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Keita's talk その276 標準レンズのお話



Ai55mmF1.2 + D700 2008,10


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街角写真の聖地と呼ぶ原宿で見つけたフラミンゴ


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自転車は基本ですね。絞りはかなり開けていたはず、記憶が曖昧


 父親から譲り受けた最初の標準レンズ。写真専門学校時代はEL2につけて一番使っていた。その当時はこのレンズの楽しさにはそれほど気づいていなかったが、撮影していたのは子供だったので撮影距離がほどよく、MFでのピント合わせの練習になると使っていた。

 雑誌でD700をレビューするチャンスがあったので、久しぶりにこのレンズを使った。現在のデジタルレンズの基準で考えるとユルイがその優しさに惚れ直して、当時はこのレンズを使うためにD700の購入を真剣に検討、D700のファインダー視野率が約100%でなかったので断念した。



Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA + α7R 2013,10


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いいキレしています。絞りF2.5


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深みもあって、再現性も高い。絞りF2.5

 
 デジタルフルサイズの標準レンズとして初めて使ったレンズ。これも雑誌のレビューで使ったもの。デジタルらしい強さがあって、暗部の深みもある。流石、ツァイス銘柄と関心しながらサイズもその描写性能を考えれば小ぶりで欲しい。と、物欲も全開になったのを覚えている。このレンズを使うなら絶対α7Rと思っていたので、カメラの作りと値段のバランスがあまりよくないと感じてこれも購入を断念。



SIGMA 50mm F1.4 DG HSM + EOS 5D Mark Ⅲ 2014,05


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キレキレ、半端ない切れ味。絞りF2.5


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カメラのシャープネスを落とすようになって程よさが見えてきた(2017,9)。絞りF2.5


 フィルム時代は学生時代のニコンからEOSにシフトしていた。初のデジタルEOSが5D3。レンズはフィルム時代のEFレンズを使えば良いと思っていたが、これが最大の間違い。レンズの調整をすれば良いとの話もあったが、せっかくなので最新のデジタル設計レンズをと目をつけたのが、シグマのアートシリーズ。

 昔々はシグマといえば、販売価格を抑えるためのボディーとセット販売される標準と望遠のズームレンズがメイン。とにかく安いという印象しか持っていなかったが、デジタル世代、特にこのアートシリーズは高性能レンズの印象が強い。切れ味が鋭いので、カメラの設定でシャープネスを落として使わないと、オリンパスのアートフィルタージオラマを使ったような雰囲気になる。



ZEISS Otus 1,4/55 ZE + EOS 5D Mark Ⅲ 2014,10


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ボケよし締まりよし、さらにピントよしになるまでは少し慣れが必要(笑)絞りF2.5


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このレンズにはこの距離が一番鬼門だった(笑)絞りF2.5

 何かの間違いで借りてしまい、惚れてしまった(笑)開放F値F1.4とは思えないその大きさと重さに最初はドン引きだったが、ボディーにつけて構えるとバランスが良く、ファインダーを覗いているだけでも何かが違うと感じさせてくれるレンズだった。その価格は超弩級なので流石に悩んでいたが、思わず購入。

 実際に使い始めると、被写体の距離の違いでピント位置の微調整が必要、絞りも変えたほうが良いと思うほどややこしいレンズで、使えば使うほど悩みが増えるという超厄介者だった。ただし、ちゃんと決まったときに出てくる答えは何者にも変えがたい深みがある。暗部の深さはどこまでも再現されると感じるほど深く。後処理での楽しみがいが最もあるレンズだと思っている。


 絞りもピント合わせに慣れると被写体によって選べば良い程度なのが分かって使い勝手は向上した。


 カメラを最新の5D4にしないのはこのレンズとのバランス。ボディーが軽すぎるとちょっと収まりが悪い気がする。じゃぁ5Ds Rでいいんじゃない。う〜ん。そもそもMFオンリーなので5D系より1D系のファインダーの方が使いやすい。ただ、あれは大きすぎる(笑)


