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"The last man"の想い

開幕戦 第二半荘(初日の2戦目)。

起家 萩原聖人(チーム雷電)
南家 鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
西家 茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家 石橋伸洋(U-NEXTパイレーツ)

萩原聖人氏が続投。残りの3チームは選手を入れ替えて2戦目へ。
「ゼウスの選択」鈴木たろう氏と、「天才すぎる女雀士」茅森早香氏。石橋プロは近年のRTDで今一つ結果を残せていないイメージの中、ドラフト最終指名者としてMリーグに滑り込んだ「21番目の男」”The last man"だ。

結果。
1位 石橋伸洋 +63.5pt(43500点)
2位 鈴木たろう +6.3pt(26300点)
3位 茅森早香 ―21.5pt(19500点)
4位 萩原聖人 ―48.3pt(11700点)

初日は赤坂ドリブンズとU-NEXTで1、2位を分けあい、セガサミーと雷電が3,4位を分け合うという、明暗くっきりの結果となった。
初戦を「最初に名前を呼ばれた男」園田賢氏が獲り、2戦目は最後にドラフトで名前を呼ばれた「21番目の男」こと石橋氏が獲ったのも面白い。

決め手になったのは東2局2本場のイッツー、ペン⑦待ちの5200点は5800点。そしてオーラス、三色を断ち切って和了ったリーチドラ3。
僅差でトップを争っていた鈴木たろう氏がイーシャンテンから④を打ち込んだのは、やむなしと言ったところだろう。むしろトップから転がり落ちて3着まで見えていた鈴木氏が、しっかり1本場を和了りきって2着を確保したところに強さを感じる。

この対局はさまざまな場面で面白い判断、仕掛けが見られた。

東1局 北家 石橋氏の手牌、九順目。
23三五七八③③④⑤⑥中西 ドラ⑨

ここから上家の出した六をチーして打中。すでに序盤に1を切っておりフリテンな上、直前に2を切っているところからも、もはや和了はキツいと判断してのテンパイ料狙いか。たぶん自分なら、2は残しておいた気がする。
とはいえ「ドラなしのフリテン片和了」での仕掛けと考えると、自分だったら声が出ていたかな……と考えてしまう。
終局後「東発で、チームメイトからヤイヤイ言われる手順でテンパイを取った」と、本人も語っていた。結果は4を引いて、役ありのテンパイに。

東4局 東家 同じく石橋氏の手牌、6順目
22457④⑤⑦⑧三六北北 ドラ中

ここから上家の出した6を567でチー。打北。やや遠い仕掛けに見えるが、実はこの時点で南家の鈴木たろう氏はテンパイ。面前ではスピード的に間に合わない、と判断したのだろうか。その判断の基準を聞いてみたい。

南2局 3順目 北家の鈴木たろう氏の手牌。
334578①①③三西西発 ツモ⑤赤 ドラ1

ここから打①。場に1枚の発でも、パッと見で浮いている3でもなく、西トイツ落しでお茶を濁すでもなく①。打ち出されてみれば普通の一打に見えるが、自分がやっていたらこの牌を打ち出せるか、今一つ自信がない。

南3局 2順目 南家の石橋氏の手牌。
四四11258①②⑥⑧白白 ツモ4 ドラ9

ここから打②。面子自体は足りていると判断し、ドラ9のケアのために8を残して、①②のペンチャン落とし。解説の多井プロが「ごはん3杯食べられる」と語った1打だ。直後に首尾よく7を引いて両面を作り、白を仕掛けたうえで、鈴木たろう氏より6で和了りきる。345を鳴く前に安全牌を残して8をツモ切りするなど、細かいケアも効いていた。振り込む直前にドラの9を止めていた鈴木氏もさすが。

また、疑問手もいくつかあった。
東1局 9順目 起家の萩原氏の手牌。
四四四11233467⑧⑨ ツモ1 ドラ⑨

イーシャンテンとして、もっとも手広いのは、明らかに打3。しかし場況的に切りづらいと考えたのか、4を切ってかなり手狭にしてしまう。次順、テンパイ逃しとなる6を引く。開局直後の親番でもあるし、素直に打っても良かったのではないかと思う。

さらに東2局、12順目。親の鈴木たろう氏のリーチに対して、ピンフドラ1のイーシャンテンから間4ケンの⑧を推した茅森早香。結果的には通ったものの、プロの対局ではあまり見ない「強い打牌」に思えた。

無論、外から見ている自分ではわからない要素もあるだろうし、打ち手なりの判断基準もあるだろう。この場面のこの1打(もしくはこの副露)に関して、打ち手が何を考えていたのか。将棋のような「感想戦」があると面白いと思う。もしくは視聴者の質問フォームを作って、プロが解答してくれるようなシステムを作ってもらえたら、テンション上がるんだけどなぁ……。
(プロ側と運営側の負担がとてつもなく増えるから、難しいだろうけど)

今日は対局がありませんね。
2日目の対局については、また明日に上げると思います。



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