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いざ消化器科へ

 胃腸がデリケートな彼は、念のため消化器科を受診しました。

 拙者は風邪や感染症等の病にかかることは少ないが、よく腹痛を起こす。必ず下痢や嘔吐がある訳ではなく、発熱も他の症状も特に困らぬのだが、他者よりよく腹痛に見舞われる。
「腹が痛いでござる・・・!」
 悪しき物を飲食して、あたって腹痛や下痢や嘔吐を起こす。食中毒、食あたり、水あたりの類は、悪しき物がすべてなくなるまでは、安静にしていてもトイレに駆け込まねばならぬくらいの非常に辛き症状が続く。
「腹が痛いでござる・・・!」
 食べ過ぎ、飲み過ぎ、暴飲暴食をして腹痛や下痢を起こす。皆も経験あろうが、拙者は普通に食べるのは問題ないが、食べ過ぎると必ず腹痛や下痢を起こす。
「腹が痛いでござる・・・!」
 寒い日や冷房のかかった部屋で、腹を冷やして腹痛を起こす。こちらも皆も経験あろうが、拙者も決まって下痢を繰り返して、出し切るまで腹痛と下痢で痛い思いをする。
「腹が痛いでござる・・・!」
 外出先で腹痛を起こして、トイレに駆け込む。こちらも下痢の時も下痢ではない時もあるが、拙者も家ではない環境においても、慣れないためかよく腹痛を起こしてしまう。
「勉強や仕事では腹痛を起こさぬでござる。」
 だが、拙者は誰でも腹を悪くするような行為をすると決まって腹痛を起こすが、勉強や仕事が嫌で腹痛を起こしたことは全くない。
「お兄ちゃんはお腹が弱いから気をつけてね。」
「拙者も腹にも気をつけるでござる。」
 響子も拙者にも、お腹が弱いから気をつけるようにとよく注意する。拙者もよく気をつければ、腹は痛くならない。
「孝彰はよく腹が痛くなるな。だが俺も小さい頃はよく病気をしたんだ。」
「幼き頃の父上も病気が多かったようでござる。」
 父上も、拙者がよく腹痛を起こすのを心配して言う。だが、幼き頃は父上もよく病気をしていたようだ。
「たかちゃんは学校の頃も病気はしないのに、よくお腹が痛いって言っていたわね。」
「拙者は今でもよく腹痛を起こすでござる。」
 優里奈も、拙者が学校でもよく腹痛を起こしていたのもよく覚えている。
「でもね、私も小学生の頃にも食中毒でお腹を壊して入院しちゃったの。食中毒も二度となりたくないわ・・・。」
「優里奈も痛い経験をしたでござるな・・・。この先も気をつけるでござる。」
 だが、優里奈も小学生の頃に食中毒で入院してしまった痛い経験もある。拙者も、優里奈も腹を壊して辛かっただろうとも、この先は二度と食中毒になって欲しくないとも思う。
「孝彰くんがよくお腹が痛くなるのも、私も心配なの。一度は病院に行ったらどうかな。」
「さやかも心配でござるか。拙者も病院に行くでござる。」
「孝彰はよくお腹が痛いって言うわね。心配だから病院に行きましょう。」
「病院に行くしかないでござる。」
 さやかも母上も拙者を心配する。結果、拙者も母上と病院に向かうと決まった。
「どうされましたか?」
 前にも見かけた亜子が、先に母上に聞いた。
「拙者、腹が弱いので胃腸の検査に来たでござる。」
 拙者が亜子に答えた。今回は腹を壊していないので辛くはないが、一応検査のための受診だ。
「消化器科はこちらです。かけてお待ちください。」
 亜子も消化器科を示して、かけて待つようにとも言った。
「母上、流行病がどうにかならぬでござるか。」
「皆も頑張っていらっしゃるのよ。」
 拙者も昨今の流行病がどうにかならぬかとも聞いたが、母上も医師も看護師も、皆も頑張っているとも言う。
「小林孝彰さん」
 消化器科の診察を暫し待ったが、拙者の名が呼ばれた。
「どうされましたか?」
 男性の医師も優しく聞いた。彼は、拙者が水あたりで腹を壊した時にも診察してくれた若き医師だ。
「孝彰がよくお腹が痛いと訴えます。他の家族の皆はそうではないのに、孝彰が特に腹痛が多いので、心配で受診しました。」
 母上が先に、拙者がよく腹痛を起こすのを説明した。
「よく腹痛を起こすようですが、下痢や便秘等の便通異常はありますか。」
「下痢も便秘も時々あるが、異常は何日も続かぬでござる。」
 医師も便通に異常はあるかとも聞いたが、拙者も時々はあっても何日も続かぬとも答えた。
「仕事の前等、通勤電車で胃腸の調子が悪くなりますか。」
「通勤電車ではならぬでござる。」
 拙者は通勤電車で腹痛にはならぬ。なったとしても、以前に朝トイレに行けなくて、仕事帰りに腹痛と便意でトイレに駆け込んだか、それとも通勤電車が冷え過ぎていて腹痛を起こしたくらいだ。
「暴飲暴食、悪い物を食べてあたった、腹を冷やした等で必ず腹痛を起こすでござる。」
「そちらは誰でもお腹を壊しますね。暴飲暴食、食あたり、冷えなら俺もお腹を壊します。」
 拙者も明らかな原因があって腹を壊した時の経験も告げたが、医師もこちらも誰でも、医師自身でも腹を壊すとも答えた。
「問題はなさそうですが、一応検査をしましょう。」
「よろしくでござる。」
 医師も問題はなさそうとも言ったが、一応検査を行った。腹を壊してはいないので、単純な検査だ。
「便通異常も、病変も特にありません。仕事のストレス等で連続して胃腸の不調がないなら、過敏性腸症候群でもありませんね。病気ではありませんが普通の皆より繊細なお腹のようですで、整腸剤で様子を見ましょう。」
 医師も異常も病変もないとも、仕事に関係して不調がないなら過敏性腸症候群でもないとも診断した。拙者の他者より繊細な腹のために、整腸剤で様子を見る結果となった。
「問題はないみたいね。でもお薬を飲んで、お腹にも気をつけましょうね。」
「拙者も腹には気をつけるでござる。」
 特に問題はなかったが、拙者も医師とも母上とも、この先も腹には気をつけると約束した。
「孝彰くん、お腹は大丈夫だった?」
「病気ではないでござる。拙者も皆も気をつけるでござる。」
 心配するさやかにも、拙者も病気ではないとも、皆も気をつけるようにとも告げた。
「拙者も皆も、腹にも気をつけるでござる。」
 大切な腹の具合が悪くては、仕事にも差し支える。また、旨き物も食べられぬ。拙者も皆も、腹の調子にも気をつけるのも、具合が悪い時は適切に内科や消化器科を受診して、医師の診察を仰ぐのも大切だ。

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