の共倒れ問題には、その特徴ゆえのリスクがあると考えています。 ①「夫婦」という関係性 夫婦とは非常に強い繋がりのある関係です。本人たちが感じてい

家族ケアラーが未来のために出来ること

頑張って家族をケアしているのは、今とこれから先の未来のためですよね。 もういい、ここまで、と思うならこんなに頑張らない。 でも疲れちゃうと「何で頑張ってるんだろう」ってわからなくなる時があります。 家族ケアラーが頑張るのは未来のため。 じゃあ、どんな未来のために、今何を頑張るのでしょうか。 1.「どうなるか」<「どうなりたいか」家族が病気など何かを抱えると、「これから私たち家族はどうなっちゃうんだろう」と考えます。 予期していなかった出来事に流されてよく分からない場所に連

うつ病と家族のかたち

家族の誰かがうつ病になれば、その本人だけではなく家族全員の生活が変わります。そして家族内での役割も変わるでしょう。 うつ病(その他精神疾患)と家族が作る「これからの家族のかたち」とは、どんなものでしょうか。 1.精神疾患が増えた?平成29年の統計ですが、入院・通院含めて精神疾患を有する人の人数は約420万人でした(厚生労働省)。人口を1億2千万人とすると3.5%です。病院に繋がっている人だけの人数ですから、「もしかしたら」と思いながら未受診でいる人も含めるともっと多いでしょ

うつ病夫婦のコミュニケーション不足

自分、あるいはパートナーがうつ病になった夫婦は、コミュニケーション不足になりがちです。 それは当然のことです。 うつ病の大きな症状は、気分の落ち込み・意欲の低下・思考の偏りですから、以前と同じコミュニケーションが取れなくなってしまうのです。 かといってそのままにも出来ないですよね。 どういう対処をすればいいでしょうか。 Q1:うつ病の人に言ってはいけない言葉はなんでしょうか?よく言われるのは「頑張れは禁句」ですが、それほど単純な話ではありません。 良かれと思って言った言葉

うつ病家族を襲う無力感

家族がうつ病(またはその他精神疾患・精神障害)になったとき、家族は 『自分が対処しなきゃいけない、少しでも早い回復を目指そう、もし治ったら二度とうつ病になんてならないように頑張ろう』 と考えてあらゆる手を尽くそうとします。 けれど結果的に思ったようにならず、無力感に襲われる。 何故でしょうか。そしてそうならないために出来ることは何でしょうか。 1.家族のうつ病で無力感に至るまで家族がうつ病等の心の病を発症したとき、大抵の家族は、ショックを受けたり慌てたりしながらも、「何とか