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負ける覚悟

大学サッカーもひと段落したのでこれまでの経験を含め少しづつアウトプットしていこうと思います。

初回は「負ける覚悟」について書いていこうと思います。

「負ける覚悟をして試合に臨みなさい」


これは僕がユースにいた時のトップチームの監督が言っていた言葉です。
大学1年の時に他のスタッフの方から教えてもらいました。
負ける覚悟をして試合に臨むというと勝負の世界で試合が始まる前から負けを考えるな!という人もいるかと思います。僕も初めて聞いた時はそうでした。
ましてや、結果がすべてのプロの監督がいうのですから、当時は全く理解できませんでした。

負ける覚悟について自分なりの答えが出ないまま、
大学4年になりキャプテンと言う立場で、「日本一」を目指し活動が始まりました。
組織のリーダーとして今まで以上に結果を強く意識するようになり、
日本一になるためには常に勝ち続けないといけない。負けてはいけない。
そう自分とチームにいい聞かせてプレーしてきました。

毎週末やってくる試合に勝つことだけを考え、日々トレーニングに励み、
試合前も、円陣で「絶対に勝つぞ!」と言い続け、いつしか勝つことだけしか考えないようになっている自分がいまいした。もちろん、チームの士気を高めることもキャプテンの役割なので、間違ってはいません。

ただ、勝つと言う結果に拘るあまり、自分自身の感情のコントロールが疎かになっていました。
試合の中で負けている状況、仲間のミス、自分自身のパフォーマンスに対する不満など望んでいる結果から離れれば離れるほどストレスに感じてより悪い方向に進んでいる感覚に陥っていました。それでは良い結果はついてきません。

そして負けた時にはこの結果の全責任はキャプテンである自分のせいだと言い聞かせて必要以上に落ち込んでいました。

しかし、負けた試合後に大学の監督が必ずいう言葉があります。

「勝負事なんだから負ける時もある。
        大切なのはこの結果を次にどう活かすかだよ」

この時、肩の荷が降り、負けることは必ずしも悪いことではないのだと認識することができました。
そして1年生の時に言われた「負ける覚悟して試合に臨む」ことの意味がわかった気がしました。
目の前の勝利という結果に縛られ、うまくいかないと苛立ち、結果が出ないと落ち込む、そうすることでより勝利という結果から自分から遠ざかっているのではないか。
これは負ける想定をしていないから、試合中に思ってもいない現象が起こりパニックになっているのだと。

それ以降、勝負事だから負けるかもしれない、もしかしたら相手チームに先制されるかもしれない、自分のミスで失点するかもしれない、そうやって負けることや最悪の事態をネガティブにならない程度に想定するようにしました。
そうすることで、試合中のどんな状況でも心に余裕が生まれ楽観的に試合に臨めるようになった気がします。

私は挫折を、自分のもっていた価値観や世界観の破壊と捉えています。
誰でも期待していたことや想定していたこととは違う予想外の出来事が起これば大きなショックを受けるものです。
それを避けるためには予め色々な事態を想定しておくのです。
そうすれば、たとえそれが現実になったとしても、ショックを受けない、もしくは最小限にすることができます。
どうせ受からないと思いながら受験に挑む。それが結果的に落ちていたとしても、受からないと思っていれば「やっぱりね」で終わりです。この場合は心の準備ができていると言えます。想定していたことが現実になったまでですから。

火事場の馬鹿力という言葉を聞いたことがあると思います。
切迫した状態に置かれると普段には想像もできないような力を無意識に出すことの例えです。
これは、火事場で負けを覚悟するからではないでしょうか
火事場での負けを覚悟するとは、つまり「死」を覚悟することです
だからこそ、その状況を乗り越えることだけの力を発揮できるのではないかと思います。

つまり負ける覚悟をすると言うことは、望んでいる結果とは違う事態が起こる可能性があることを予め想定しておくことじゃないかと私は考えています。

競技レベルが上がればより結果を求められるようになります。
ただ、その中で「負ける覚悟」をしていれば、多少のことでは動揺することなくその瞬間を冷静に、そして楽しめるだけの余裕が生まれるんじゃないかなと思います。

これまでの話を通して負ける覚悟をするというのは決して「負けても良い」という訳ではないと理解してもらえたとおもいます。
「負ける覚悟」をした上で、「それでも勝ちたい」と思えるようになることが重要です。

「柔は剛に勝ち、弱は強に勝つ」

しなやかなものが堅いものの勢いをうまく受け流して、最後には勝利するという、老子の教えです。
勝ちたい、勝たなければいけないとガチガチにとらわれるのではなく、負けることもあるかとリラックスする。そうすれば色々な選択肢に気づき、柔軟に対応することができる。それが結果的に勝利に繋がるのではないでしょうか。

今回はサッカーの勝ち負けについて書きましたが、この考えは人生においても同じだと思っています。

失敗してもいい、負けてもいい。
大抵の失敗、負けはどうってことありません。
だって失敗しても、負けても死なないですから。


失敗や負けを必要以上に怯えるのではなく、失敗することもあるよねぐらいのマインドで物事に取り組めれば色々な発見や成長に繋がるなんじゃないかなとこれまでの経験から感じています。

いきなり負けとか死とか少しネガティブな話に感じたかもしれませんが、私が試合に挑む時や、人生においてチャレンジをする時に大切にしている「負ける覚悟」です。
考え方や捉え方にも人それぞれ向き不向きがありますが、皆さんの人生において何かの参考になれば嬉しいです。

長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

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