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体内時計がなかなか帰国してくれない

2023年10月19日(木)晴れ
ばばに起こされて目が覚めたのは、午後の12時半だった。完全にずれている。ヨーロッパから帰国して4日経ったが、未だに時差ぼけが直らない。明け方の4時半くらいまで眠れなかったのは分かるけれど、その後一度も目が覚めなかったことが衝撃だった。正午を過ぎても私の寝室から物音ひとつしないから、ばばは私が呼吸しているか様子を見に来たらしい。呼吸していてよかった。しばらく起き上がれずにいると、遠くで楽器を練習する音が聴こえる。バイオリンか鍵盤ハーモニカか分からない。風が強くてカーテンが揺れている。大好きな映画のことを思い出した。

起きてすぐに、ヨーロッパにいた間滞っていた諸々の仕事をした。請求書を送ったりメールで連絡を取ったり、時差ぼけを言い訳にしてなかなか手がつけられなかったものたち。

急遽荷物を送らないといけなくなり、歩いて20分ほどの郵便局まで行く。散歩も兼ねて外に出られて気持ちよかった。でも歩いているうちにやはり身体がとてもだるくなり、頭が痛くなってきた。この倦怠感はいつになったらなくなるのだろうか。コロナの後遺症ではなく、ただ時差ぼけでおかしくなっているだけだと思いたい。金木犀の前を通ると、少しだけ匂いを感じることができた。普段この辺りを歩いているときに感じるはずの、草や川の香りなどはまだ私には分からず、もうひと声というところ。

夜になってチューリッヒで撮影した映像を編集しようとするものの、パソコンのスペックが足りずに全然映像が動かない。向こうにいる間はルーシーのパソコンを使わせてもらっていたから大丈夫だった。やっぱり新しいものを買うべきだろうか。引っ越しもあってだいぶお金を使ったので、また大きな出費があることを考えると少し気持ちが曇る。でもパソコンは私には必要な制作道具だし仕事に必要なものでもあるから、覚悟を決めるしかないことも分かっている。

夕飯は久しぶりにじじばばと食べた。3週間くらいふたりに会っていなかったけれど、思ったより変わらない様子。それぞれ病院に行ったり眼鏡を作ったり、進んでいることはちゃんと進んでいる。それでもふたりとも元気そうなので、とりあえず今はホッとしている。

湯船の中で、真木悠介さんの『気流の鳴る音』を読む。日頃感じていることを言語化してもらっている感覚で、どんどん面白くなっていく。季節が冬に近づきお湯に浸かるようになると、私は入浴中に読書をするようになる。汗をたっぷりかけるのも心地よく、この時間がとても好きだ。これだけでもう既に夏が終わってくれて嬉しい。

今日本当は鎌倉に帰ろうと思っていたけれど、12時半に起きた時点で諦めてしまった。じじばばの家で過ごす時間は心地よいけれど、それでも体調と相談して、やっぱり明日か明後日には移動しようと思っている。


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