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ギャンブラーとしての資質

ギャンブラーとしての資質、即ちギャンブラーとして向いている人はどんな人だろうか?
イチかバチかで命をかけるのも厭わない人?
マンガじゃあるまいしそんなことはない。
じゃあハイリスク・ハイリターンを楽しめる人か?
それはただ賭け事が好きなだけだ。


答えは簡単。
ノーリスク・ハイリターンの状況を作り出せる人だ。

もちろん完全にノーリスクなんてことはなかなかない。
それでもローリスクを限りなくノーリスクに近づけていける人、もしくはその努力をしている人がギャンブルに向いている。

つまりギャンブルをギャンブルにさせない人。

以前にも書いたが、パチンコに然り競馬に然りカジノにも然り、元締めの勝利は約束されている。
故に客側の圧倒的な負けも約束されたものなのだ。
対人の麻雀のような対等な立場ではない。
そんなものに運任せで金を稼ごうなんて無理な話。

だからそれをひっくり返せるだけの技術や理論、根拠が必要。

持って生まれた天運なんてものもない。
人間は必ず帳尻が合うように出来ている。
必ずだ。
だから運任せにする人はギャンブルには向いていないからヤメた方がいい。
一日中ポーカーをやって、一人だけ4カードが配られ続けることなんてない。

こうすれば勝てるという自信と確信。
それがなければ負けるのは当たり前。


ただ・・・こういったもので暮らしている人には、それだけじゃない更に上の何かがある。
イカサマをやる度胸や技術もそのひとつ。
そして天運なんかじゃない。悪運を持つ。

イカサマに関しても、ある意味絶対にバレないという自信と確信があるからのなせる業。
それもまたひっくり返すための一つの方法だ。オススメはしないが。
一見ハイリスクにしか思えないが、本人にとってはローリスクなのだ。

だから俺には一日中、4カードが配られ続ける。


小さな頃、小さな塾に通っていた。
最初は大勢で習っていたものの、その内一人辞め二人辞め、気がつけば最後は俺一人先生一人の英語塾。
英語の授業とは名ばかりの遊びばかりだったが。

その中でトランプのマジックとイカサマを教わった。
何という授業をしてくれたのか。
彼は俺にノーリスク・ハイリターン、そして自信と確信を与えてしまったのだ(笑)


高校生になり、ある日友人宅でトランプでポーカーをして遊んだ。
テキサスホールデムのようなものじゃなく、5枚ずつ配る普通のポーカー。
ちょっぴり金は賭けたが、大丈夫。ちゃんと金は返したと先に書いておく。

俺が子の時は余程のことがない限り大きく賭けない。
当然ブラフをこきまぜながら、いい手が入った時には賭けていたけども。
俺が親、つまり配り手になった時が真骨頂だ。
相手にはそこそこ良いカードを配り、もちろんそれに勝てるカードを自分に配る。
アホほど儲かる。

全員が真っ青になって何かおかしいと感づいたあたりで、親番の時に4カードを連発してみせた(笑)

「イカサマだ!!」といきり立つ友人達に「いい勉強になったろう」と言いながら金は全部返した。
がしかし、友人達は金が返ってきたのにもかかわらず更に疑問を投げかけてきた。

「お前が配ってない時はどうやって勝ってたんだ?」と。

そんなもん偶然と読みとブラフだ。
ポーカーは読み合い押し合い騙し合い。
カードの運不運だけじゃなく、ポーカーはある意味株式等の投資に似ている。
波が引けば押し、波が押し寄せればギリギリまで引いて押し返す。
あとは確率と統計と流れ、そして多少のチラ見程度。イカサマってほどのことではないから知らん顔。

「最後に一回だけ俺と二人で勝負しろ。カードは俺が配る。千円賭ける」

「俺が見張ってる」
「俺はこいつの代わりにカードを持つ。お前にカード見せるから交換したいカードを俺に言え」

怒りに燃えた友人3人の連合軍(笑)
カードに触らせてもくれないんじゃ流石に手に負えない。
配られたカードはバラバラだった。

ただ・・・このバラバラのカードの並びに見覚えがあったのだ。

これは前回友人が最後に開いて見せたカードの内の3枚。
残りの2枚は、前回の俺の4カードの内の1枚と別の1枚。
前回俺は、友人が開いたカードの上に自分の4カードを重ねて置いた。
友人がどんなシャッフルをしたかはわからないが、この様子ならきちんとシャッフルされていない可能性もある。

つまり今友人が持っている山札の上から数枚に、前回の俺の4カードの残りの3枚のどれかが眠っている可能性が高いのだ。
ならばその前回4カードとなっていたカードだけを残し、残りを交換だ。
少なくともこのカードでワンペア、運が良ければ3カードもある。
「このカードだけ残してあとの4枚交換してくれ」と友人に伝える。

そして配られたカードを開くなり、カード持ち係の友人が叫ぶ。
「インチキだぞ!またイカサマだ!おかしいだろ・・・」

ぶん投げて開かれたカードは4カードになっていた。これが悪運。

3カードでヤメておけばいいものを4カードになってしまうなんて(笑)
残念ながらこの千円にも縁がなかったか。イカサマじゃないんだけどなぁ。

「お前何をやったんだ」と呆然とする三人に舌を出す俺。
「もうトランプはヤメだ!麻雀にしよう」

いいのか?俺は麻雀の方が得意だぞ?色んな意味で(笑)

まあ大丈夫だ。お金は全部返した。
ビールくらいはみんなに奢らせたけども。
ただしもう二度とお前とやらんと言われた。その方がいいだろな。


今思えばパチプロをやってた仲間達は俺みたいな奴らばかりだった。
このくらいの力がなけりゃ生き残ることが出来ない世界で、修羅場をくぐり生き残った奴らなのだ。
だから出来る限り関わらない方がいい。
イカサマが服を着て歩いているようなもんだから。



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