見出し画像

LTテーマの簡単な選び方3選

LTを再定義する」と「LT登壇は恋より簡単」の続編です。LTの目的って「交流」だということ、LT登壇を申し込む楽な方法について書きましたが、ここではLTのプレゼン資料のテーマ、お題の選び方を紹介してみようと思います。あくまでもアイデアの一つですから、テーマが決まっている人、アドバイスをもらった人は別に気にしないで自分の道を進んでもいいかなと思います。

1.共感、勇気、共有

コミュニティやイベントに於いてLTが存在する理由は講演やセミナーと異なって「知識を与える」ことではなく、あくまで「参加者の交流」です。LTに期待することが知識だけならばLTなんかの募集はせず、有名な人をバンバン呼べば良いのです。登壇者が見つからないリスクを冒してまでLT会を開催する理由はありません。だから「みんなのためになる知識を」「自分の体験を使ってもらって・・・」なんて無理に気張る必要なんかありません。普通の人が普通の事を話すのがLTなのです。ここではその認識に立って3つのLTテーマを選ぶ観点を紹介しようと思います。

共感・勇気・共有

まるで少年ジャンプの三原則(友情・勝利・努力)みたいですが、この3つに沿って、具体的にどんなテーマにしたら良いのかの紹介してみます。さらに、そういうテーマだったら聞いてくれた人に何を与えられるのかも解説したいと思います。あくまでも参考ですが・・・・

2.共感のLT

「共感」のLTのポイントは「主観」です。講演やセミナーは知識を与えるためのものですから主観は許されません。きっちりと客観性をもった講演内容にしなくてはいけませんが、LTは交流が目的の、たとえるなら自己紹介みたいなものなので思いっきり主観でもかまいません。例えばこんなテーマなんかどうでしょうか?

「自分が好きな××3つを紹介」

「今回の××で気になった2つについて」

「自分が得意な4つの×××対処法」

「勝手に選んだベスト5」

「自分が好きなxxxxを思いっきり紹介する」

みたいな内容です。こういった内容だと良いことがひとつあります。「否定されにくい」ことです。登壇してるときに「それは違う!」とかみたいに間違いを指摘されてしまうのは、やっぱり恐怖です。いわゆる「マサカリ」というやつですね。それが怖いから登壇しないという人も多いでしょう。でもこういった「自分が好きな・・・」とかのテーマにしておくと安心できます。万が一マサカリが来ても「だってぇ好きなんだもン」の一言で決着がついてしまいます。登壇にあたっての心理的安全性が保たれます。

こういったテーマは全員に感心してもらう必要もウケる必要もありません。刺さる人につき刺さればいいのです。極論、刺さった人がたった1人でも構いません。むしろそのほうが素晴らしい出会いになります。だから50人の参加者であれば、1人か2人の自分と同じ感性の人、フィーリングが合う人、極端に言えば自分と同じ「変態仲間」が見つかればいいのです。登壇後に「実は自分もそう思っていました」とか「同じ風に考えている人がいて嬉しかった」と言われれば大成功です。講演ではないのですから参加者全員に価値を与える必要はないのです。会場のどこかに潜んでいる「まだ見ぬたったひとりの人」のために話をしてみましょう。

そう考えると楽しいですよね。


3.勇気のLT

「勇気」のLTのポイントは気持ちとか経験の暴露です。講演だと知識とかノウハウを伝えることが重要になりますが、「交流」が大事なLTの場合は、「こんな自分がここに居ます」でも充分素晴らしいことなのです。そのテーマ、例えばプログラム言語のコミュニティであれば、そのプログラム言語に初めて挑戦した時の気持ちとか苦労話とか、そんな内容で良いのです。例えば・・・

「初挑戦した時の思い出」

「初心者時代に苦労したこと10個」

「褒められてうれしかった体験」

「チャレンジしてみて思ったこと」

「自分がステップアップできたいきさつ」

みたいな内容です。気を付けないといけないのは自慢にならないよう、謙虚に話すことくらいです。そこに気を付けさえすれば、自分が体験した事を思いっきり話せばいいのです。よく「自分の平凡な体験なんておもしろくない」なんていう人がいますが、そんな事はありません。人の人生十人十色、人の経験というものが他の人と全く同じなんて絶対にありません。他人の話というものは本質的におもしろいものなのです。安心して話してください。

コミュニティとか勉強会というものは「自分は一人ではない」という事を知る場所です。職場とか学校の中の限られた人間関係の中で孤独な思いをしている人もいるかもしれません。仕事内容によっては職場に同じような仕事をしている人が少ない職種もあります。例えば広報の人とか、社内の情シスとか、分析ツールの利用者とか・・・あと、職場にはその人と同じような興味とか向上心を持つ人が居なかったりします。そういう人たちが集まってきて「同じ思いをしているのは自分だけじゃない」と知る場所がコミュニティなのです。そこから勇気をもらうために集まっているのです。だから参加者はあなたがそこでLTをして存在を示すことだけで参加した意義があるのです。参加者のために充分なっているんです。あなたの発表内容が平凡でもダメダメでも構いません。むしろそのほうが「俺とおんなじだ!うれしい」みたいに共感してくれているかもしれません。願わくはあなたの発表で「自分ももうちょっと頑張ってみよう」とか思ってくれていると嬉しいですよね。

4.共有のLT

「共有」のLTのポイントは事実です。「共感のLT」が感性に訴えるモノ、「勇気のLT」が感情に訴えるモノ、そしてこの「共有のLT」は知恵に訴えるモノです。「知恵」だからといって講演のように整理された知識体系でも成功者が語る成功へのポイントでもありません。たしかに素晴らしい研究成果とか成功事例は素晴らしいものではありますが、平凡な経験も、失敗してしまった苦い経験も非常に貴重な知識のひとつなのです。だからこういった内容でもいいのです。

「自分が経験した失敗談」

「あのプロジェクトで悔しかった事」

「xxxxの仕事であった恐怖の体験」

「最近経験したひやりとした事」

「あの時の自分に言いたいこと」

人間以上に組織というものは「失敗」を見せたくないものです。本人が話したくてもいろいろなバイアスがかかって、公表されることなく握りつぶされることがほとんどだと思います。ですから講演会で失敗談が語られることは非常に少ないと思います。でもコミュニティであれば失敗談も可能です。なんなら匿名で話せばいいのですから、参加者は「どこどこの会社が失敗した」なんて知る必要もありませんし興味もないかと思います。

失敗した話というのは非常に大切な「経験の知」です。これは成功した話よりも有用な知識だからです。なぜなら成功というものは複数の数多くの要素によって成り立ちます。成功事例として発表された内容以上に、個々人の努力とか経営層の理解とか、タイミングとかいろんな要素が重なって成功という果実にたどり着いているのです。だから成功事例の猿真似をしたところで必ずしも成功しなかったりします。反対に失敗というものは一つの要素を取り除くと容易に回避できたりします。だから失敗の共有をしたほうが参加者の役に立つのです。

さらに登壇者にとって失敗について語ることは、失敗してしまった想いを外に出して成仏させることにもつながります。失敗って事実以上に心のどこかで引きずってしまう、ちょっと勇気が出なくなってしまっているみたいな事につながっていたりします。LTでブチまけてすっきりして次に進みましょう。


今回はLTのテーマを考えるヒントみたいなものを書いてみました。これからLTしてみようと思っている方の参考になればと思います。

人間って存在するだけで価値がありますが、LTって登壇するだけで価値があるものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?