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【動画レポ】JAWS-UG IoT専門支部「Amazon絡みの無線通信を学ぼう」

本日は2023年4月26日に開催されたJAWS-UG IoT専門支部のイベント「Amazon絡みの無線通信を学ぼう」について動画をベースにレポートしてみたいと思います。タイムテーブルを見る限り今季はMatterの話が多いみたいです。毎回IoTLTも見ているなかでちょっと出ている話題なので、きっと多少はわかる気がします。がんばって書いてみます

<動画です>

0:00:00 オープニング

オープニングは運営の青木さんから、東京猟友会所属!だそうです。今回の配信についてAWSの沼口さんに感謝しつつJAWS-UGの紹介、IoT支部の紹介と続きました。

JAWS-UG IoT支部の紹介

本日のタイムテーブルが紹介され、本題に入ります。

タイムテーブル

0:05:09 Amazon絡みの無線通信について: IoT 専門支部 立石さん

登壇一番手は株式会社グリーンノートの立石さんからです。最近の無線通信の話題です。
最初の話題は「宇宙」です。AWSが打ち上げたVulucanロケットと先日発表されたAmazonが打ち上げた衛星と通信するためのアンテナなど宇宙周りの話題(Project Kuiper)から始まりました。

最近はAmazon関連では先程の「Project Kiper」やその基地局を支えるGround Station、5GのAmazon Telco Network Builder、Alexa周りのAmazon Sidework、そしてMatterなど新しい無線サービスが出てきていて今後益々無線通信が重要になります。

無線通信が益々重要に

これらの通信サービスはそれぞれAWS IoT Coreを始めとするAWSのサービスと密接に統合されています。Matter以外は日本ではリリースされていませんがSidewalkなどでは街中をデバイスを持って歩くだけでデータが集められたりします。

AWS Ground Station

2018年サービス開始。衛星の基地局の時間貸しサービス。予約制で人工衛星と通信できる。Project Kiperで大量に打ち上げられる衛星との通信ができるようになります。

AWS Ground Station

AWS Telco Network Builder

5Gの基地局を作るサービス。5Gの場合は機材がいろんなメーカーから出ていますが設定が複雑なので、それを簡単にできるようにするサービスだそうです。今後はプライベートな5Gも普及するそうなので使われていくサービスであるとのことです。

AWS Telco Network Builder

Amazon Sidewolk

町中にある様々なセンサーを簡単にAWSにつなげていくサービス。各家屋に中継デバイスを置いて繋いでいく形です。家中のセンサーや水道の計量器、自転車のトラッカー・・・をIoT Core に届けてくれます。

Amazon Sidewolk

ある程度数やサービスエリアがないと成立しないサービスですが、アメリカでは東海岸を中心にかなり広がってきています。

Amazon Sidewolkのサービスエリア


このあとが今日のメインテーマのMatterですが、今後Amazon周辺の無線通信が面白くなってくるのではないかというところで次のセッションにつなぎました。(なんか完璧な導入セッションですね!)


 0:16:18 KNX IoTについて〜Matter解説: IoT 専門支部 立石さん(資料提供 スマートライト 中畑さん)

今日の話は照明器具のコントロルする機器の協会、KNX協会で話した資料をもとに話します。

IoTについて大切な3つのポイント
1.顧客は知っている(家庭用はすでに普及している)
2.新たな価値
3.一社だけでは無理

matterとThread

matter:スマートホームの規格
Thread:ネットワークプロトコル
同じでもないしどちらかが包含するものでもない

matterとThread

スマート電球の通信
①Wi-Fi:
 すでに使用されているデバイスが多く管理が難しい
 ルーターは家庭用で安価なものが多いがプロ用は高い
②それ以外(Bluetooth、Zigbee、Z-Wave)
 ゲートウェイ経由での通信になる
 規格が乱立している。⇒matterの登場

