# 134_企画書を共有する

 みなさん、本日もどうぞよろしくお願いします。今日はみなさんに前回考えていただいた詩作日記の企画書というのを改めて共有してもらおうかなと思います。その前に改めて今後の進め方についてお話しします。

 まず今日、詩作日記の企画書の内容を共有してもらいます。宿題としては、その詩作日記というのを実際に実践してもらおうと思います。具体的には一週間続けてもらいたいと思います。次、みんなで集まる時にその日記を朗読してみてもらおうと思います。その際に日記をスキャンして一度デジタルデータにして、それを印刷して簡単にホチキスでまとめて冊子の状態にしていただき、それを参加者全員に配っていただきたく思います。また朗読後に、改めてその日記を見せる、あるいは日記の内容を元に話すとして居心地のいい時間が流れそうな誰かについて紹介してください。それで宿題としては、実際にその人に会ってきて雑談をしてきてください。
 次にみんなで集まった時に、実際に対象の人に会って日記を見せておしゃべりをしたときを振り返って感じたことを共有してください。また加えて詩作日記のワークショップ全体を振り返っての感想も共有してください。最後にその日に共有してくださった内容を改めて文章としてまとめて、そちらをぼくの方に提出していただければと思います。なので今回含めて残り計三回のワークショップになります。どうぞよろしくお願いします。
 また、これは全体を通してなんですが、みなさん実際に日記の企画書を書いてみて気付いているかもしれませんが、やはり内容がとても個人的なものになります。人には普段話さないような、ある種の秘密に近い内容や、自分しか興味がないだろうなあという内容になるかなと思います。個人的なことを話すというのは少し特別な関係性が必要になります。なのでまず、ここでみんなで話すことはここだけの話としましょう。最後のワークである自分が選んだ誰か一人と雑談をするときなど、自分のことに関して誰にどう話すかというのはもちろん自分で決めていただいて大丈夫です。なにかそもそもこのワークショップについて説明しないといけないとか、そういうときがあるかもしれないと思うので、その際は個人が特定できないように抽象化して話していただければと思います。
 そのままの流れで日記の実践に関して話を進めてしまおうと思います。まず先程、抽象化という言葉が出てきましたけど、日記の実践をする上でこの抽象度の操作というのが重要になってきます。人はものを書くときにそれが誰に読まれるのかというのを考えざるをえなくなります。これは文章を書くことに留まらずなにか表現するとき全般に起こることかもしれません。ただ今回の自分以外の他者に読まれうる日記という形式は、公的なものと私的なものの間にある、実に絶妙な形式になります。私的すぎると自分以外の誰かに読ませたくなくなって小さな表現として成立しなくなってしまうし、公的すぎると当たり障りのない自分個人というものが現れない文章になってしまう。あるいは自分以外の誰かに評価されることが目的となった文章になってしまいます。なので、まずはなるべく個人的に書くことを意識しながら、しかしそれが自分以外の他者、具体的にはこのワークショップの参加者や運営者とあなたが選んだ日記を共有できる誰か、その小さな規模の他者に見せることを想定して少し抽象度を上げる。実に個人的でありながら限られた他者に読ませてもいいと思えるものにする。個人的でありながら小さな普遍性を持つような、そんな具象度・抽象度のコントロールを意識してみてください。
 もしやってみて難しいなと思ったら、一度自分だけが読むもの、誰にも読ませない日記として書いてみてください。次に、その自分にとって日記を読ませてもいいと思える他者を想像して、どの部分がどうしても読んでもらいたくない部分か下線を引いてみて、その部分をどのように表現すると読んでもらいたくないという気持ちが小さくなるのか考えて、その箇所を書き直してもらえればと思います。あるいは自分個人にとってその箇所がそこまで重要ではない場合、抜いてしまっても構いません。ただ重要だと思う箇所でしたら、どう表現したらそこが個人的でありながら他者に読まれてもいいと思える普遍的なものになるのか工夫して粘ってみてほしく思います。おそらくその箇所があなたにとって当事者でありながらつくり手である上で重要な部分になると思います。
 ということで、それでは日記の企画書を共有してもらう時間に移ろうかと思います。まず発表いただく方は自分の企画書をみなさんに配っていただきたく思います。その後、企画書についてご説明ください。資料的なものはその企画書だけで完結するので、パソコンなんかはしまっていただければと思います。机の上には企画書やメモを取る紙とペンだけにしましょう。それでは始めましょう。

 はい、みなさん、ありがとうございました。次回に向けた宿題ですが、実際に一週間、七日間ですね、その日記の実践をしてみてください。冒頭にもお伝えましたが、その日記をスキャンして印刷してホチキスで留めて、ワークショップの参加者や運営者分、持ってきてもらえばと思います。また日記なんですがアナログにつくりましょう。写真を扱う人はそれを印刷してノートに糊で貼って、手書きで日記を書いてください。なぜアナログにつくるのか…は、また別途機会があれば言語化してみたいと思いますが、ここで簡単に伝えておくと、その日記をつくっている時間、書いている時間が「祈り」に近い時間だからです。椅子に座って、机の上にあるノートを開いて、ペンを持って向かい合う。全てがフィジカルな道具で限定的な単機能しかない。机に向かってノートを開くこと、それ自体が儀式的なものになって、自分の奥に入っていく引き金のようなものになる。もし仮にこのワークショップを終えたあとも自主的にこの日記の実践を続けようかなあと思う人は、またそのときに実践の方法を再度検討して、その適切な方法としてデジタルな記述の方法が採用されてもいいのですが、まず一旦このワークショップではアナログでの感覚を掴んでもらい、その感覚を持ったままデジタルな道具に移行してもらえればと思います。それではまた次回みなさんの日記読ませていただくこと楽しみにしております。

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Keisuke Shimakage

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