札幌横断ウルトラ散歩
厳しい。
ちょっと間違った。いや完全に間違ったなこれは。
そんなつもりはなかった。
また散歩の話になってしまって申し訳ない。
しかしそれが趣味なものだから仕方ない。散歩のプロと言っても良い。プロ散歩師。プロサンプァー。
そんなプロ散歩師が、先日地下鉄乗り放題の切符を落としたついでに酔っ払い散歩をしてえらい目にあったというのに、またやってしまったのだ。
ちょっとした買い物をしに札幌駅へ。
ヨドバシだのなんだのと色々巡ってみたものの、思っていたよりも値段が高く結局手が出なかった。
他にも売っているところはなかったか?
少し離れたところにもう一軒店があるしそっちを見てみようか?
それよりもとりあえず一休みしなければ脚(膝)が持たないな。どこか一服できる場所はないか?
しかしコロナ禍の今喫煙所は閉鎖されている上に、札幌駅周辺はすべて喫煙禁止区域。
タバコを吸うにはこの禁止区域から出て人の少ない場所に行かなければならない。コンビニで酒を買い渋々区域外を目指す。
これが間違いの始まりだった。
札幌駅北口を出発し、とにかく人通りの少ない方へと向かう。
それでいて一服後に買い物が出来る方へ。
コンビニやドラッグストアを経て、気がついたら俺は東区役所の前にいた。
言わずもがな、札幌駅は中央区である(笑)
そこに至るまで数本の酒を飲んではいたが、そこまで酔っ払っていたつもりはない。
だがやはり多少酔っていたのだろう。
ぼんやりとだが記憶にあるルートを示すとこうなる。
ここまでコンビニ3件、ドラッグストア1件、スーパー1件に立ち寄り酒を買った。
ほろ酔いと言ったところか。
区役所の石垣(?)のようなところに腰掛け、お酒を飲みながら一服。
時間はもう夕暮れ時で人もまばら。
タバコを吹かし目の前を行き交う車を見ながら「少しお腹すいたなぁ」と思っていた。
道路を挟んだ目の前にはまいばすけっと。
俺が大好きな安酒が置いてある。
でもわざわざ信号渡るのも面倒だし、この先に行けば大きめのスーパーもある。
そっちに向かえば惣菜もあるし、確か専門店の美味しいパンも売っている。
なんだか無性にそこのクリームドーナツが食べたい気分。
ここは道路を渡らずスーパーに向かおう。
これが最大の間違いだったのだ。まさにターニングポイント。
頭にあったスーパーは想像していたよりも少し遠くて、結構な距離を歩くこととなった。
だがここまで来たからには仕方ない。
酒を数本と惣菜と目的であったクリームドーナツも買う。
歩きながら飲む。食う。飲む。食う。飲む。
来た道を戻りたくない俺は、別ルートを辿ってアリオ経由でサッポロファクトリーに向かい、バスに乗って帰ることを選択。
大きめのUターンのような形で右に二度曲がって進むことにした。来た道を通らずに元に戻る予定。
店を出て信号を渡り、一度目の右折。
後は真っすぐ進んでもう一度右に曲がるだけ。
だがそこに右に曲がる道はなく、左カーブの道しかなかったのだ。
仕方なく道なりに進んで環状線まで出て右に曲がる。
そしてそのまま真っすぐ進んだ・・・。
そう。俺は二度右に曲がるというノルマを達成したと勘違いしたのだ(笑)
酔っていなけりゃすぐに気がつく。
酔っていても昼なら気がつく。
片側三車線のどでかい道。
だが音楽を聞きながらベロベロに酔っ払っていた俺はしばらく気が付かなかったのだ。
もちろんある程度進んだところで気がついた。
嫁に「環状線にいるかも知れない・・いやいるね」というラインも送っていた(笑)
今更もう引き返せない。
地下鉄駅ももうかなり通り過ぎたのでどこかでなんとかバスに乗れれば・・・
しかしバス停を見つけるも路線図がない。
どれに乗れば良いのかもわからずどこに行くのかもわからず。
もう酒を飲むのはやめて、温かい缶コーヒーで手と体を暖めつつ足を引きずりながら進む。
時間はすでに21時過ぎ。
緊急非常事態宣言の影響もあり店が閉まっていて、環状線なのにやけに薄暗い。
ようやく行き先が分かるバス停を発見する。
地下鉄駅まで向かうバスらしい。
だがそれこそもう無駄なんじゃないだろうか?
もうひと踏ん張りすれば地下鉄駅まで歩けない距離でもない所まで来ている。
ある程度進み、地下鉄駅までのゴールが見え始めた頃、仕事中の嫁からラインの返信があった。
「まだ帰れはしないけど迎えいるの?」
「頼むわ」
「わかった。でもまだ帰れないよ?」
これで一気に余裕が生まれる。
ここから一歩も歩けないとしても、待っていれば嫁が拾ってくれるのだ。
限界だと思っていたがまた気力が湧いてきた。
嫁が迎えに来るまでスーパーで買物でもしていよう。
仕事終わりに迎えに来てくれる嫁に美味い物食べさせてあげないとな。
値引きシールも貼られてる頃だし色々買って、ついでに明日用のお酒も買ってしまおう。
持っていた袋二枚がパンパンになるほど買い物をする。
片方は完全に商品がはみ出ていて、手提げ部分をつまむことしか出来ない。
買い物を終えたところで嫁からのライン。
「まだかかるからなるべく家の方まで近づいていて」
それならば仕方ない。
まあ休み休み荷物を地面に置きながらゆっくり進もう。
そして結局嫁が迎えに来たのは2時間半後であった。0時前。
俺は娘が通う小学校のそばにいた。
つまり家までもう目と鼻の先である(笑)
何度かパトカーが横に止まり不審者扱いされそうになったので敢えて迎えに来てもらった。
まあある意味不審者で間違いはないんだけれども。障害あるのにこんなに歩く奴いないし(笑)
最終的なルートはこちら。SNSでここまで自宅の場所をわかりやすく説明するやつも珍しいがそんなもんはどうでもいい(笑)
赤い塗りつぶしが札幌駅で、青い線の場所が東区役所。
要するに最初と二番目に紹介した地図でお酒5本飲んだり二度右に曲がっただのどうのと言っていたのが左上のゴニョゴニョっとした一部分。
その後道を間違ってその数倍を歩いてしまったのだ。まさに札幌横断。
参考に黒い線で示している部分が市電のルート。
これを見る限り市電一周分以上は歩いているのではないだろうか?
数日間膝の痛みに悶ながら「もうこんな真似は二度としない」と誓いつつ、その数日後に行った散歩が、前回書いたコロナワクチンの後の散歩だったりする。
でも反省なんかしない。なぜなら俺はプロの散歩師だから(結構気に入っている)
頂いたサポートはお酒になります。 安心して下さい。買うのは第三のビールだから・・・