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考えるべきはSNSだけか?

先日、中学一年生の道徳の授業を参観してきました。

保護者宛のお知らせが配布される前に、PTA本部から、出席の依頼なるものがあったのです。
なんでも、公開授業の後に、教員と保護者による意見交換会が企画されており、昨年出席人数がゼロであったことから、要は、サクラを依頼されたということ。

前にも書きましたが、今年度の第一学年委員は前向きで気持ちのいい人たちの集まり。
開催日が平日で、間近に迫った日程であったにも拘らず、仕事や妹弟の世話でどうにも調整がつかなかった人を除いて、7名中5名が快諾し、本部の担当者を驚かせました。


授業はSNSに対する注意を友情に絡めて扱った内容。

後の会で先生が、今は道徳も教科書の中から題材を選ばなくてはいけなくて、苦労しています。とおっしゃっていました。

教員の働き方改革の流れだそうです。


50分の授業って、伝えられることが少ないなぁ。

こどもたちにとっては、集中力にも限界がくる長さなのでしょうけれど、単元ごとに区切って教えることのできる学科と違って、道徳などは、もっとじっくりと考えを深められたらいいのにと思いました。


肖像権やデジタルタトゥー、撮影禁止の場所で撮られた画像の話など、具体的な事例と共に紹介されていましたが、わかっていながらやってしまうのが、若年層のSNSによる失敗なのではないでしょうか。

クラスメイトの悪口をSNSにアップしてやろう!と言う友達を止められなかった男子について、どう思うかとの問いには、止めるべきだった、自分でも止められなかったと思う、という二つの意見が出て、最終的には、言い方を工夫して伝えたらいいんじゃないか?とまとまり、ロールプレイングをして終わりました。

そういうやり取りを聞いていると、中学一年生はまだまだ根が素直な子が多いのだろうと感じました。


さて、意見交換会は、各学年、テーブルに分かれて行われました。
学習のテーマも学年ごとに違ったようです。

一年生の保護者は、役員を含めて9名。
他の方も、出席の依頼があってのことだったそうですが、順番に感想を求められると、各々思うところがたくさんあり、一年生だけ時間を延長することになりました。

校長先生と担当教員が、それぞれの意見に真剣に耳を傾けてくださいました。

スマホを与えていない家庭が2件、スマホはあるが本人があまり興味を示さないと話す親御さんもいました。

成長の一番大切な時期に、教員も保護者も、これだけインターネット考察に時間を取られ、いいんだか悪いんだか。


私は二つのことを話しました。

道徳の授業に対する感想と、中学生のスマホ利用に関する考え。


授業について一番印象的だったことは、SNSでのトラブル事例に、実際にあった「自殺」の記事を扱っていたときの生徒たちの様子でした。

SNSで安易に「死ね」などと書き込んではいけない。と話す教師に、「8割ぐらいは日常的に友達に死ね!と言っている」と伝えた男子生徒。

「死」の意味を理解していない幼児ならまだしも、中学生でこれなのか。

確かに、昭和に比べて、彼らの周りには、「死ね」や「殺す」などの言葉が氾濫していて、言葉としては、「バカ」とか「アホ」とかとなんら重みが変わらないのだと思います。

ニュースでも、絶対的な件数が増えたのか、報道の仕方によるものなのかは定かではありませんが、中高生の「自殺」などというセンセーショナルな事件が、印象に残りづらいほど見聞きするようになっています。

私の過去に受けた授業で、「自殺」のニュースが扱われた記憶はありませんし、もし、そのようなものが紹介された日には、いつもは賑やかな男子でさえ、神妙な面持ちになったのではなかったかと思います。

以前ツムギが、YouTubeで知った「一番◯◯な自殺の仕方」なる知識をひけらかし、そんなことを話すべきではないと諭す私に「価値観の違いだ」と言って退けたときにはキツく注意したけれど、このような環境下にあっては、そんな風に軽んじてしまうツムギだけが悪いとは、一概には言えないのかもしれません。

ですから、そういった稚拙さを見逃さず、指導して欲しいと要望しました。


スマホについては、前に発言した「ここだけの話ですが息子のLINEをチェックしています」と話した方の後押しをする形で、私もそれには異論はないという考えを話しました。

正直、こどものスマホを覗くのは、日記を覗くようで、私も躊躇し、しばらくは自制していました。

考えが変わったのは、ママ友から「ツムギ、LINEのオープンチャットをやってるっぽいよ」と聞いてから。

ツムギには、まずは、学校の友達、スポーツクラブの友達以外に接点を持ってはいけない。
それが例え、いいね👍でも。
どうしてもというときには相談しなさいと伝えていました。

LINEのオープンチャット???

TikTokもインスタもやっていないツムギが、外部と接点を持つのは、そうは言っても、友達の友達とか、先輩の知り合い…だけだろうと思っていました。

大人は、自分に必要な機能しか使わないので、同じアプリの中でも、学生たちに都合のよい機能は知りません。

親がリスクに感じていることは、あくまでも、大人が知っている範囲に過ぎないのです。

案の定、ツムギはオープンチャットなるものを使いこなしており、私でもやったことのないスクショの録画機能(?)を使いこなして、更には、その中にたまたま映り込んでしまった夫のフルネームに対して、ご丁寧に「親の名前が出てるけど気にしないで」と、注釈まで付けてしまっていました。

スマホを与えてしまった大人の責任として、きちんと使いこなせるまでは、大人の方も知識を増やしていかなくてはいけないのだと実感しました。

そういった情報共有が、保護者側にも必要なのだと、義理で出席したはずの我々みんなが、出席してよかったと、有意義な時間を過ごして帰りました。


家に帰り、その日の話をツムギに共有しました。

そして、抜き打ち検査はしますからね。と。

これを合意と言ってはいけないのでしょうけれど、やっぱり、娘とは言え、プライベートな領域に踏み込むことに後ろめたさはあるのだと思います。


SNSでやってはいけないことを教える前に、まだまだ伝えなくてはいけないことがあると感じました。

悩ましいですね。

でも、私たちは人間ですから。

インターネットはあくまでも便利なツールであって、人生そのものではありませんから。

自分のこどもを守れるのは、やっぱり親なのではないかと思います。

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