 余談ですが、フィルム時代にマルチ階調のRCペーパーでいかに暗部の深みを出すかは最大の悩みで、これができるようになって初めてモノクロ写真になった。で、どうやっていたかは一言では語れない苦労があり、基本はフィルム現像(もちろん手現像です)の振り方にあった。



AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G + D810 2016,03


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「三次元的ハイファイ(高再現性)」って、こういうことなのね。絞りF1.4


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まぁ、絞りを開放にしているからね(笑)絞りF1.4


 何故かニコンさんの会報誌の仕事が舞い込んできたときに迷わずリクエストした組み合わせ。その狙いは「三次元的ハイファイ(高再現性)」を感じること。凄いですよね〜。とは思ったが、何故か触手は動かなかった。さすがに58mmというのはちょっと長すぎる気がしたのと、ボディー側の印象で費用対効果が気になったため。このレンズはレビューだったので何となく絞り開放で撮影した。



HD PENTAX-D FA☆50mmF1.4 SDM AW + K-1 MarkⅡ 2018,07


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これだけいきなりカラーですが、良い感じ(笑)ちなみに設定はコントラストがかなり強いリバーサルフィルム絞りF2.8


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この条件でこれだけ再現力があるのは良いのか悪いのか。後は使い手次第ということでしょうね(笑)絞りF2.8


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前ボケよし、後ボケよし、ピンとよし。って、何かの確認みたい(笑)実はこのレンズの難しさ(楽しさ)を感じた瞬間だった。絞りF2.5


 最新標準レンズがこの子。レビューで使って惚れ込んで即注文といういけないパターンにハマった。素直さを感じたのが欲しいと思った最大の理由で、最短撮影距離が40cmというのも魅力だった。最短撮影距離は基本的にレンズの焦点距離と同じ。それより最短撮影距離を短くするのはマクロレンズ的な要素が必要になる。このレンズはマクロまではいかないが、もう少しだけ寄りたい。そんな標準レンズを使っているときに必ず感じるジレンマをうまく解消してくれる。

 その描写はフィルムのような優しを感じた。これまで使ってきたデジタル世代のレンズは基本的にデジタルレンズらしい強さを持っていたので、コントラストが程よくついて暗部が締まりやすいものがほとんどだった。このレンズはそこに柔らかさがある。結局、好みのしっかりしたモノクロにするためには撮影時の光の見極めが大切になる。


 要するに、曇天や少し曇り気味で光が弱いときにメリハリをつけるのが大変なレンズ。強くするだけなら、カメラの設定や後処理でコントラストを強めればいいが、レンズの持っている優しさをいかしながら黒をしめていくのがこの子の個性を伸ばすことになる。


 ちなみにこのレンズはカラーもいい感じ。日中の強いコントラストで、コントラストの高いリバーサルフィルムを使ってもここまで優しくなる。再現力の高さを見ても渾身の一本だというのはうなずける。メーカーさんが新世代のスターレンズというのも納得。その前にハスは早朝に撮ろうよ.....。長く楽しむために無理は禁物なんです(笑)。


 ピントはAFを使っていて、F2.8光束になっているより精度の高い測距点を使わないと絞りを開け気味で使っているとピント位置がズレやすい。このレンズで初めて測距点の光束の重要性が分かるという学びもあった。今まで意識していなかった方がおかしいのかも(笑)



まとめ


 レンズの楽しさは、自分の好みに合わせるのではなく。その子の持っている個性を活かすことだと考えている。標準レンズ + フルサイズというのは、実はその個性が多様だという面白さがある。これは50mmや55mmの特性であって、35mm換算画角ではちょっと違う。ちなみに45mmや40mmになるとこれも話が違ってくる。


 まぁ、おじさんのたわごとのような話ですが、この楽しさが分かってくるとどんなレンズでも楽しめるようになる。

 で、何が良いの?そんなことが気になる方もいるでしょうが、デジタルは最新が最良というのが基本的なポリシーです(笑)


 というところで、また、次回。


オリジナル Keita's talk その276 標準レンズのお話 2018年8月9日

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