【読み聞かせ記録】注文の多い料理店/宮沢賢治
あまりにも宿題を嫌う娘の宿題チェックをするのは、とてもストレスになるので、学年が上がるごとに、だんだんとほったらかすようになりました。
学校の勉強もしかり。
小学生の勉強なら、まだかろうじて教えてあげられるのではないかと思うけれど、本人のやる気を引き出せるようなスキルはないので、あまり干渉しないことにしていました。
ときどき、Googleのclassroomを覗いて、こんなことやってるのかー、と興味本位に眺めるくらい。
すると、【やまなし・イーハトーブの夢】を習っているタイミングだったので、次の読み聞かせは【注文の多い料理店】にすることにしました。
私たちの教科書に載っていたこの話が私は好きで、もう一度読み返してみようと文庫本を買っておいたのです。
短編集は、夜の読み聞かせに向いていますね。
「えー?もう終わり?」と、続きをせがまれることもなく、時間があれば二篇読んであげれば、充分満足してもらえます。
個人的な感想を先に申し上げますと、宮沢賢治作品は、初見で読み聞かせをするには難易度が高いと思いました。
ご存知の通り、独特の擬態語や岩手訛りが多く、また、擬人化された動物や自然が歌うシーンがたくさん出てくるからです。
そして、昭和生まれの私でも難しい、軍隊の役職や昔の道具などもあり、漢字を見ればなんとなく想像はつくけれど、音だけ聞いている娘にはイメージしにくいだろうと思うのです。
けれど、美しい岩手の景色を描写する言葉の数々は、声に出していても素晴らしく、聞くと娘にもその風景が再現されているようでした。
※余談ですけれど、この本の中に、娘のフルネームが出てくる箇所があり、思わず二人で笑ってしまいました。美しい名前をつけてもらいましたね。
時間が許す夜には、感想を語り合ったりしました。
いくつか、印象に残っている娘の言葉を。
【注文の多い料理店】
「どんなお店か想像できた?」
そう聞くと、「部屋が三つあるんだと思う。それで、それをぐるぐる回っているんだよ」
なるほどなぁ。
娘のイメージの中では、ちゃんと一軒家のレストランなんだなぁ、と思いました。
私は、長いトンネルに次々に扉が開くような、一方方向のイメージで、最後後ろを振り向くと、通ってきた道に上着やネクタイが風に吹かれているように感じていたので、同じ物語でも、描く絵は違うのだと思いました。
【水仙月の四日】
「水仙月って何月のお話なんだろうね?」
なんとなくの正解を知っていながら聞いてみると、娘は間髪入れずに「アレクサ!水仙月って何月?」とアレクサに話しかけました。
ああ、今時の子。
考える時間が圧倒的に少ないと言われるのは、これなんでしょうね。
幸いアレクサは「すみません。わかりません」と答えてくれたので、「すぐ答えを聞かないで、想像してごらんよ」と促せたのでした。
「水仙って、6月ぐらいに水の上に咲くんでしょ?でも、雪が降っているし、特別感があるから、11月か12月くらいに珍しく咲いたときの話じゃない?」
「んー、それはもしかしたら、睡蓮のことかな?ツムギ、水仙って知らない?チューリップみたいに球根から育つ花で、私の印象だと、年明けに梅の次に咲く花って感じかなぁ」
でもこれはきっと、東京で暮らす私の感覚なんだろうと思い直しました。
「岩手県では違うかもしれないね。きっと、日本のどの地域の人が読んでも大丈夫なように、水仙月の四日ってタイトルにしたんじゃない?」
すぐに答えを出そうとしてしまうのは、案外大人の方なのかもしれないと反省しました。
【山男の四月】
「もひとつって表現が宮沢賢治っぽくて好きなんだ」
最後の一文『それからあくびをもひとつしました。』を読み終えると、娘が言いました。
確かに、『もすこし』『もいちど』など、使われている箇所が見つかります。
へぇ、そんなところに宮沢賢治らしさを見出していたんだ。
これは新しい発見でした。
【からすの北斗七星】
【鹿踊りのはじまり】
こんなことを言うと、宮沢賢治に怒られてしまうかもしれませんが、この二作を読み終わったとき、娘のベッドから寝息が聞こえてきて、ようやく私の目的が達成された!と嬉しくなりました。
私がツムギに読み聞かせをしようと思ったのは、夜更かしのツムギを早くベッドに入れ、寝る直前までコッソリiPadを見たり、暗がりの中本を読んだりして欲しくなかったからなのです。
楽しいお話を聞かせてやりたいのは山々ですが、あまり夢中になってしまうと、興奮して、かえって寝つけないのではないかと心配していましたので、なんとなく聞いている間に、夢と現の間を行ったり来たりしながら、眠りについてくれたらいいなぁと思っていました。
そういう意味では、少しつまらないお話と感じていたのかもしれません。
昨日は、久しぶりにNintendo Switchを返してもらえたことが嬉しくて、「ケイト〜、一緒にやろうよ〜」と、『ピクミン』と『ツムツム』につき合ったので、読み聞かせはそんなに喜ばないかと思いましたが、「本読もうか?」と声をかけると、「うん!」と、Switchを誘われたときに私が「いいよ」と返事をしたときと同じ笑顔で答えてくれました。
物語のあらすじ云々よりも、ケイトの声を聞いたらなんだか眠くなってよく眠れたなぁ。というような、ぼんやりとした記憶が積み重なってくれたら嬉しいと思いながら続けています。
そして、ウッカリ寝てしまって聞き逃した部分は、また興味を持って、自分で読むキッカケになったら、尚更嬉しいと思うのですけれど。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?