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小林 圭太/ANCHORS初代代表
2020年5月30日 19:37
2013年4月。明治で男子チアチームを作ると決めた俺は、晴れて明大生になった。東京での生活にはいまいち慣れない。どこに行っても人は多いし、電車が5分おきに来るって、何事!なんて思っていた。2013年4月7日。日本武道館で入学式が行われた。「でっけぇなぁーすげぇー!こんなところで入学式させてもらえるのか」新たな生活が始まるワクワク感、武道館に入れる喜びなど、明るい気持ちで
2020年5月26日 19:34
2013年3月中旬。気付いたらあれほど、毎日のように思っていた男子チアの存在は少しずつ頭の中から消えていた。何もやる気が起きず、家でぐうたら生活を送っていた。気持ちは乗らなかったが、とりあえず友人たちに受験の結果を報告することにした。片っ端から友人やグループにメッセージを送った。みんなから返ってくる返事が怖かった。なんて思われるんだろう。自分にあった変なプライドが邪魔し
2020年5月24日 19:23
2013年2月下旬。約2週間の長旅を終えた俺は、自宅に久しぶりに帰ってきた。「ただいまー!」玄関のドアを開けた瞬間、母が待ってましたと言わんばかりの表情で出迎えてくれた。そして、嬉しそうな表情で俺に語りかけた。「やったじゃん。やったね」俺はてっきり早稲田の合格通知がすでに家に届いたのかと思って、満面の笑みで返事した。「え!?なにが?早稲田からの合格通知、もう届いてる!?
2020年5月22日 20:46
2013年1月下旬。センター試験から10日ほどが経過していた。いつも一緒に蒲郡から予備校に通っていた他の4人は順調にセンター利用でおのおの、すべり止めをおさえていた。もちろん仲間だが、そうした事実がさらに俺を不安にさせていた。自分だけが不利な状況に立たされたように感じた。複雑な思いを抱きながら、いつものように予備校から夜、自宅に帰ると、家のポストから何かが飛び出ていた。「こ
2020年5月20日 20:12
月日が経つのは本当に早い。長いトンネルをもがきながら進み続けてきたが気づいたら、本試験はすぐそこに迫っていた。2013年1月。年明け、家族で豊川稲荷へ初詣に行った。願い事はただ一つ。「早稲田に合格させてください」やることはやった。 ここまできたら神にもすがる思いで、とにかく祈った。今年は受験2年目だ。 リベンジへ向け戦い方は決まった。昨年とは異なり今回は
2020年5月18日 21:13
苦しい浪人生活もあっという間に夏が終わり、秋が来ていた。毎年のように地元の仲間たちと見に行っていた蒲郡花火も今年は見られなかった。 浪人期間は、平日に授業を受け、土日は基本授業はなかったため、自習室で午前9時から教室が閉まる午後9時まで自主勉強に励むという生活だった。2012年9月29日、土曜日。いつものように朝、予備校の自習室に入ろうとすると、扉にあった張り紙に気がついた。ー
2020年5月16日 20:27
2012年4月。周囲は華の大学生活スタート。 俺は地獄の浪人生活がスタートした。高校の仲間たちは、髪の毛を染め、新たな友人が出来始めているころだ。TwitterにFacebook...。様々なSNSで頻繁な投稿が目立った。「大学生って、突然自由を手にしたようで、なんかいいなあー!」予備校に通うために特に服装にもこだわることなく、毎日変わらない日常を過ごす俺と違って
2020年5月14日 20:41
2012年3月。豊橋東高校を卒業し、数日が経過していた。4月から始まる予備校生活を前に、少しだけ時間があった。もちろん勉強は続けていたが予備校はまだ始まらないし、落ちたショックからうまくスイッチが切り替えられずにいた。 同時に、浪人をするということに申し訳なさも感じていた。その一方で、高校の友人たちは大学入学前に、春休みを謳歌していた。「ケイタ!遊ぼうよ?どこか出掛けよう
2020年5月12日 21:10
自宅に着くと、時刻はすでに午後3時をまわっていた。玄関から音を立てないようにドアを開き、そーっと家へ。 家にいた母親にバレないようにこっそりと自分の部屋に逃げるかのように入った。「よし、気付かれてないな」1人で合否を確かめることにした。「受かれば、天国。落ちれば、地獄だ」夢の男子チアへの結果はいかに。心臓がバクバクする音が、聞こえる。ゆっくりとパソコンのマウスを動
2020年5月10日 21:08
2012年3月1日。 高校の卒業式当日を迎えた。 同時に、俺の受験した早稲田大学の最後の学部の合格発表の日だ。 合格発表の時間は、午後3時。 卒業式を終えて、みんなでワイワイして自宅に帰ったころにちょうどその時間を迎えるくらいだ。 「久しぶりの学校だなぁ〜!」電車に乗って、最寄り駅からは自転車。いつものように教室に入ったが、懐かしい気持ちがし
2020年5月8日 20:07
2012年2月末。 早稲田大学入試を終えて数週間が経っていた。 ついに合否の結果を確かめる時が来た。 この日まで、1日たりとも合否が気にならなかった日はない。 そのくらい頭の中はいっぱいだった。 Web合格発表画面にてまずは、受験した1学部の合否が出た。(早稲田大学ホームページより引用) パソコンを開き、恐る恐る指を進める。 受験番号などを入力し
2020年5月6日 20:03
季節は秋から冬になっていた。 「学ランを着るのもあと少しかー。ちょっと寂しさもあるなぁ」2011年12月。さすがにセンター試験まで1ヶ月前ということもあり、クラス内はピリピリとした緊張感が漂った。自習の時間も多くとられた。 進学先、あるいは就職先が決まっている連中が、騒ぎ出すとそれをにらみつける生徒もいた。「うるせーなー。決まってるやつらはいいよな」
2020年5月4日 21:25
時間が経つのは早いもので、秋はもう終わろうとしていた。 男子チアのチームが全国の大学で早稲田大学にしかないと知った日から、俺の志望校は早稲田に決まり、猛勉強の日々。センター試験は1月。 だが、俺にとってここは本番ではない。 もちろん、センター利用という受験方式で、センター試験から高得点を叩き出すことができれば、その結果から早稲田大学に進学することも可能。だが、この高得
2020年5月2日 20:36
男子チアを携帯の画面越しに初めて見たあの日以来、俺の気持ちは、時間が経っても変わることはなかった。 常に頭の中に、男子チアのことが巡る。 いわゆる、好きな女の子に恋をしているような感覚なのだろう、きっと。それから毎日のように男子チアについて調べた。パソコンや携帯でYahoo! JAPAN を開き、「男子チア」で検索をかける日々。1週間ほど毎日のように検索して調べていると、あ