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の、風景

『 ゴールデンカムイ 』の最終回が近いらしい。
直近であった好きな場面は私の場合は鯉登少尉が絶対絶命の時に月島軍曹が思わず助けに入った回である。
ネタバレに配慮して詳細を伏せた状態で曖昧に状況を表現すると読者の視点では「このままだと鯉登少尉は死ぬ」と把握できているけれど、月島軍曹の視点からだと「鯉登少尉は今どういう状況なのか」は不透明であり、加えてそれ以上に重要なミッションを手元に抱えているという立場にいた。
それを踏まえても彼は重要なミッションを一時的に手放して鯉登少尉を単身で助けに入ったというシーンである。
当然、鯉登少尉の方も「今どちらを優先すべきだったのか」を理解していたから助けに戻った月島軍曹に対して驚きのような怒りのような複雑な感情を向けてしまうのだが、人間関係における気持ちのやり取りを感じるので私は好きな場面だ。

上記の中で【読者の視点だと「このままだと鯉登少尉は死ぬ」と把握できているけれど、月島軍曹の視点からだと「鯉登少尉は今どういう状況なのか」は不透明】と書いた。

『 ゴールデンカムイ 』の主人公は杉元佐一であり、彼に至ってはこの一連の出来事を全く知らない。

人によって置かれた立場、実際に存在している空間内での場の位置でもって知覚している情報や芽生える感情がそれぞれ違っているのだ。

自分の現在の視点を異なる立場や位置に移動させ、その視点にある者が持つだろう考えや感情などを推測する心の働きを『 視点取得 』と呼ぶらしい。

現実に限らず、空想の物語でも主人公の立ち位置と最初から全体を俯瞰して読み進められる位置にいる読者とでは持っている情報量に差が生じるため、読者側の目線だと物語の中での主人公が周りにいる人間に対して働きかける動きにヒヤヒヤしたり期待したりする事もあるだろう。

2020年以降の世情の影響でアルベール・カミュの『 ペスト 』という小説が再ブレイクした際に『 ペスト 』のとある特集の中で「小説は自分ではない誰かについて、想像させる手段を与えてくれる」と語られているのを知り、思わず自分もブログを更新した事があった。
小説も漫画も登場人物が複数出るから物語が始まって終わりに向かう流れで様々な人間模様・関係性が時間をかけて描写されていく点は同じだ。
<自他境界>という単語を見聞きする事があまり珍しくなくなったからなのか<視点取得>も目にする機会が昔より増えたような気がする。

インスタの『ストーリーズホイホイ』について興味を持って調べていた時も『 距離感 』と『 接点 』という言葉をよく目にしていたので< 個 >を司る水瓶座のムードを個人的には感じた。

12星座はどの星座も常に上下なく対等だけれど得意分野・担当する領域が異なっていて占星術だと現代は既に水瓶座時代に入っているから世間的にもその空気が強まっているのかもしれない。