第三回、家族会議で学んだこと
結局私は、前日の自分の不機嫌を、何事もなかったかのように明るく振る舞えばいいのか、解決していないこととして距離を置いた方がいいのか、結論が出ないまま家に着きました。
一日仕事をしていたので、不機嫌になった気持ちは、とっくに治っていたのですけれど。
伝染した不機嫌を引き摺ってしまっていたのは寧ろツムギの方で、私が買い物袋をテーブルに置くのと同時に、黙って自分の部屋に行ってしまいました。
「二人とも、ちょっと来てもらえますか?」
リビングから、それぞれの部屋に向かって声をかけました。
ツムギは明らかにムスッとした顔をしていて、フラットに話したい私を悩ませました。
機嫌の悪いときに話をしても、大抵いい結果にはなりませんから。
「ツムギちゃん、話ができる状態じゃありませんね」と言うと荒々しく、「できるけど?」と言われ、「んー、とてもそう思えないけれど」と返すと、「じゃ」と言って席を立ってしまいました。
うーん、それでも私はその日のうちに、冷静に話をしてしまいたかった。
もう一度ツムギを呼ぶと、家族会議と称して、前回の記事に書いたようなことを説明しました。
冒頭に「昨日は不機嫌になってごめんなさい」と謝ってから。
「私はどうすれば良かったかな?」
そう聞くと、「来て欲しいんだったらそっちから言えばよかったじゃん」と言われました。
家族会議のノートを開いて、第二回のページを見せました。
『自分から集まる』
書記のツムギの字で書いてありました。
「だって、夕食の時間を言われてないし」
ああ、そう考えるんだ。
結局、私の気持ちはあまり理解してもらえず、夫と娘の結論は、自分が不機嫌になる前にもう一回声をかけてくれたらよかったと思う。と言うことでした。
素直に、そうでしたか。とは言えなかったけれど、それは一理あると言い聞かせて、その日を乗り切ることにしました。
なんでも先回りして指図してくる義母に辟易していたはずの二人なのに、それが染み付いてしまっているのだと客観的に思いました。
家族の常識の違いを擦り合わせていくのは、本当に時間のかかる作業なのです。
私も折れるところは折れなくてはいけない。
自分の価値観を押し付けるだけではなく、二人の価値観を理解し、その上で自分がストレスに感じない方法を工夫していく必要があると思いました。
この家族会議で学んだことが三つあります。
ひとつ目は、家族会議で話したことを簡潔に記録しておくと、後々、そこをベースに話ができて良いということ。
ふたつ目は、ツムギに対して、部分的に取り出せばそうだけれど、そこに至るまでの積み重なった状況を理解してもらうことは難しいのだということ。
つまり、私は、長い時系列の中で物事を捉え、最終的に判断した感情を見せているけれど、ツムギにその理解を期待してはいけないのです。
そして、逆に、その部分的に取り出した部分のツムギの言い分は確かに率直でこちらにも改善の余地がある。
そこは素直に反省して、私自身も「こうであーでそーだったから…」などという言い訳を加えながら判断をしないことが大切だと思いました。
みっつ目は、ツムギにも言いましたけれど、最初にツムギが言った「できるけど?」は本当だったということ。
ツムギが日頃私に対して、「怒ってるじゃん!」と決めつけてくることは注意するくせに、こちらが望む『話を聞く態度』ではないツムギに対して、それは話を聞ける状態じゃないと決めつけたことは、素直に謝りました。
ちゃんと話し合いになったね。と。
家族会議をしても、なかなか定着しない我が家ですが、みんなで話し合うことは大切にしていきたいと思います。
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