見出し画像

白色テロに倒れた台湾の音楽家 高一生の『春之佐保姫』(2021/04/16放送)

2021/04/16の放送では、集中講義「海外メディア事情」をとりあげて、台湾の少数民族、原住民のたどった歴史についてお話しました。戦後国民党時代の弾圧で亡くなった原住民の一人で、ツォウ族の高一生が作った曲の一つが、「春之佐保姫」です。作詞作曲ともに、高一生。放送では2014年に、琳恩雅さんによって歌われたものを流しました。

高一生(ウオグ・エ・ヤタウヨガナ)は、南部の阿里山という山岳地帯にくらすツォウ族で、日本時代に台南師範学校に学びました。このときに音楽も学んでいます。その後、先生として村に戻りました。戦後も「むらおさ」のような役割を果たしていたのですが、戦後国民党政権になってからの弾圧事件である、1947年の二二八事件で、スパイ反乱罪の疑いで逮捕され、のちに処刑されています。日本統治下に学んだ知的エリートの中で、犠牲になった原住民の一人として、今も知られています。

2021年5月に、台湾のテレビ局「民視」の番組「台湾演義 / Taiwan History」で、高一生の生涯が特集されています。

高一生さんの娘さんである、高菊花(日本名:矢多喜久子/ツオウ族名:パイツ・ヤタウヨガナ)さんが、父が逮捕されて以降、国民党政権の監視の下でどのように生き抜いたか。高菊花を含めて、戒厳令下を生き抜いた台湾の人々の半生を描き出したのは、酒井充子監督の映画「台湾アイデンティティ」です。集中講義では、こちらの映画についても学びました。

Spotifyでは、高一生の息子である高英傑さんも歌っている音源が公開されています。高英傑さんは、上の2つの映像作品にも登場します。

また、高一生の孫にあたり、歌手として活躍する高慧君さんが歌った映像もあります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?