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リードは守るものでなく

Mリーグ二日目 第二半荘
起家 勝又健志(EX風林火山)
南家 多井隆晴(渋谷ABEMAS)
西家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家 園田賢(赤坂ドリブンズ)

初日の開幕戦でトップを取った園田氏が再登板。佐々木寿人氏は連投で、EX風林火山と渋谷ABEMASは選手を入れ替えてきた。注目は渋谷ABEMASの多井氏。ドラフト時、麻雀プロの現状に詳しい友人たちが口を揃えて「100%、ドラ1で消える」と言っていた「最強最速の男」だ。

結果。
1位 多井隆晴 +75.4pt(55400点)
2位 勝又健志 +4.1pt(24100点)
3位 佐々木寿人 -21.6pt(18400点)
4位 園田賢 -57.9pt(2100点)

多井が東発に和了った3000-6000は、手材料にあまりに恵まれた一撃だった。しかし園田氏の先行リーチに正面からぶつけて和了りきった、東2局平場の2600オールには強さを感じる。

西家 園田氏 22000点持ち
三五②②②④⑤⑥33678 ドラ東

七を切っての6順目即リーチ。直前にドラの東を切って音なしであることを確認したうえでのカンチャンリーチ。この「即断」が意外と大切で、迷った末のリーチだと「愚形かな?」と見抜かれてしまう、と解説の小林氏。旨く他家がひるんで真っ直ぐ打てなくなれば、しめたもの。

しかしそうは多井氏が許さない。

東家 多井氏 37000点持ち
二三四445(赤)6799九九九 ドラ東

先行リーチに危険な③を切っての追いかけリーチ。49のシャボ待ち。こちらは少し逡巡していたように見えた。まだ東2局とはいえ、跳満和了って現在トップ目の状態から、この愚形リーチは勇気がいるところ。結果、4をツモって2600オール+リーチ棒1000点の収入に。

驚くべきは、多井氏が試合後のインタビューで語っていた内容によると「こういう時の園田のリーチはどうせ愚形だろう」と見抜いていたこと。対戦相手を深く研究することで有名だという多井氏の目に、何が見えていたのかを知りたい。

さらに南1局1本場。

南家 多井氏 46900持ち
④⑤⑥⑧⑨12456789 ドラ4 ツモ1

⑧⑨を重ねてペン3イッツー狙いが本線の中、1をツモ。2を切ってペン⑦の先行即リーチ。⑦を余らせてテンパイとなった園田氏からロン、裏が乗って5200点。先の例よりさらに素点を積み増しした中で、役ありに持って行けそうな手牌でも愚計で即リーチ。恐らくこのリーチに関しては、先行でなければかけなかっただろう。「リードは守るものでなく広げるものだ」。『ノーマーク爆牌党』(片山まさゆき)の八崎の名言が頭に浮かぶ。

過去の3半荘、先行する者が決して逃げきれない展開が続く中で、この厳しい面子では多少のリードでは意味がない、という判断だろう。コレがことごとくハマり、強さを見せつける形となった。
逆に園田氏は、攻撃をすべて迎え撃たれたり交わされたりで、圧倒的に巡り合わせの悪い半荘だったといえる。

多井氏には「愚形テンパイで行くべきときと自重すべきとき」の判断基準を言葉にしてほしい。もちろん山の状況や他家の進行など、複雑な要素が絡み合っていることはわかるが……。

正直、古い戦術から根本的なバージョンアップができていない自分が、今一番「プロたちの対局」を観ていて驚くのは、この「愚形リーチが多いこと」、そして「仕掛けの決断の速さ」だ。ともに打点よりも、スピードに関わる部分。Mリーグの各チーム80戦を観ていく中で、ちゃんと言語化できるところまで学んでいきたいと思う。

昨日の3日目の対局はチラリと生で観ました。いや面白かった。
明日、また更新します。

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