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業務可視化のプロが、自社の業務を可視化してみた話

かれこれ2年ぶりの投稿になります。

前回の投稿以降、主にコンサルティング部の立ち上げに注力してきました。おかげさまで業務も人員も順調に拡大し、この23年9月より「リーンソリューション事業部」に名前を変えて、さらに進化を加速させていく段階にあります。(詳細な経緯はこちら

また、同じく9月には日経BP社より「結果が出る仕事のムダ取り ~確実に生産性が上がる実践法 リーンオペレーション~」を出版する機会をいただきました。

リーンオペレーションって?

「リーンオペレーション」というコトバは聞き慣れないと思いますが、「生産性を高めるために、継続的に業務オペレーションを”筋肉質に”すること」を意味します。

「業務を”筋肉質に”しようと言われても、何からどうやって実行していけばいいのか…」

人間のダイエットやトレーニングでも、筋トレやサプリの情報は溢れかえっていますが、どれも断片的な情報。きっちりと全体感を持って順序立てて取り組めている人は、ごく稀です。

業務においても同様で、どこから何を実行していけばいいのか。そのフレームワーク(全体像)を持って取り組むことが重要である、というようなことを本書ではじっくり解説しています(※宣伝)

リーンオペレーション実現のフレームワーク。何はさておき可視化。

上記の絵は、そのフレームワーク(全体像)の概要です。この絵のとおり、まずは何はさておき「可視化(見える化)」が重要。見えないことには、課題も特定できないし、解決もできません。

「可視化」してみよう

当社はこのリーンオペレーションの実践・実現をお客様に提案していますが、当社自身も従業員200名弱の企業であるわけです。人数も増え、業務範囲も多岐にわたる中、「自分たちの業務も可視化してみよう」ということで社内ワークショップを開催しました。

ワークショップの進め方は、至ってシンプルです。まず、全社を部門単位でグループ分けをしました。ワークショップの開始に際して、冒頭で目的等やネライをしっかりと伝えた上で、まずは「業務項目の抽出(棚卸し)」を実施しました。

非常にアナログなやり方ではありますが、付箋紙に書いて、模造紙に並べて、整理して、、を繰り返します。その過程で、チーム内の相互理解も深まります。(※リモート勤務の部署は、オンラインで実施)

付箋に書いて、模造紙に並べてわいわい

次に、抽出した各業務項目に対して、人数×時間×頻度をそれぞれ概算で弾いていきます。1回あたりの時間は短くても、毎日のように何回も繰り返しているとトータルの工数は無視できないくらい大きくなります。

人数や時間、頻度を元に業務量を定量化

さらに、それぞれの業務の難易度を下記のようにABCの3つに分けて、質的な評価もしていきます。

A業務は「経験や知識から高度に判断する業務」であり、より個々が専門性を高めていくべき領域。言いかえれば、属人化もやむなしというべき領域です。

対して、C業務は「手順が明確にあり、それを知っていれば誰でも行える業務」いわゆる単純な業務です。そしてB業務は、AとCの中間ですがどちらかというとC業務寄りのパターン化された業務です。

これらABCの3区分に加えて、会議やミーティングをもうひとつの区分として設定しました。

業務難易度のタイプ(質)にも着目

当社の業務実態は?

そんなこんなで、社内ワークショップを5回に分けて開催し、全社のほぼ全員が自分の担当する業務を抽出しました。各回のワークショップも朝10時~夕方16時すぎまで、みっちり1日がかりで取り組みました。

そして、全社すべての業務を網羅した「全社業務一覧表」が完成しました。

全社全業務の「業務一覧表」が完成!

この業務一覧表は、文字通り「業務を一覧で把握することができる」というものです。

これがあれば、どの業務にどれくらいの時間がかかっているか、難易度の高い/低い業務はどのくらいあるかを、定量的に把握することができます。(1時間あたりの平均人件費をかけると、各業務の「コスト」も概算できます)

また、上の画像の範囲の右側には、各業務のマニュアル整備状況や、工数削減に向けたアイデアなども記入しています。

そうして、集計された主な結果は以下のとおりです。

  • 当社全体での「業務」の項目数:約3,000項目

  • 業務難易度別の工数割合

    • A業務:約30%

    • B業務+C業務:約40%

    • 会議等:約30%

  • B業務+C業務(=しくみ化可能)におけるマニュアル整備率:約50%

さて、ここからどうするか?

「可視化」は、まさに見える状態にすることが目的です。ダイエットする上で、まずは体重計で自分の体重や体脂肪率を知ることが重要な第一歩ではあるものの、体重計に乗っただけでは一向にやせません。

今回のワークショップでは、「業務一覧表が完成し、情報が整理された」というのが直接的なアウトプットです。対して、副次的なアウトプットとして様々な「気づき」があったことが、ワークショップ後のアンケートやふりかえりのコメントにも多くありました。

  • 自分自身やメンバーの業務を、再認識することができた

  • 思っている以上に、ムダが潜んでいそうということに気づけた

  • 自分が目指すような時間の使い方のために、削減や改善をしていきたい

例えば、会議時間が30%というのは、多いのか少ないのか?コミュニケーションをしっかりと取るために必要な部分もあれば、やみくもに参加者が増えてしまってムダを含んだ会議があるかもしれません。

例えば、営業部のメンバーは、1回の商談にどれくらい時間をかけるべきなのか?1時間の面談を実施するための準備や、面談後のデータ整理等々にどれくらい時間がかかっているのか?それをもっと削減できないのか?

「可視化」の結果があれば、「自分たちの部門のあるべき・ありたい姿」を具体的に議論することもできますし、さらには「標準化」「単純化」のプロセスを進めることもできます。

当社もまさに、可視化のステップを終えたことで次のステップに移行できるようになりましたが、社内有志メンバーによる部門横断のプロジェクトチームを組成し、各部門で具体的にどのようなアクションを行っていくかを活発に建設的に議論し始めたところです。

自分たちの業務をより筋肉質にするためにも、そしてその経験・知見を磨き込んでお客様に提案していくためにも、当社自身でも「リーンオペレーション」の取り組みを続けていきたいなと思います。(が、次の投稿が2年後にはならないようにしたいです。)

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