見出し画像

第 12 回 INEVITABLE ja night イベントをレポートしてみた。スクショなしで

2020年9月28日月曜日の21時から、GoogleさんのイベントINEVITABLE ja nightの12回目がオンラインで行われました。11回目までは六本木ヒルズのGoogleのカッコいいセミナールームで実施されていたのですが、コロナの関係で中断されました。今回久しぶりの開催はオンラインという事です。記念すべきオンライン第一回のテーマは「行政サービスにおけるGovTech/CivicTechの不可避な流れ」です。菅内閣がスタートし、政府が急速にデジタルの方向にかじを切ったこのタイミングとしてはタイムリーなテーマです。興味津々で視聴しました。

メインセッション開始

最初はGoogleの鈴木さんのオープニング説明。このINEVITABLE ja nightの趣旨である「クラウド技術の進化が引き起こすその先の世界を 機械学習 VR/AR IoTなどの領域」を中心にいままでオフラインで11回開催された話とかQ&Aセクションとかツイッターのハッシュタグの説明をして、スタートです。やっぱりオフラインのほうが反応が見れてやりやすいっぽく、慣れない感じでのスタートでした

今日のゲストは前内閣府副大臣で自由民主党の平 将明氏とCodeForJapan代表理事の関 治之氏、そして聞き手はいつもの小島さん。

いつもよりも堅い感じのゲストなのでどんな感じになるかと思いましたが、いつもの感じの小島さんの話で始まりました。パチパチパチパチ

そこからゲスト各氏の自己紹介。

平 将明 氏(前内閣府副大臣、自由民主党 衆議院議員)

ついこの前まで前内閣府副大臣で、そしてコロナの接触確認アプリのCOCOAでCodeForJapanさんともかかわったそうです。


関 治之 氏(一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事)

Tシャツでの登場、しかも経済産業省が作ったTシャツらしいです。行政と一緒に考える「ともに考え共に造る」という活動をしています。CodeForxxxxという地域のコミュニティはたくさんあります。

モデレータ : 小島 英揮 氏(Still Day One合同会社 代表社員 パラレルマーケター・エバンジェリスト)

いつもの小島さんです


・・・いつもの感じのスタートです。

最初は小島さんの「e-Japan」の黒歴史(?)

いろいろトライしてみたけど難しかった、という経験の話。・・・・いろいろ考えたり手を動かすことにとチャレンジしたけど、今考えると「あまり変わっていない」といった感じ。当時はは本人認証の問題とか、デジタルデータと言っても対象がWordファイルだったり、PDFだったとかがあってなかなか進まない感はあった。それは今も変わっていない感じ。

一方で最近の活動のなかでは、オープンソースとかが出てきてきて変わってきている。東京都のコロナ情報ポータルとかオープンソースでいろんな自治体に展開できることが出来たとか、データの共有が進んできたとか進んできているところもある。

さらに、この企画が決まった時にはなかったので「デジタル省」作りましょうと言おうと思っていたけど、最近に内閣が変わって「デジタル庁」が決まり、ここのところ急速に時間が早く回ってきた感じがあって期待している。


ここからは対談に突入、うまくはまとめられないので、気になったところをところどころまとめてみました。

行政サービスはとコロナ禍になって変わったか?

人と人が会う機会がどうしても減った、感染予防で密を避ける為に・・・などという避けられない必然性に追い込まれたこと。世界中でコロナ禍が広まったので、台湾などの海外の先進的な事例など、たくさん情報が入ってくることもあり急速に事態は進んできた。しかし、今回の急な対応など新しい領域は今までになかった新しいツールやアプローチができたが、今まであった根本的な部分のサービスは、旧来のままで根幹の部分はなにも変わっていない。

今の状況はデジタル化が進んだというよりは、その差が明確になって問題が顕在化したというのが今の認識

政府によるデジタル化の推進と言えば、以前は民間事業の圧迫とか、個人所法とかで企業や市民側に大きな拒絶感があったが、今回のコロナ禍をみるとそれがあまり無かった。それはなぜかと考えると、海外の情報がたくさん入ってくるようになって「世界に取り残されている」というようにみんなの認識が大きく変わってきている・・・・これから大きく世の中が変わっていくと思う

いままで改革が進まなかったのは、旧来のアナログの行政サービスのクオリティがグローバルで見ても非常に高かったため、危機感はなかった、困っていない認識だった。だからエストニアの例を見ても「小国だからでしょ」といった冷めた反応だった。


デジタル化、改革を進めるにあたっての阻害要因は3つ

縦割りの弊害:省庁ごとの対応がばらばら、

横割りの弊害:自治体ごとに違うインフラ、

個人情報の扱いがばらばら、

三つの壁をどう壊していくか。個人情報については個人情報保護委員会は民間しか領域ではない。これを全部見るようにする。これとデジタル庁をベースに進めていく。イニシアチブをもって先のビジョンをどう作っていくのかが大事

