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MOTOWNとアジャイル

先日、映画「THE MAKING OF MOTOWN」を見て、何となく「このチームってアジャイルだよな」と勝手に思い込んだので、とりあえずまとめてみました。完全に妄想です。

ちなみにモータウンとは1960年代に発足し、世界中にブラックミュージックをひろめた、とても音楽シーンに影響の大きかったレコードレーベルです。あまり音楽を知らない人でもたぶんその音楽は聴いたことがあると思いますし、スティービーワンダーやマイケルジャクソンを世に送り出したのもここのレーベルなのです。

1.バックボーンと目指すもの

アジャイルの基本は「タイムボックス」。ウォーターフォールに代表されるような一般的な企画開発は作るものを明確に定めて、それに見合ったリソースとスケジュールを決めて計画的に行う。レコードであれば、これこれ、こういったターゲットに対して、こういうアーティストを擁立し、プロデューサーは今回は彼にお願いして、作曲は・・・バックバンドは・・・といった感じで企画される。(と思う)それに対してアジャイルはチームと時間は決まっている中で、目指す方向やイメージに向かってどれだけ近づけられるかを考える・・・というものです。

モータウンの場合は資本金がそもそも800ドルなので、いくつかヒットが出たところで、そんなに金はない。しかも当時の黒人は社会的な制約も多く、ほいほい必要なリソースを集めることはできない。いやおうなく自分たちでやっていくしかない。アジャイルなやり方に向かったのは自然な流れなのでしょう。しかも彼らが目指したのは「黒人による黒人向けの音楽」ではなく「黒人による音楽を世界中にひろめる」。市場が未知なものの上、事実上無限大! これをチームでいろいろアイデアを出したり試したりして、考えていくのだから、アジャイルというものは必然な気がします。

・・・・当然この頃にはアジャイル開発なんて言葉はありませんでしたが

2.品質会議

映画の冒頭に登場する「品質会議」、ここで話し合われるのは出荷のための品質を審査・検討するのではありません。企画・制作の段階から自分たちの考える製品の品質「世界中で売れる」を求めていろいろ話し合うものでした。品質を出口ではなく、早い段階から作りこむという考え方は、ものすごくアジャイルな考え方ですよね。しかもその会議は社長の採決ではなく合議制で社長の意見であっても否決されることもよくあったとのことですから、ヒエラルキー的な階層により運営された会議ではなく、あくまでディスカッションをする場だと思われます。チームで色々なことを決めていくというのもとてもアジャイル的ですよね。

しかもシーンの中には、次のレコード、その次のレコードの企画と続いているという事を話している者がありました。同じメンバーで次から次へとアイデアを出し、品質会議にかけて、作って、プレスして送り出す。実に流水化、DevOps的な考え方!


3.ファシリテーションとチーム

モータウンはデトロイトの住宅街の中のさほど大きくはない一軒家を活動場所とした。その狭い場所の中で企画を考え、会議をし、実際に楽器を使って演奏し、レコーディングまでやったとのことです。これはまさに「大部屋」。チームのみんなが同じ場所で働くことでお互いの状態や状況が自然に見える化され、相談したいことがあればすぐに声をかけることがきるるのです。間違いなく風通しはいいはずです。さすがにポストイットはない時代なのでカンバンは無かったと思いますが。

さらにチームメンバーの構成にも目を見張るものがあります。モータウンの幹部には女性が多かったということ、そして幹部の中にはイタリア系、つまり白人もいたという事。この時代を考えるとものすごくダイバーシティです。いろんな出自の人がいて、その人たちが自由にアイデアを語り合う・・・・いいものができないわけはありません。

という感じで、あのモータウンによるムーブメントが巻き起こり、その後の音楽の世界にも大きな影響を与える功績が生まれたのは、そのアジャイルな文化の中でできたのだと勝手に妄想してみたのです。

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