パチプロが本気で貯玉に取り組んだ結果

パチプロは基本その日暮らしだ。
今日の酒が飲めてあとは明日の軍資金さえあればいい。
ただ貯玉の方が得だとわかれば話は別。
だから少し本腰を入れて本気で取り組んでみた。

今の嫁と知り合う少し前くらいだったと思う。だとすれば20年くらい前の話か。
とある店で貯玉システムのサービスが開始された。

その店は貸玉は4円で交換は2.2円だったか。
交換率はやや低めの店だが釘はなかなかいい店だった。
毎日出玉を2.2円で交換してまた翌日4円で借りるよりも、当然貯玉で再プレーした方が得に決まってる。

ただしこれにも条件がある。
貯玉再プレイには上限があるのだ。
一日2500発までしか下ろせないといった決まりがある。

しかし客をつけるためだったのか新しいサービスの貯玉システムを広めたかったのか、その店は手数料なし再プレイ無制限というサービスを開始したのだ。期間限定ではあるが。

これで実質閉店が無くなったようなものだ。

初当たりまで1玉につき1.8円も得してしまう。
仮に1万発ハマったとしたら18000円も得してしまうのだ。
これは乗っからない手はない。

その日の飲み代だけ交換してあとは貯玉をして帰ればいい。
こうしてこの貯玉カードが俺の新しい貯金通帳となった。

まず手始めに1万発程度貯玉したと思う。
そこから3万発、7万発と増やしていく。
もちろん減る場合もあるのだが、一応プロと言うかこれで飯を食っているので徐々に貯玉は増えていく。
一応勝ち負けの金額はメモを取ったり頭の中には入れてはいたが、こうしてはっきりとした数字でわかると嬉しいもんだ(笑)

それまでちょいちょい下ろしては飲み代にしていたが、ちょっと本気で貯めてみようか？
パチプロが本気で貯玉をしたらどうなるか？自分自身興味が湧いた。

今まで貯金なんてまともにしたことはない。現在もだ。
そんな俺が頑張った。頑張りたくないからパチプロになったのに。
すぐさま全部交換して大豪遊したい気持ちを抑えに抑え、貯めも貯めたり20万発！

一度に交換してしまえば44万円か。
しかしそのまま換金してしまってはもったいない。
意外と知られていないが、パチンコ屋は現金ではなく商品に交換した場合すべて等価交換となる。
ただし基本的に商品の価格自体がぼったくり価格となっている。レトルトのカレーが220円だとか。

なので俺は考えた。
全ての店での商品の値段が一定で、ぼったくることが不可能、尚且ほぼ等価交換できる物。

タバコだ。

流石にそのままの価格では売れない。
なので友人に二割引で売ることにした。
これで限りなく等価交換に近くなる。二割引にしても普通に交換するよりずっとマシ。
購入する友人も絶対に割引にならない品物が安く手に入るのでWin-Winだ。

当時1カートン630発前後。
これを2000円で売る。
おいおい・・俺20万発あるんだぞ？その上増え続けるときた。
もう億万長者じゃねーか。
しかしこれには落とし穴があった。

俺には友人がほとんどいなかったのだ(笑)

兄弟もいないしちょっとした知り合いすらいない。
その少ない友人が毎日一度に10カートンくらい買ってくれるなら良いけれど、流石にそんなには買ってくれない。
他に知り合いといったらパチプロ仲間くらいしかいなかった。こいつらは自力で交換してるしなぁ。
1カートン買ってくれたくらいじゃ飲み代にもならない。

他にパチンコ屋がぼったくることが出来ないものでほぼ等価交換出来るものはないものか？と考えた結果、高価買取を行っているCDと交換することを思いついた。

その時高価買取を行ってるCDを下調べし、それに交換しまくって売りに行った。
人気のCDはかなり高額で買い取ってくれるのでこれでも大幅なプラスとなる。
しかしここにも落とし穴があった。

未開封の同じCDを大量に売りに行くと通報されるのだ(笑)

全く考えてなかった。
そりゃそうだ。盗品と思うわな。
警察には正直に丁寧に説明し納得してもらい、お店にも今回は買い取ってもらえた。ただ今回だけ特別だ。紛らわしいからな。

もうこの手は使えない。
なのでタバコをちょびちょびと友人に売りつつ、渋々普通に交換することにした。
でも一度甘い汁を吸っちゃうとそれがもったいなくて、結局交換をしぶっている内についに貯玉は28万発。

我ながらパチプロは凄いと思う。
ほんの数ヶ月でこんなに出してんだなと。
ドル箱にして120～130箱くらいか？
まあ元々負けてない日以外は一日に3箱5箱10箱と出して交換していたんだから当然か。ただ実際に数字で見ると驚きだ。

その後たまに大きく下ろしたりしながら、結局貯玉にも飽きて最後は13～4万発をうろちょろしてたはず。
その内ほったらかしにして別の店に行ったりしていた。もうこの店にも飽きたのだ(笑)

もちろん有効期限は忘れない。その辺は抜かりはない。
こういうことをやらかす男というのはわかってるから逆に気をつけた。
そして有効期限ギリギリで久々に店に顔を出した時、驚愕した。

なんと等価交換の店に変わっていたのだ！

わからない人に今更説明すると、1玉4円で借りて交換も4円。
これが等価交換。
そしてそれがなんと貯玉にも適用されたのだ！太っ腹！！！

こうなるともう貯玉の意味なんてない。一気に交換だ。
全く馬鹿な話なのだが、この時なぜか俺は13万発が26～8万円のような気がしていた。
パチンコで一日爆発してもせいぜい20万が限度。だからそれが染み付いていたのだ。

やあこのお金で何をしよう？30万くらいあったりして。
その頃は今の嫁と付き合い始めていてしばらく立っていた頃。
貯玉パチンコの最後の方は嫁も手伝ったりしていた。二人で温泉にでも行こうか？

大量の景品を抱え二人で交換所へ。
引き出しを開けるとそこには50数万円がドサッと置かれていた。
なんじゃあこりゃあ！！

あーこんなことなら真面目に貯玉しておけばよかった！
28万発の頃だったら100万超えてるじゃないか！！
でもタバコだのなんだの売ってたしそれほど損はしていないか・・・と諦めた。今はこの50万円が嬉しい。
今日は美味しいものを食べよう。

お金は嫁に貯金してもらうため全部預けて、俺はウキウキしていた。
今までの貯金と合わせりゃ一体いくらになっただろう？

これまでの全部を読んでいる人にはその結果はわかっていると思う。
その50万は貯金されること無く嫁の両親に取られ、消えて無くなったことを。
嫁と嫁の両親に騙され、俺は貯金どころか本人の知らぬ間に借金を背負わされていたのだ。

やっぱり俺には貯金はできない。