それ以外の通信:ゲートウェイを使用

matterのOSIモデル
・matterとデバイスをつなぐ通信は「何でも良い」

matterのOSIモデル

なぜThreadが注目されるのか?
・Wi-Fiは消費電力の問題、接続数が多くなるのに対応できない
・Bluetoothは省電力だがIP通信ではなく変換が必要
Treadは省電力でIP通信、メッシュ通信ができる(まだ新しい)

Threadのデバイス
・データを通信するだけのデバイス
・通信だけでなくデータの中継もするデバイス
・ボーダールーター(普通のネットワークに接続する)

matterとThread

matterとThreadを使うと
matterでコントローラー側と接続し、Threadによりボーダールーターの規格をまとめられる。

matterとThread

0:29:09 Deguプロジェクトの話とMatter規格に感じること: 株式会社アットマークテクノ 執行役員 第1開発部 部長 古関 哲久 さん

次は組み込みプラットフォーム(CPUボード、IoTゲートウェイ)の開発・販売をしている株式会社アットマークテクノの古関さんからDeguプロジェクトとそれに関連してmatterについてのお話になります。アットマークテクノさんはAWSのハードウェアパートナーになっています。

IoTゲートウェイの役割

Matterと少し似てる?Deguプロジェクトの話

Degu(デグー)プロジェクト

Degu(デグー)プロジェクト

無線(Threadメッシュ)で繋がり合う賢いIoTセンサーのオープンハード・オープンソースのプロジェクト。2019年に発表されいろんな会社がスポンサーをしています。

Deguでできること
・オープンハード、オープンソースかつセンサー自体がIPを喋る
・Threadでメッシュを組んで遠くまで安定した通信ができる
・ゲートウェイを介してAWSにデータが溜まる

Deguセンサーの4つの特徴

センシング機能
・Seeed社のGroveモジュール群のセンサーをDIY感覚で作れる

通信機能(メッシュネットワーク)
・無線メッシュ通信ネットワーク規格Treadを採用
・省電力、長距離対応、遮蔽物にも強い

エッジコンピューティング
・Deguのセンサーの中もMicroPythonでコーディングできる
・末端のデバイスにインテリジェンスがある
・自由にセンサーを作れる
・JSONフォーマットでMQTT転送できる

セキュリティ機能
・A71CH Plug&Trustセキュア・エレメントを使用
・個体認証に使う鍵情報/証明書を安全に保管できる
・2次元コードをスマホに読ませることで簡単で安全に認証

簡単3ステップではじめられる
・200種類のGroveセンサーからセランでDeguにつなげる
・ネットワーク設定
・GitHubからソースコードを持ってくる

Deguトータルパック(DIY感覚で評価できる)
・ベースユニットとスターターキット+Deguゲートウェイ

設計情報はすべてオープンソースで提供
・回路図、Pythonサンプルコードを提供

完成品サービスのものづくりにも・・・・(未完)
・Degu量産設計サービス

Deguセンサーのアーキテクチャ構成

Deguの開発

デバッグの環境構築

・非常に難産
・採用したベース技術の成熟度が当時未だ低かった
・目に見えない無線メシュネットワークに苦労
・治具などデバッグ環境の構築も頑張った
・nrf Thread Topology Moniterで可視化

⇒ET/IoT Technology AWARD2019奨励賞受賞に繋がった
⇒しかし流行らなかった
 誰もDIYしない、今すぐ使えるセンサーがほしい
 エコシステムが働かなかった

Matter規格に感じること

Matterへの期待
・各社独自規格からの脱却、異なるメーカー感の接続性
・メッシュ型の広範囲のネットワークが構築可能
・高いセキュリティ(デバイス証明書、2次元コードによる認証)
 ⇒Deguプロジェクトでやりたかったことに似ている

