最近、私が落ち着いてきた理由
ツムギは恐らく、まだ私の機嫌は悪いままだと思っていたのでしょう。
夫が夜勤の夜、「ただいま〜」と玄関の扉を入った時点で、ツムギの温度感はわかります。
今日はもう、背徳飯!と、普段では買わないミスドのドーナツをたくさんと、その先のお店で、売り切り御免の唐揚げを夕飯に買って帰りました。
恐る恐るキッチンに顔を出すツムギ。
どうやら、ケイトは怒ってないようだ、と気づくと、一気に今日の出来事などを話し始めます。
最近ね、いろいろなことが起こりながら、ツムギの信頼を獲得してきたな、と、感じるようになりました。
相変わらずなツムギの憎たらしい言動に、一瞬腹は立つものの、その不器用さに思いを馳せると、なんだか許せる気がするのです。
ミスドを食べながら、他愛のない話をしたのですけれど、久しぶりにツムギが、心の底から笑っているような笑顔を見た気がしました。
こんな笑顔、学校でもできているかなぁ。
ずいぶんと素直になったツムギは、夕飯の後に寝る支度を始めた私に、自分から昨晩のことを切り出してきました。
「昨日の水着のこと、ごめんなさい」
それで、ツムギはどうしたかったのかと尋ねると、別にネットで買うことにこだわっていたわけではなかったようなのです。
「学校推奨のものでよければ、この週末に私が買ってくるよ」と言うと、「ツムギも一緒に行きたいけど、試験勉強があるから行けない」と。
「ツムギさん、丸一日集中力が続くの?気分転換に一緒に買い物に行くことはできるよ?」
じゃあそうする!と、嬉しそうに自分の部屋に帰っていきました。
一緒に選びたい!という気持ちを、泣いて訴えても私は聞かないよ。
ツムギの気持ちに気づいていながら、突き放すような態度を取るのはしんどいけれど、私は私で、ツムギに対して、妥協できない思いはあるのです。
ケイトのやり方が納得いかないと、怒り狂ってくれ!
それこそが、人並みに成長している思春期の証なのでしょう。
ツムギが振り返ったときに、ケイトの思いはこれだったんだなと、理解してもらえるような一貫性は保っていたいと思います。
今の私にできることはそれだけ。
そういえば、ドーナツを食べていたとき。
これは何が入っているの?としつこく聞くツムギに、いつもの通り、「え?よく覚えてないよ。そこまで興味ないもん」と答えると、
「大人の余裕だね」
とツムギに言われました。
お小遣いの少ないツムギなら、しっかり中身まで吟味してからではないと買えないという意味だったそうなのだけれど、ちょっとは認めてもらえているのかな?と思わせられる言い方でした。
甘ったれたり反発したりしながら、いいと思うところだけ吸収して大人になってくれ!
今の私は、どんなツムギでも大好きだよ!って、たぶん言えるようになってるんだろうなぁ。
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