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継母継子水入らず

夫が夜勤の日、ときどき娘をお風呂に誘います。
時間にも、気持ちにも、余裕がないとできないので、ときどき。

今日の入浴は一昨日から決めていました。

私の目の前で繰り広げられた父娘の話の中の『娘を産んだお母さん』のくだりが心に引っかかっていたので。

今まで、そこに口出しをすることはやめようと思っていたのですが、私もその場にいて話を聞いていたのに、なかったことのようにしているのも不自然に思えたし、私の思い上がりかも知れないけれど、この話をすることによって頑なな娘の心が少しでも解れるのではないか。と思ったのです。


要約すると、夫の考えはこうでした。

いくら言っても直らない娘の嫌な部分が産みの母親そっくりで、遺伝と言うものがあるから、そう言う部分があるのは仕方のないことだけれど、そう言う部分は無くして欲しい。

悪い性格の癖を持っているのは本人のせいじゃないよ。と言ってあげたかったのだと言います。


私も離婚を経験しているので、相手のことをよく理解していないまま、勢いで結婚して失敗してしまった。と言う過ちはわかります。

でも、それは当人同士の話。

産みの母親の記憶がない娘に、嫌な部分だけ話をするのは、例え意図があったにせよ、褒められたことではないと思うのです。

夫に説明し、許可を取りました。

そうだね、今、この件について軌道修正できるのはケイトしかいないね。と夫。


娘がお気に入りの発泡入浴剤を楽しみ、一緒に観ている鬼滅の話をひと通りし、娘のお友達の話、お父さんとブロックスをやった話、いつも以上に娘の話は途切れず、話し始めるタイミングはなかなか訪れませんでした。

それでも、できるだけ話の流れに沿うよう、静かに話し始めました。


貴女の性格は全部貴女のものよ。と。
貴女を産んだお母さんにもいいところはあったと思うよ。と。


正直、娘がどんな反応を見せるか、更に心を閉ざしてしまうのではないか、不安の方が大きかったです。

でも、娘は、お父さんが言う『産みの母親はもういない』を素直に受け入れていて、けれども私の話もうんうんと聞いてくれたのでした。


そのあとは、また自然な流れでお互いの初恋の話をしたり、一番初めにできた友達の話をしたり、夫と私が再婚する前長電話をしていた話、娘の話題ばかりではなかったよ。と話すと、なんでー?と残念がったり、たくさん写真を見せてもらったよ。と言ったら、どの写真が一番印象に残ってる?と聞いてきたり、気づけば一時間半近く入浴トークに花を咲かせていました。


このまま、何でも話せる女同士でいられたら、私と夫が、いや、私と娘が出会った意味があるのではないかと思います。


娘の心に残ったかどうかは定かではありません。

でも、ようやく伝えたかった、貴女はいいところも悪いところも、全部含めて貴女なのよ。と。
悪いところは自分でコントロールできるようにして、いいところをどんどん伸ばして、楽しい時間が多い毎日を過ごせたら素敵なことだよね。と、言ってあげられました。


娘がずっといい子にしていたら、この話はできなかったと思います。

家族になって半年。
ようやくふたりとも、初めの頃の笑顔に戻りました。
本気で喧嘩できる間柄にもなりました。


秋の夜長、できるだけたくさん、娘とお風呂に入ろうと思いました。

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