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アイドルのライブの何が“良い”か?~櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」から考える~

1ヶ月以上前のことになるが、櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」(2023年11月25日・26日開催)の2日目に参加してきた。控えめに言って最高だった。配信を除けば、櫻坂46のライブには「渡邉理佐 卒業コンサート」以外に現地参加したことがなかったため、卒コンではない櫻坂46のライブを初めて体感した。

ライブ後にX(旧Twitter)のタイムラインを眺めていても、「良かった」という声が多く見られた。アイドルファンが「このライブ良かった」と言うとき、何が良かったと思っているのだろうか?


少しだけ余談を

いきなり横道に逸れるが、櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」にはなんとなく乃木坂46「3rd YEAR BIRTHDAY LIVE」(2015年2月22日開催)に近しいものを感じた。「3周年」というタイミング、「極寒」のライブであったことが当時を思い出させた。

櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」(長いので以後「3rdアニラ」とする)は千葉のZOZOマリンスタジアムで開催された。11月下旬の特に寒い日であり、屋外球場であったことから、相当防寒していくことがメンバーからも強く推奨されていた。当日、ライブがはじまってしまえば寒さも忘れてしまうのだが、規制退場で待つ間は確かに寒かった(日刊スポーツの記事によれば当日は8℃だったらしい)。

乃木坂46「3rd YEAR BIRTHDAY LIVE」(長いので以後「3rdバスラ」とする)は埼玉の西武ドーム(現ベルーナドーム)で開催された。2月という真冬のタイミングであり、半野外なので、こちらも当時は非公式に「登山に行くぐらいの防寒」が推奨されていた記憶がある。当日の気温は2℃、そして3rdバスラは約8時間という今でも伝説的になっている長時間ライブだった。ライブ中「寒くない」と発言したメンバーに対して、橋本奈々未さん(2017年卒業)が「流石に寒い」という旨の発言したことをよく覚えている。このライブも本当に良かった。初めてのライブで勝手が分からなかったが、時間が経つにつれて気持ちが盛り上がり、ライブの一体感に包まれていった。

ライブでアイドルに魅力を感じる瞬間

本題に戻ろう。何がライブの“良さ”を決めているのだろうか?記事を書くにあたって調べてみると、インディーズアイドル研究所というところが「ヲタクが「ライブでアイドルに魅力を感じる瞬間」調査」(2022年3月15日発表)というのを出していた。その内容を以下にいくつか抜粋する。

<ライブで生のパフォーマンスを見る良さ・喜びとは?>
1位「その日限りのパフォーマンスが楽しめる」26.4%
2位「生歌が聴ける」24.7%
3位「ライブハウスならではの音響/照明/雰囲気」23.3%
4位「コール&レスポンスの一体感」14.7%
5位「ハプニングが見られる(歌詞やダンスの間違え等)」8.8%

<ステージ上のパフォーマンスで注目しているポイント>
1位「表情(笑顔がいい/表情豊かである等)」22.6%
2位「歌」20.9%
3位「ダンス」17.1%
4位「楽曲そのもの」15.5%
5位「グループの一体感」12.1%

同調査では、この他に「アイドルの「ダンス」で惹かれるポイント」「アイドルの「歌」で惹かれるポイント」「アイドルの「MC・トーク」で惹かれるポイント」も発表している。詳細に知りたい方は以下のWebサイトを参照されたい。

個人的に思うライブのポイント

インディーズアイドル研究所の調査で概ね結論が出てしまったような気もするが、個人的に「このライブ良かった」と言っているときのポイントは以下の3点だと考えている。

①パフォーマンス
②セットリスト
③一体感

ポイント①パフォーマンス

パフォーマンスの中身は多岐にわたる。その全てを求めているわけではなく、ファンによって求めることは違うだろうし、どのアイドルに何を求めるのかも違うと思う。私自身、乃木坂46に求めているものと櫻坂46に求めているものは違う。私がパフォーマンスと言っていることの中に含まれているのは以下の内容だ。

