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お金と会計の「ズレ」

湘南江の島の税理士、エイマエダケイタです。
銀行口座の残高は増えてるのに思ったよりも利益が出ていない、または、手元にお金がないのに思ったよりも利益が出ていて税金が払えない、なんていう話を耳にすることがあります。
それは「会計上の損益」と「お金の動き」のズレがあるからです。
今日はそのズレの主な原因を紹介します。

1.売上と入金のズレ

会計上で売上が発生するのは主に「商品を引き渡したとき」「サービスを提供したとき」です。お客様から代金を受け取ったときではありません
小売業であれば商品をお客様に販売したとき、建設業であれば工事が完了したときになります。
BtoB(企業相手)の商売では月末締め翌月末入金という請求の方法がよく見られますが、この場合、売上が発生してから実際に入金になるまでに1ヶ月の差があるということです。
また、たとえばAmazonで商品を販売した場合、販売してから出品者に入金されるまで時間差があります。
飲食店であってもクレジットカードや電子マネーでの支払がされると売上と入金のタイミングに時間差がありますね。
このように売上の発生と売上代金の入金にはズレがあります。

2.仕入と支払のズレ

仕入と支払についても、売上と入金のケースと同様に時間差があります。ある会社にとっての仕入はその相手の会社にとっての売上になりますからね。仕入もやはり月末締め翌月末支払というケースが多いのではないでしょうか。
逆に支払いが先に行われたり、半金を先払いして納品後に残金を支払うということもありますね。
こうなってくるとお金の動きと仕入の発生にはだいぶズレが出てきますよね。

3.在庫によるズレ(原価のズレ)

仕入れた商品が販売されずに残っている場合は、売れ残っている商品の分の金額は損益に反映されません。また、年度末に残っていた在庫が翌年度に売れた場合には、お金の動きはないのに在庫の分の金額が損益に反映されることになります。
お金を支払って仕入れた商品の金額=売上原価ではないというズレですね。
また、建設業の場合は工事が完了するまでに支払った材料費や人件費、外注費などはその工事が終わるまでは工事原価にはなりません。

4.借入によるズレ

借入をすれば手元にお金が入りますが、これは収入にはなりません。したがって損益には関係がありません。
逆に借入を返済するときにも費用にならないのです。(利息は費用になります)

5.固定資産の購入によるズレ

10万円以上の金額の機械や器具備品を購入したときは、全額が購入したときの費用とならず、数年にわけて購入金額を費用にする処理(減価償却といいます)が行われます。
そのため支払った金額の全部が費用にならず、ここでもズレが生まれます。
(一定規模までの中小企業については特例があり、30万円未満までの固定資産を購入時の費用とすることもできます)

6.会計処理の必要性

このように「会計上の損益」と「お金の動き」にはいくつものズレの原因があります。手元の預金の残高だけで利益が出ているかどうかを判断するのは難しいんです。儲かっているかどうかを適切に判断するには、会計処理を行って経営状況のチェックをすることが必要です。freeeやマネーフォワードクラウド会計などのクラウド会計ソフトを利用すれば日々の記帳もあまり手間をかけずに行うことができます。
今日紹介したようなズレに心当たりのある方はぜひ試しに使ってみてくださいね!年に一度の決算でおかしいな…と思っている方は税理士に相談を!


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