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■「源氏物語」日本人に読まれない理由 11月20日


「源氏物語」を最後までお読みになりましたか。口語訳でも結構です。

30年ほど前になりますが、某大学の先生のお話では、東京都の高校の国語の先生でもすべてを読んだことのある方は、100人のうち3人くらいだろうと。有名な割には日本人に読まれていないんですよね。

なぜ読まれないのでしょうか?

1000年も前の古文ですから難しいですよね。それで読まれないということが最大の理由になることは当然でしょう。しかし、それだけでは済まされない問題が現代の「源氏物語」享受の仕方にはあるようです。その問題点を指摘します。

 「いづれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに、いと、やむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり」     

(古典文学大系)

有名な「源氏物語」の冒頭文です。この冒頭文の解釈に数時間かけているような古典の授業も稀ではありません。この物語の背景となる時代は醍醐天皇の御世であるとか、村上天皇の御世であるとか。女御・更衣の説明から主人公源氏の母の話やらどういう境遇にあったとか。とにかく教えてくれるんですね。

でも、こういうことって読み進んでゆけば全て分かってくることなんです。推理小説で犯人を最初に教えちゃうことをやっている授業なんですね。ですからもはや興味も湧いてくるはずありません。

「更級日記」の作者、孝標の女が、1000年前にワクワクしながら読んだ姿を思い浮かべ取り戻すことこそ、私たちに、求められていることではないでしょうか。

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