・ダンスのキレ
・ダンスの統一感
・歌唱力の高さ
・歌唱中の一生懸命さ
・煽り
・ふとしさしぐさや表情

個人的には、ダンスのワンシーン、ふとしたしぐさや表情がライブ後に印象に残っていることが多い。乃木坂46のライブを見に行くと、遠藤さくらちゃんのしぐさや表情に目がいく。よく言われていることだが、普段とのギャップが大きいのだろう。櫻坂46の3rdアニラでは、藤吉夏鈴ちゃんや小林由依ちゃんが特に印象的だった。その子を推しているかどうかにはあまり関係ないことが多い。推しを目で追いかけていても、ライブ中にパッと目に入って印象的だったりするのは推しではないこともよくある。ライブで気になって推し増しするというのもよく聞く話だ。

煽りもすごく大事だ。これから書く「セットリスト」や「一体感」と大いに関係する。煽りを入れるタイミング、煽るときの言葉で会場の盛り上がりが変わる。この煽りに触発されて、ファンがレスポンスし、ライブを一体でつくり上げていく。これについては後述する。

ポイント②セットリスト

セットリストも大事だ。これは単に自分の好きな曲が入っているかどうかではない。ライブ映えする曲、ライブで盛り上がる曲というのがある。乃木坂46で言えば、白石麻衣さん(2020年卒業)が煽ってからはじまる『ガールズルール』は個人の体感で最も盛り上がっていた。白石さん卒業後は、個人的に賀喜遥香ちゃんが煽る『I see…』が一番盛り上がっている感覚がある。

3rdアニラでは、『Start over!』が最高潮だった。これは『Start over!』という曲そのものが良いことに加え、そこに至るまでのセットリストで盛り上がりをつくれていたことが大きいと思う。もはや、『Start over!』をやらなかったとしても相当満足度が高いぐらいにはライブ全体に満足していた。

そんな中、『流れ弾』→『BAN』→『マモリビト』→『Start over!』→『承認欲求』で本編ラストを締めくくられると本当に満足度が高かった。

3rdアニラ2日目のセットリストを以下に貼っておく。ライブ後何日にも渡って余韻から抜け出せず、かなりの頻度でこのセットリストを聴いていた。個人的には、『マモリビト』と『隙間風よ』がライブを通じて特に好きになった曲だった。

ポイント③一体感

「パフォーマンス」や「セットリスト」についてつらつら書いてきたが、やはり会場全体の「一体感」が何より大事だ。3rdアニラで強く感じたのは、ファンのサイリウムカラーが統一されているということだった。

批判的な意図は全くないが、最近の乃木坂46のライブでは、サイリウムカラーが“綺麗に統一”されていることが少ないと感じる。「この曲では何色」と定められている曲がいくつかあり、そのときにはほぼ全てのファンがその色に変えるのだが、会場全体を見回すと部分的に色が違うことがよくある(繰り返すが、批判的な意図は全くない)。

一方、3rdアニラでは本当に綺麗に、他の色が一切ないと思えるレベルで統一されていた。このサイリウムの統一感は感動的だったし、単に色が揃っているというだけでなく、会場の盛り上がり具合も本当に一体感があった。

一体感というのは、ファン全体の一体感でもあり、アイドルとファンとの一体感でもある。アイドル側が盛り上げようと思ってもファンの気持ちが盛り上がりきらないことはあると思うし(あまりその場面に出くわしたことはないが)、ファンの気持ちがバラバラなときもあるように思う。

前述した『Start over!』での盛り上がり、会場の一体感はすごかった。(若干の賛否はあるが)「スタオバジャンプ」で会場が揺れ、ボルテージが高まった。あの一体感、高揚感は他のライブと比較しても類を見ないほどだった。

おわりに

2023年12月29日に公開されたTHE FIRST TAKEでの藤吉夏鈴ちゃんの『Start over!』、今年1月1日に発表された「全国アリーナツアー」。年末年始も勢いが止まらない。今月には「7th SINGLE BACKS LIVE」も予定されている。小林由依ちゃんの卒業が控えているが、櫻坂46はまだまだ坂を登っていける。

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