菅総理は改革に一貫して意欲があった。例えばふるさと納税や、ダムの放水などでも行政を調整しきった。縦割りを破壊するのは得意なので、これから進むことが期待できる。


リフトアンドシフト

デジタル化はクラウドでよく言われる「リフトアンドシフト」と似ている。

リフト:今の仕組みのままクラウド(デジタル)に持っていく(改善)

シフト:仕組みをクラウド(デジタル)に合わせて変えていく(改革)


今回のデジタル庁は「シフト」を狙っている、デジタル化にはBPRが必要と考えている、デジタルを理解していない人では今のままの仕事をそのままデジタル化する「リフト」しかできなくて効果は部分的。たとえば一時期話題になったの官公庁のRPAツール導入に代表されるように「いままでの仕事をそのままRPA化」という、必要のない仕事もそのまま残してしまう「リフト」の色がものすごく強い。決めるのも現場中心で横串の概念がほとんどない。

GovTech CivicTech

海外はオープンソースの活用の考え方が浸透していて、オープンソースは公共投資で図書館のようなものと考えている。がから税金を使って作ったシステムはオープンソースにして公共のものという考え方になっている。こうやってみんなで支えていく潮流になっている。日本でも「東京都コロナ対策サイト」などは同じ考えで、そういう動きが学生たちも引き付けている。学生たちはQiitaとかの技術系ブログの公開記事から情報を得て、さらにGitHubを見て調べていて貢献のやりかたを調べたりして参入してきている。

CodeForJapanの参加者もコロナ禍になって急に増えてきている。

SIベンダーに依頼していたころとの違い

今までのやり方だとSIベンダーに頼むことになるが、ベンダーは「言われたものをそのままつくる」という姿勢だったが、今のオープンな進め方だと「何をしたいか」だけ提示してもらって、どうやって作るかは任される。そこで色々なアイデアが出てクリエィティブに開発ができるようになっている。COCOAはまさにみんなで作っていった。今までのベンダーとのやり方では「できない理由」ばかり提示されたが、オープンなやり方、メンバーの場合は「これだったらできる」という前向きなアイデアが出る。

プロダクトマネージャーは重要だが、これはどちら側、行政側でもCivicTech側でもよい。大事なのは文化ややり方を理解してるかどうか

一部には「CivicTechはタダ」という誤った理解がある。プロジェクトによって関係性は変わるが、GovTech寄りのプロジェクトであれば責任分界点を決め、対価はちゃんといただく。いままでのベンダー時代との違いはよりアジャイルに行われる事。これはベンダーでも考え方を変えればできる事。

官庁の場合単年度会計という期をまたいで持ち越せないという難しさがある。根深い課題。今までの行革のなかでは基金をつぶしてきたが、科学技術とかイノベーションに関する部分は「基金」としての運用が必要になる。デジタル庁では一括でデジタル投資を調達していく事でコントロールし、基金もつくって、これを実現していく。行政にはできないが政治にはルール作りができるので実現可能と考えている。

熟議のシステム

これからは「熟議のシステム」が必要。いろいろな議論をオンラインで重ねていく仕組みが絶対必要。透明性、信頼がないとデジタル化はうまくいかない。市民側も欲しい欲しいばかりではなく将来の事を考えて冷静に議論ができる。そしてその中でフィードバックループを回していくしくみが必要。台湾だと「V台湾」などがある。選挙の時だけでなくずっと議論を続けるのが大事。今はみんながスマホを持っているのでスピード感のある改革が可能ではないかと期待している。


トップダウンとボトムアップ

ルールは大事でデジタル庁に期待するが、現場側のほうの知識や意識を変えていかないと抵抗勢力になりがち・・・これを変えていく事も大事。

トップダウンとボトムアップの匙加減というかバランスが落とし穴。ループが大事。現場の意見では本質的な変化が起きず、トップダウンが必要だが、現場が動かない。すり合わせが大事

個人情報に関してだけはトップダウン。そうでないとグローバルな動きについていかない。


変革のための人材像

これからの変革にはIT音痴のトップや幹部がネックになってくる。ここにどう向かうかが大事、

変革を進める人材層は

世界の潮流がわかって、感性があって、技術を持っている人が話し合う

事業や団体のトップを務めた人が一人いると目詰まりを見つけられる。生態系を見れる人材

行政がキャッシュフローを理解できていないので、そこをしっかりマネジメントする。

経営者がもっと政治家にならないといけない。・・・なかなか無い。流動性が必要。法律を変えるには政治の世界が必要


参加した感想

今回の話を聞いて思ったのは、これは行政だけの話ではなくエンタープライズの世界も全く同じだということ。縦割り横割りの話なんかは本当に身に染みる話です。デジタル化、ほんとうのDXを進めるにあたっては非常に勉強になりました。

あと、今回INEVITABLE ja nightはオンライン初開催でしたが、地方からの参加を考えるとメリットのほうが大きいかなと思います。ただ登壇者だけでなく参加者同士の交流はやっぱり価値が高く、いままでこのイベントで出会った人達との出会いが今の自分の行動原理を支えていることを考えると、六本木ヒルズが懐かしいです。


次回開催を楽しみに待っています




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?