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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ…
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#精神疾患

【出版のご案内】家族のうつ病を支える人へ

何度かnoteでもお話しておりましたが、この度Galaxybooks社より本を出版いたしました。 『家族のうつ病を支える人へ』~共倒れしないために、今、出来ること~ 一人で抱え込まないで甘えよう【本の概要】価格:¥1,485(税込) ページ数:134ページ 出版社:Galaxybooks 寸法:13 x 0.79 x 18.8 cm ジャンル:自己啓発/メンタルヘルス/精神疾患/家族ケア 【目次】まえがき うつ×支える人「らしさ」を中心とした自立支援 第1章 「助けて

うつ病回復期の準備と注意点

復帰へのスムーズな道のり うつ病が少しずつ回復してくると、一気に「治った」と思って失敗する、を繰り返してしまいます。 それは本人だけでなく家族も同様です。ずっと心配や不安を抱えていたからこそ反動が出ます。 うつ病の回復期とはどんな状態でしょうか。その後も続く再発予防も含めて考える必要があります。 職場に戻る・戻らないの判断に縛られず、家族自身の意見も含め、広い視野から今後を考える視点を持ちましょう。 1.うつ病回復期とは、不安定さが大きく出る時期①気分が安定し、エネルギー

精神疾患家族との関わり方

3つのタイプ別アプローチと家族ができる4つの取り組み 精神疾患の家族との関わり方は、繊細さと柔軟性が求められるため難しいです。 日によって、状態によって、家族側からの関わり方を変える必要があるからです。 今回は精神疾患本人のタイプを3つに分けて接し方をご提案します。 家族に出来ることがどこまでか、を認識し、本人を尊重しつつ前向きに関わっていきましょう。 1.関わり方を考えるときの3つのタイプ①タイプA:未自覚タイプ まだ自分の精神疾患を自分事として受け入れ切れていない

うつ病かも…な家族が病院へ行きたがらない時

~精神疾患への理解を深め、初診への道を開く方法~ 明らかに元気がない、様子がおかしい家族に精神科受診を勧めたら拒否された、という時。家族は困ってしまいますよね。 しかし本人としては、心の病気の自覚がないのに「あなたは病気だから病院へ行って」と言われても、すぐには受け入れることは難しいでしょう。 それでも、心の病気は早期治療が効果的です。未治療のままだと本人も周囲もどんどん苦しくなります。 まずはうつ病と決めつけず、本人が拒否しない方法を模索するところから始めましょう。

家族の相談先の見つけ方

~精神疾患で苦しむ家族への支援ガイド~ 「家族が精神疾患になったことで起きている家族側の悩み」は、一体どこへ相談したらいいのか分からない、という悩みを耳にします。 私もそうでした。思い切って相談しても「家族だから頑張って」でおわってしまったこともあります。その時はそういうものかとも思いました。 ですが今自分が専門家になって、家族側の相談窓口が無いことがどれほどのデメリットか、を痛感しています。 家族目線の相談先も絶対に必要です。 それは公的機関、家族会、家族自身がカウンセリ

精神疾患の家族に共感する:メリットと向き合い方

と思っているケアラーは少なくないと思います。 精神疾患になると心と思考のパワーが激減するので、以前とは別人のような言動をして家族を困らせます。そうなると一緒に暮らす家族は振り回され、理解や共感を示す余裕がなくなります。 しかし「共感」は、家族にとって、特に精神疾患を患う人にとって何より重要な関わり方です。 相手に共感することと自分の意思表示は相反するようで両立します。そのコツをご紹介いたします。 1.共感とは何か①定義 共感とは、コミュニケーションの基盤です。自分と相

家族の精神疾患を受け入れるためのステップ

― 恥ずかしいと思う理由とその克服方法― 「家族の精神疾患が恥ずかしい、受け入れられない」と思ってしまう。 恥ずかしい、ではなくても、他の人には言えない、と思ったことがある方は多いと思います。 何故でしょうか。それは病気に対する誤解が大きく関与しています。 精神疾患への正しい知識を得て、目の前の家族としっかりコミュニケーションをとることで、恥ずかしさを乗り越えて受容することが出来るようになります。 1.精神疾患は恥ずかしくない①誰でもなる可能性がある病気である 精神疾

理想像を描くことでメンタルを前向きに変える方法

悩みや問題があってメンタルが後ろ向きになっているときに「どうなりたい?」「目標は?」と聞かれても考えづらいですよね。 それでも理想像があるかないかで、今後は大きく変わってきます。 1.どうして理想像が描けないのか「~になったらいいのに」は、心のどこかで考えているでしょう。 けれど思い浮かんだとしても諦めてしまいます。 諦める理由は色々あると思います。 だけど××が解決しなければ無理だよね きっと叶うことはない と考えてしまったり、 思い浮かんだ理想像がリアルじゃな

エンパワメント: 家族が力を発揮するためのアプローチ

「エンパワメント」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。 福祉の用語ですが、源流はアメリカの黒人差別撤廃運動から生まれました。 と聞くと「あまり自分には関係ないのでは…」と思われるかもしれません。 でも私は、悩んだり苦しんだりしている人にこそ必要だと思っています。 ではエンパワメントとは何でしょう。なぜ必要で、どうやったらエンパワメント出来るのでしょうか。 1.エンパワメントとはエンパワメントとは、一言で言うと「個人が自分の力を発揮できるようになること」です。 そんな

うつ病と家族のかたち

家族の誰かがうつ病になれば、その本人だけではなく家族全員の生活が変わります。そして家族内での役割も変わるでしょう。 うつ病(その他精神疾患)と家族が作る「これからの家族のかたち」とは、どんなものでしょうか。 1.精神疾患が増えた?平成29年の統計ですが、入院・通院含めて精神疾患を有する人の人数は約420万人でした(厚生労働省)。人口を1億2千万人とすると3.5%です。病院に繋がっている人だけの人数ですから、「もしかしたら」と思いながら未受診でいる人も含めるともっと多いでしょ

精神疾患患者の家族の方へ:辛いと言えてますか?

「うつ+家族+役割」でウェブ検索すると、うつ病患者の家族に対して「~してはならない」「~しましょう」のような情報がたくさんヒットします。 しかし、実際に生活していると、本人から攻撃されたり傷つけられることも少なくありません。家族が常に「する側」というわけではないのです。 1.精神疾患は攻撃的になることもあるうつ病に限らず精神疾患を患うと、心も体も不安定になります。 本人もそれを持て余してしまい、時にその「どうにもならなさ」が、一番近くにいる家族への攻撃になることがあります