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# 107_FabBiotope2.0に参加する弱視者は、どのような実践をするのですか?

 今回、FabBiotope2.0に参加いただきたいと考えている弱視者の方は「自らの生き方をつくられている方」です。方法は異なるのですが、それぞれの工夫によって自らの居場所をつくる、働き方をつくる、生き方をつくる、ということを実践されている方です。
 例えば、既に民主化されている支援技術を組み合わせ、自らが一人でできることを増やしていくことで自らの仕事をつくる、勤め先の人と話し合い自らの居場所をつくる。例えば、自らが具体的な作業をするのではなく、協働する仲間との対話によってプロジェクトを動かしていく、現実のものとして具現化し立ち上げていく。例えば、自らが直面した課題に対して、それを解決するものをつくる。それ自体を楽しむ。また、そのつくったものを自分のホームページ上で公開し、似た課題を持っている人がそれにアクセスできるようにする。それによって繋がる。友だちができる。以上のように、それぞれの方法で自らの生き方をつくり、それぞれのオルタナティブな現実を立ち上げている方がいて、本プロジェクトではそういった方を募りたいと考えています。
 プロジェクト参加後には、そういった生き方をつくっている方に、その「生き方をつくっている行為」それ自体に形を与える実践というのに取り組んでいただきたいと思っています。具体的には、ご自身あるいはご家族やご友人にビデオカメラを持ってもらい、ご自身の日常を映像として撮影いただきたい。その上で、その映像を元に私を中心とした運営メンバーがインタビューをさせていただき、その生き方をつくる行為をより言語化していただき、そのインタビューも映像で記録させていただく。以上のような形で、我々の方で準備した方法論を使っていただき、自らを分析していただきながら、また私たちが質問者や編集者として関与させていただくことで、自分自身でも気付いていなかった自分を発見するような実践をしていただきたく思っています。
 そして、その映像をプロジェクトメンバー内でクローズドに共有することで、その人の生き方をつくる行為にアクセスできるようにし、協働のための土台にする。また、その自らの生き方をつくっている行為、そこに存在するその人独自の方法論を、書籍や映画といった媒体を中心に、似た課題感を持った方やその周辺の方に流通させる。それを通じて、その方法論を中心とした知を用いて、自らで自らの生き方をつくる人を増やしていく。と同時に、その流通がその参加者にとっての手触りのある経済圏が生まれるきっかけとなり、また、その仲間の集合、独自の共同体になっていきます。それは、ある意味で野生の学校のようなものに近いかもしれません。従来の教育や福祉において、発生しづらかった種類の学びの場や、そのための共同体を、たった一人を起点に、また、その人の書籍や映画を媒体に、知を流通させることによって立ち上げようとする試みです。
 そして、また、その方のつくり続ける行為の可視化や言語化によって、プロジェクトメンバーとの協働可能性を拡げることができる状態にし、そこから協働して発明する段階に移っていただきます。また、ここでの発明や、それに伴って生まれた協働のための方法論も、似た課題感を持つ人に流通させていきます。これに関しては、参加するエンジニアの方にどのようなことを実践いただくかに関して紹介する文章[1]でも再び触れますので、もしよろしければそちらもご覧になっていただけると幸いです。

[1] 「FabBiotope2.0に参加するエンジニアは、どのような実践をするのですか?」の章を参照のこと

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Keisuke Shimakage

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