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【1日目】一緒にお風呂実験

有言実行。

昨晩より、できる限り毎日娘と一緒にお風呂に入って、小学五年生の赤ちゃん返り対策と衛生観念強化実験を開始いたしました。

娘の顔を見ると決心が揺らぎそうだったので、後には引けないよう、仕事帰りにメールをします。

『今日昼間暑かったね。お風呂入った?』

さりげなく、嫌味のないような文章を心がけます。

『まだ』

そっけない。
娘のメールは機嫌によって著しく変わるので、現在の心理状況がよくわかります。
句読点も絵文字もなく、最小限の文字数で返ってくるときは、最悪のとき。

『じゃあ、パパっとご飯食べて、一緒にお風呂入ろうか。』

私、がんばって返信します。

『うん』

よし。とりあえず約束は取り付けられました。が、余計なひと言を追加してしまいました。

『じゃあ、お風呂上がったらすぐに寝られるように、明日の準備して待っていてね😊』

返信なし。
ですよね。

家に着いたら案の定、部屋に籠っていました。
何かに集中していたと言うよりは、気持ちを持て余して何も手についていなかった様子。

お風呂に誘われたのは嬉しいけれど、まだ仲直りしている状況じゃないし、どうしたらいいかわからず、私の出方を伺っているのでしょうか。

努めて明るく振る舞う私。

「遅くなっちゃってごめんねー」
「急いでご飯作るからねー」
「ご飯の支度手伝ってねー」

かける声色はいつもより1オクターブ高い音色をキープします。

宿題やったかは聞きません。
部屋が片付いていないのは見て見ぬふりです。
一向に手伝いに来なくてもしつこく声はかけません。

ご飯ができるタイミングでようやく来た娘。
ここまでほぼ返事なしだったので、おどけた声で聞きました。

「あれぇ?今日はおしゃべりしないって決めてる感じぃ?さっきからほとんど声が聞こえないけど?」

娘はフフーンと言う表情でこちらを見ました。

もうとっくに機嫌が直ってること、ケイトはわかってるんでしょ?と言わんばかりです。
まったくもう。

食事中はあえて娘の話はせず、私の仕事の話などをしてみました。

「今日はずっと打ち合わせをしていたお客さんの工事が決まったんだー。嬉しいなぁ。今月は会社と約束をした分のお仕事を決めることができたんだよ」

娘が不機嫌な時に娘に質問をしても、天邪鬼な返事しか返って来なくて、それがきっかけで悪化することは学習済みです。

「ツムギも自主学習カードで目標の時間やっていないと先生にがんばってくださいね。って言われるでしょう?それとおんなじ。でもね、会社はもっと大変よ。金額が足りないけどどうしてですか?その分どうするんですか?その計画は進んでいますか?それ、ちゃんとできるんですか?って、ずっと言われ続けるんだから」

「えー、やだー、大変じゃーん」

「そりゃそうよ。お仕事だもん。お仕事してお金もらってるんだもん。お仕事しないのにお金もらったら変でしょ?営業のお仕事って大変なのよ」

ようやく場が温まりました。
次は娘の話題にシフト。

「そう言えば、移動教室の準備進んでる〜?」

ここまで食事が進んで来ると、今日のメニューの失敗がわかります。
あ、やっぱりズッキーニは嫌いだったんだ。

移動教室のしおりを持ってきて、それに夢中になってるフリをして、手と口は完全に止まってしまいました。

私の脳内。
『今日は、お風呂に一緒に入ることだけに集中するのよ。叱らない。口出ししない。がまん、がまん』

急かす代わりに私は、サクサク食べ進めて、先にお風呂入ってるねー。と、娘を食卓に残して浴室に向かいました。

身体を洗って湯船に浸かって、もう出ちゃうよー。と言いたくなった頃に入って来ました。

髪を洗っているときには、シャンプー洗い残しがあるとフケが出易くなるんだよーと、頭ワシャワシャスキンシップしてやって、湯船に人がいるときは椅子に座った方がいいよねー、それだと足も近くなるから、しっかり洗えていいよねーと、ちょっとだけアドバイスなんかも入れながら。

頭と足をしっかり洗ったのを見届けて、じゃ、ゆっくり温まってねー、お先にーと、1日目のミッションを終えたのでした。


その後もグズグズして出てきたけれど。
寝る時間はとっくに過ぎていたけれど。
案の定ズッキーニはお皿に残されたまま下げられていたけれど。
そしてなんと、勝手に冷蔵庫のお惣菜を出して食べていた!そして、そのことを自分から言いもしない!けれど。

いつもなら、もう!そんな勝手にするなら、メニューも自分で考えて!とか、ひと言言ってほしかったなー。ツムギだって同じようなことされたら悲しくなーい?などと言ってしまうところですが、全部全部全部がまん。

お風呂上がったよー。と報告しに来る娘を振り返ってニッコリひと言。

「はーい、おやすみなさい」

娘は部屋に戻って行きました。
その後夫が帰って来る時間まで起きていた様子だけれど、知らんぷり知らんぷり。


夫に作戦の全容を説明しました。

やってみようか。と、夫。

それでさ、いつもの夜と比べてケイトの気持ちはどうだった?と聞かれたので、振り返ってみました。

ずいぶんとがまんがまんしたよ。
だけど、今のこの時間は気持ちも穏やかだし疲れていないかな。
いつもよりこの方がいいような気がするな。

もう一度、仕事の調整も図って、できる限りお風呂の時間を確保することを伝えました。
しっかりとツムギと向き合う時間を取るように努力してみると約束しました。

その代わり、しばらく、あーだこーだとツムギの様子について悩んで話し合う時間は減らしてほしいとお願いしました。
きっと結果が出ると信じて、しばらくは作戦の遂行に集中したいと言いました。


そうだよね。
きっと、一般的な夫婦は、こんなに毎日毎日こどものことについて相談ばかりしていないよね。
ケイトには今、普通の夫婦の他愛もない会話ができていないもんね。

夫は理解を示してくれました。

初日、概ね作戦は良い方向に進んでいると思われます。

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