Matter業界・エコシステム

Matter業界・エコシステム

・認証機関、標準化アライアンスの組織がある
・最終製品・サービスの提供もある

自社ゲートウェイで試してみた
・特に問題なくサクッと動かせた
・CHIO-toolのサンプルをビルドすると20GB超える(削る必要)
・製品化にはソフトの作り込みが必要

自社ゲートウェイで試してみた

matterの懸念点
・部品原価、ソフト等の開発原価がどうしても上がってしまう
・末端デバイスが多機能になるため必然的に原価が上がる
・認証評価費用がかかる(matterだけで100万超え)
・OSSやチップメーカーのサンプルが充実してほしい
・結局各社独自のネットワークを組んでしまう懸念はある
 amazon、Google、Appleなどの強いエコシステムに期待

1:00:01 どうすれば取れる?Matterのロゴの認証について グラナイトリバーラボ株式会社、浦邉康雄さん

4番めのセッションはmatter認証をはじめているグライドリバーラボ株式会社の浦邊さん。matterのロゴ認証の取得についてのお話です。

Matterとは?

CSA内の新しいワーキンググループ。ネットワークや接続性など高い互換性をもたせることが重要

Matterとは?

現在でも多くのプラットフォーマーがmatterを支えている。
・500社くらいの企業がmatterに参画している

matterを支えるプラットフォーマー

matterのレイヤー
物理層の上にzigbee、Thread、Wi-Fi、Bluetoothがありそのレイヤーの上にmatterがある。高い互換性で色々なものが使える。

matter対応製品
・すこしずつmatterをうたった製品が出てきている
・IoTと呼ばれてきた製品に対するひとつの解

Matter製品開発と課題

Matter対応プラットフォーム

matterで何かやるには実装が必要なコンポーネントが多い
・ゲートウェイ、ハブ、ブリッジ
・matterコントローラー
・Threadボーダルータ
・メディアデバイス
・スマート錠、HVAC制御・・・・・

実装が必要なコンポーネントが多い

無線を使うには事前に無線の認証取得が必須
・技適の取得
・無線モジュールがBluetoothやWi-Fiなどのプロトコルに対応

IoTとの違い
・ソフトウェア的な負荷が違う(重い)

Matter認証への道のり

認証プロセスフロー

Step1:CSAのメンバーになる 
Step2:CSA認定にベンダーIDコード(VID)を要求する
Step3:ネットワークトランスポートを選択して製品を開発
Step4:関連する標準化団体からトランスポート層認証を取得する
Step5:認定テストプロバイダーを選択し、製品を申請
Step6:認定Webツールを介してCSAに認定申請書を提出する
Step7:CSA認定によるアプリケーションレビュー
Step8:承認ーコンプライアンス証明書、認定ロゴなどのダウンロード
Step9:分散コンプライアンス台帳(DCL)コンプライアンス・レコード

認証取得にかかるメンバー登録費用
・4つのランク(実際開発するとなるとParticipantかAdopter)
 Promoter、Participant、Adopter、Associate

認証取得にかかる費用

・サードパーティに頼む試験費用もかかる

オンライン認定ツール
・ユーザが申請またはテストベンダーから申請する

オンライン認定ツール

・どういった製品であるかを登録して申請
 ⇒製品によってテスト項目が異なってくる
・PICSツール:テストシナリオが生成される
・ハードウェアかソフトウェアかで試験項目が違う
・認定テストベンダーで認定しないといけない
・マークを取らなくてもテストはしたほうが良い
・規格のバージョンアップにも追従したほうがいい

Matter試験方法

・12個の大項目
・テストベンダーは必要なものを選ぶのが最初のステップ

Matter試験方法

・機器がどのようなクラスタなのか判別しテスト項目を選ぶ
・PICSを使ってテストプラン、シーケンスを作る

Matter試験対象 クラスタ一覧

PICSから出力されたテンプレートを使ってテストをする。
・多機能に慣ればなるほど多くのテストが必要となる
・手動でできるテスト、自動でできるテストがある

matterテスト環境例

Matter試験対象機の要求事項
・IUT(最終製品、H/Wプラットフォーム)1セット
・テスト項目によってはメーカーの操作ガイド等

GRL試験申込書
・必要なところにチェック
・これによってテスト費用の見積もりを行う

GRL試験申込書

まとめ

・MatterはIoTの一つの会となりうる存在
・Matterの実行環境はプロセッサーパワーが必要
・Matter認証には、メンバ登録と費用が必要
・Matterのテスト項目は想像以上に多い

