見出し画像

燃え尽きた過去があるから


私は高校時代にサッカーを通して大きな挫折を経験し、サッカーに対して燃え尽きた瞬間がありました。
高校生当時の私にはとてもショッキングな出来事ではありましたが、この経験はキャリアや人生の中で失敗だったとかネガティブな出来事だったとは思っていません。
むしろこの経験のおかげで私を大きく成長させてくれました。

プロになるために


高校を進学する時にプロに一番近い環境で過ごしたいという思いからJクラブのユースチームのセレクションを受け、親元を離れ、隣県のファジアーノ岡山U-18に入団することになりました。

入団しましたが、もちろんそう簡単な世界ではなく、むしろ上手くいかないことばかりでした。1番下からのスタートでした。
それでも、プロになりたい!という一心で自分なりに情報を集めたり、試合を見たり、上手くなるために、プロになるために模索し続けました。

その甲斐もあってか少しづつ試合にも出れるようになり、高校2年時には中国プリンスリーグの試合にも多く出場させてもらえるようになりました。

より近くで、より強く

コンスタントに試合に出れていたこともあり、高2の夏頃からトップチームの練習試合の人数合わせで呼んでもらう機会が増えました。

そして、高校3年に上がる前の春に運よくトップチームのキャンプにも連れて行ってもらうことに
キャンプでは練習についていくのがやっとでしたが日々強度の高い環境で練習をし、J1チームとの練習試合にも出場させてもらい、良くも悪くも自信には繋がりました。
ユースではキャプテンを務め、キャンプを終えてからも練習試合には定期的に呼んでもらっていたので、それ以降から心の中でプロになれるかもしれないという期待がより強くなり始めました。

期待と現実

ユースにいた選手ならわかると思いますが、進路について親と監督とアカデミーダイレクターと面談をします。トップ昇格できるかどうかはここで言われます。

この時の私は内心、昇格できるだろうなと少しワクワクすらしていました。

2018年7月20日日曜日
政田(ファジアーノの練習場)のクラブハウスで

親も交えてなので少し緊張感がある中始まり、簡単な挨拶をして本題に
アカデミーダイレクターから

早速ですが今回は、

トップチームの昇格は見送らせてもうことになりました。

予想外の回答で自分の耳を疑いました。

それ以降の話はほとんど記憶にありません。

親元を離れ、ホームシックになりながらも高校3年間をプロになるために過ごしてきたことが記憶に蘇ってきました。
時には色々なことを我慢し、嫌なことにも向き合い、周りの誰よりも練習した自負がありました。

これだけ頑張ったのに無理だったなら俺はプロにはなれないんだ。
自分にはサッカーの才能がないんだ。


人生で初めてサッカーを辞めようと思った瞬間でした。

そしてその時、これまで自分を突き動かしていた「プロになるために」という感情がプツン、と切れました。

完全にサッカーへの情熱が燃え尽きた瞬間でした。
所謂、燃え尽き症候群(バーンアウト)と呼ばれるものです。
それからしばらくはサッカーの練習にも日常生活にすらも力が入りませんでした。
食欲すら湧きませんでした。
本当にどん底のような日々が暫く続きました。

挫折を経て

その後はユースの監督や家族など多くの人の支えによって少しづつサッカーへの情熱も取り戻すことができました。

この経験で多くのことを学びましたが特に2つの大きなで学びがありました。
1つ目は客観的に物事を捉えることの重要性。2つ目は挫折を乗り越える成功体験を得ることができた。ということです。

1.客観的に物事を捉えることの重要性

私はその後、挫折について大学で学んだり、自分で調べる中で挫折の定義として為末大さんが言っていた

挫折の定義=自分が持っていた価値観や世界観の破壊

また挫折のメリットとして

現実は正しいと理解できる

挫折を乗り越えて実感の伴った成功体験を獲得するための心構え
https://youtu.be/EDKbxhaXHC8

というのが一番しっくりきました。
プロになれるかもしれない、自分がしてきたことは報われるべきだ、という自分で作り上げた価値観が破壊されたことによって大きな挫折を味わいました。

今思えば未熟だったなと思います。
自分基準で物事を断片的にしか捉えられていないですし

ただこれ以降、自分自信の主観的な基準ではなく第三者の視点から客観的に自分の事を評価してみることの重要性に気づくきっかけになりました。

過去に書いた負ける覚悟もこの考え方が大きく影響しています。
(時間があればぜひ)

2.挫折を乗り越える成功体験を得ることができた

挫折経験があるからこそ、多少のことでは動じなくなりましたし、へこたれなくなりました。
そして燃え尽きてどん底の日々を乗り越えた自分ならきっと大丈夫だ。
と心の底から思います。
挫折を乗り越えたという成功体験は、大きな自信にもなるし、誰にも影響されることはない揺るがないものです。

失敗することへのハードルも大きく下がりました。
ドイツでサッカーをするという決断ができたのもこの経験が大きく影響しています。

最後に

今ドイツでプレーしていますが、全てがうまく行っているわけではありません。
むしろうまくいかないことばかりで不安なことの方が多いのが事実です。

それでも、このような状況においてこそ過去の経験から学んだことを活かすチャンスです。

将来がどうなっているかわかりませんが、あの挫折を乗り越えた自分ならきっと大丈夫だと心から思っています。
そして、このうまく行っていない今も将来の自分にとって大きな意味を持つと確信しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?