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「結果論」「タラレバ」からの脱却

Mリーグ2週目初戦(9戦目)。
起家 瀬戸熊直樹(チーム雷電)
南家 白鳥翔(渋谷ABEMAS)
西家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家 小林剛(U-NEXTパイレーツ)

瀬戸熊氏は金曜日からの連投。今回こそ、どうしてもトップが欲しい半荘と言えるだろう。どの選手もすでに何度もこの舞台に立っており、ぼちぼち余計な緊張感などは外れてくるころ。

結果。
1位 瀬戸熊直樹 +60.9pt
2位 白鳥翔 +17.6pt
3位 小林剛 -25.9pt
4位 佐々木寿人 -52.6pt

白鳥氏との激しい接戦を制して、瀬戸熊氏が待望のトップを奪取。
佐々木寿人氏もかなりトップを欲していたはずだが、東発、いきなり瀬戸熊氏への18000点振り込みがキツかった。

東発。小林氏と白鳥氏の早い段階での食い仕掛けに対して、親の瀬戸熊氏より5順目のリーチがかかる。

一二五五(赤)②②③③④④234 ドラ4


ダマでも7700あるペン三萬のうえ、一手がわりのタンヤオ三色がくっきり見えるが、待ちはどうせ変わらない。それならば、好き放題動く小林氏と白鳥氏の足を止め、追い詰めたほうが得策と判断。とんでもない「真っ直ぐクン」たちがごり押しして来る卓だと微妙だが、二人とも「対応型」なので、足止めの効果は高い。

小林氏も白鳥氏も対応に苦しむ。しかしこのリーチに刺さったのは、手牌がまだ長い佐々木氏。8順目。

三四四四④⑥⑧35(赤)6779 ツモ⑦ ドラ4

「真っ直ぐ」なら3切りだが、四の三枚壁を頼って三打ち。ウラウラ乗って18000点に。攻守のバランス的に極めて普通の打ち方だと思うが、「攻撃的な佐々木寿人らしくない」とも思う。すでに背負っているマイナスと、チームを背負って打つ重圧とで「打ち方がブレている」と言えるかもしれない。

考えてもせんなきことながら「もし個人戦だったら……」「もし普段の寿人だったら……」と考えてしまう。このあたりがチーム戦の難しいところ。

一本場は小林氏の5順目リーチ。

三四四五六①③⑤⑥⑦44 ツモ二 ドラ1

前順に3切りのうえ⑥切りリーチなので、かなり直線的な選択をしているなぁという印象。流局して一人テンパイに。

個人的に(意味はないと知ってはいるが)「タラレバ」を言いたくなるのが、この半荘を「上下の戦い」に完全に分けた東4局の1本場。
大きめにマイナスしていた親番の小林氏が、以下の形に發を重ね、索子のホンイツへ。

八九⑤1256899發西西 ツモ發 ドラ3

このリャンシャンテンにこぎつける。

125699西西白北 發發發(ポン)

白、北を手の内に入れ、8を既に切っている。このときすでに七をポンしてホンイツもしくはトイトイの気配を見せていた下家の瀬戸熊氏に対してケアした形だ。ここに7を引いて下記のイーシャンテンとなり、北を切る。

1256799西西白 發發發(ポン) 

この北を瀬戸熊氏がポン。

二二二六六東東 北北北(ポン) 七七七(ポン) ドラ3

この仕掛けに対しての小林氏の対応が、いかにも小林氏らしい。上家による9のトイツ落としをスルーして、自らも9のトイツ落としに進む。

親マンテンパイとはいえ、ドラのペン3待ちでは白を切るリスクに見合わない、という判断だった。ちなみにその直後に自分で3を引いているので、もし9をポンして白を勝負していたら、下家の瀬戸熊氏にドラの3が流れていた形だ。瀬戸熊氏は点棒も持っていたので、おそらく切ることはないと思うが、和了りを防ぐことはできていた。

もちろん完全な「結果論」なのは、わかってます。先手を取れたときはグイグイ攻めて、点棒を持ったり、後手に回ったときには丁寧に対応。リスクとリターンを事細かく管理するこの戦術で、RTDリーグでもダントツの結果を残している小林氏なので、ここで白を切るのは小林氏ではない、と思う。

「結果論」「タラレバ」から脱却するのは大変だ……と、改めて感じた半荘だった。そういえば昔、2ちゃんねる麻雀板に「結果論を駆逐する」という戦術論スレッドを立てたなぁと思いだした。全然、駆逐できてない(笑)。



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