1:30:45 AmazonのMatter対応について アマゾン合同会社 アレクサインターナショナル 技術本部長 福与 直也さん

次のセッションはAmazonの福与さんからAmazonのMatter対応についてのお話です。

EchoデバイスでMatterサポート
2022冬、Wi-Fi、Androidなどの製品をサポート開始
2023年5月、Thread、iOS対応予定
2023年夏、Hubデバイスに対する対応

Alexa Extention

Alexaを使うことでどういった拡張機能・開発環境が使えるか

Amazonの追加機能

Amazonの追加機能

Matter simple Setup
・Matterデバイスをフリーストレスセットアップ
・デバイスをネットワーク参加させるための手順が簡略
 あらかじめユーザーのAmazonアカウントを紐づけ
 機器設置時プロビジョニング
・Matter SDKの範囲で実装可能
・Amazonの認定試験が必要

MSS アカウントとデバイスの紐づけ

コミッショナブルエンドポイント
スキル経由で使用される機器もMatterのローカル接続に参加可能
・低遅延のコントロール、通信障害でも利用可能

コミッショナブルエンドポイント

Ambient Home Dev Kit 
・開発者がAlexaと協力しながらより統一された環境体験を構築
・Ambient:いかに生活に溶け込むか
・Credentials Locker API(for Thread)
 Matter over Threadでにの接続を容易に
・Group Sync
   Alexaと3Pアプリ間でグループ情報を同期する
・Two-way Bevice Sync
 Alexaと3Pアプリ間で双方向にデバイス情報を同期する


1:43:34 今使える、IoT向け無線ネットワークとAWSアーキテクチャー 株式会社ソラコム 松下 Max 享平さん

最後の登壇は松下(Max)さん。無線ネットワークを使う上で何が必要なのかという話です。

IoTで利用できる通信技術
・距離と消費電力
・Matterは下の方の短い通信距離で使われている

IoTで利用できる通信技術

IoTネットワークとは?
IoTデバイス(=現場)とクラウドをつなげ、通信経路を確保する
・アクセスポイント/基地局までの通信特性
・構成パターン(中継パターン/直接パターン)
・これを付設と維持費用

AWS接続に必要な「認証情報とライブラリ」
・Wi-FiやセルラーはMCU/通信モジュールに入れる
・LoRaWANやSigfoxはバックエンド・ネットワーク・サーバに入れる

AWS接続に必要な「認証情報とライブラリ」

中継パターン
・近距離通信とクラウドをつなげるパターン(exBLE⇒クラウド)直接パターン
・ゲートウェイとかがいらないので現場の構成要素を減らせる

AWS IoT Core for LoRaWAN
フルマネージドのLoRaWANネットワークサーバー
・ネットワーク・サーバの部分がAWSで実装されている

AWS IoT Core for LoRaWAN

どうやってソフトウェアとつなげるか?
・MCUにAWS SDKを入れるパターン
・MCUからHTTP通信などでAmazon API Gatewayを使う
・MQTTやりたいときはAWS IoT Coreで受ける

プロトコルと構築可能なアーキテクチャで見るサービスの違い

AWS IoT Core の利点
・ルールを増やすのが簡単
・APIゲートウェイの場合はけっこうたいへん

AWS IoT CoreによるFanoutパターンはスモールスタートしやすい

最後に告知です。AWS DevDayに登壇するそうです。

告知

1:51:07 クロージング 



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