女王様と僕 | 1−3 | より良くする存在と、全てはめぐり巡る話
1話で、全ての価値を換金する世の中になって来ている、と書いた、
はず。
で、その換金というのは、SNSのいいねであったり、行動のログだったり、
不幸話だったりする。もはや、何かしらに換金せずに行動を起こすのは不可能なんじゃないかって時に、その存在に出会った。
彼の名前は、心ルナ(シバラレ・ルナ)。僕の名前の「上」と合わさると、
志のちょっと足りないみたいな感じになる。随分と意思を感じる名前だ。
不思議な力を持っていて、その不思議な力は触れる人を根本的に癒して
しまう。
彼は、とあるサービスをやっているわけなのだけど、あるタイミングで
金額が倍になった。それも百円が二百円とかっていうレベルじゃない。
つまり、インパクトは相当大きい。で、なぜそんな事になったのか。
知名度が上がった。これは一つの原因だ。知名度が上がれば、換金価値が上がる。群がる人も増える。稼げるうちに稼ぎたくなる。自然の摂理だ。フォロワーが増えれば、UUUM所属のYOUTUBERのギャラが数千万単位に跳ね上がるように。価値を換金すること。決して悪いことではない。だが、哲学、生き方までも換金した瞬間に、何かが崩れ始める。そういう意味では、彼はかなりこういった感覚に敏感だったと言えるだろう。
彼は、もちろん前の金額でも続けることが出来た。しかし、彼は若干
有名になってしまった。で、今までの金額で引き続きやっていたところ、
いろんな人がやってくる。決して、今までも安い金額でやっていた
訳ではない。ので、相応の効果を期待する人が続出、もちろんする。
そりゃそうだ。圧倒的に癒してくれる力を持っていて、まぁまぁの対価を
求められる。払う方も、それ相応の結果を求めたいところだ。
そんな折、彼は考えさせられる出来事に出会った。もちろん今までの
金額だと払える人は多いし、たくさんの人の役に立てる。だが、本当に
その力を求めてやってくる人もいれば、小銭があるからやって来て、
翌日暇だからパチンコとかに行ってまた疲れて訪れる、みたいな人も
後を絶たない。
すると彼は、自然と疑問に思う。なぜ、やっているのかと。大体想像
ついたと思うけど、彼の能力は、身体を治癒する能力だ。だが、治癒
する能力によって人生が変わるくらい助けられた人もいれば、翌日の
北斗無双13時間打ちっ放しに耐えるための助けとしか活用しない人もいる。
つまり、金額ではないのだ。世の中の循環、つまり流れとして、彼の力は
人を良くすることにより、世の中に良い流れを作ることが特殊能力なのだ。
例えば、腰が良くなった人が、バスで立っていられるようになり、妊婦さんに席を譲れるようになり、バスが急停車した時にもしそこで立っていたらお腹を打ってしまったかもしれない妊婦さんが座っていたおかげで何事もない日常を暮らせる。そんな、目に見えるかはさておき良い循環を生み出すのが彼の能力の喜びなのだ。それが、北斗無双では…目も当てられない。
では、どうやったら北斗無双を排除できるか。いや、北斗無双が悪い訳ではない。が、排除しなければ、彼の心が危うい。結果、彼は値段を倍にした。
どうなったか。
お客さんが、減った。
お拡散との対話が、増えた。(時間に余裕ができるようになったから)
自分の価値を確認できる機会に、巡り会えた。(訪れるお客さんとの対話の中で、自分では気づきようのないエピソードに巡り合うようになった)
力が、増した。比較にならないくらい。いや、増したのか、能力が芽吹いただけなのか。
減ったお客さんが、来る回数が増え、売上が上がった。
良い循環の中を生きるようになったお客さんは治療時間も短く、メンテナンスレベルで済むようになり、他の重症な患者さんに当てられる時間が増えた。さらに上がった売上を、お客さんをもてなす空間に設備投資出来るようになった。
大切なのは、換金した価値を、循環させることだと僕は気づいた。
自分のために使うことがいけないのではない。意識の話なんだ。
コーラが飲みたくて、飲んだとしよう。この一口、リフレッシュ、いいでしょう。二口目。明日のやる気。いいんじゃない?三口目。あいつ、大変そうだから戻ったらフォローしてやろう。素晴らしい。四口目。となりの綺麗なお姉さん、一口飲みたいかな?犯罪。三口目くらいがちょうどいいかもね。
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