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見応えしかないオーラス

Mリーグ3日目 第1半荘(5戦目)
起家 朝倉康心(U-NEXTパイレーツ)
南家 前原雄大(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家 二階堂亜樹(EX風林火山)
北家 白鳥翔(渋谷ABEMAS)

朝倉氏は「ASAPIN」のハンドルネームで「天鳳」の初代天鳳位として名を上げ、プロ入りした「ネット麻雀の申し子」。逆に二階堂氏は、私の記憶が確かならば、まだネット麻雀もほとんどなかった時代である中学卒業後、すぐにこの道に入った女性のはず(プロ歴を見たら、プロ入りはもう少し後になっていたので、公式にはそうなのかもしれないが)。カッコイイよね。なにより、ただ「若くてかわいい女の子」ってだけチヤホヤされる業界で、20年近く研鑽を積んで、トッププロとして走り続けているのがカッコいい。

結果。
1位 白鳥翔 +64.7pt
2位 朝倉康心 +15.2pt
3位 二階堂亜樹 ー29.0pt
4位 前原雄大 -50.9pt

展開としては朝倉氏が東発の一人テンパイ⇒4000+100オールで先行するも、二本場に前原氏による驚きのリーチがさく裂。

東1局2本場 13順目
一三⑤⑥⑦22678七八九 ツモ二 ドラ①⑨

12順目リーチから、まさかの一発ツモ。裏ドラ九が乗り満貫に。
役ナシ、ドラナシのカンチャン待ち。コレが噂の前原氏しか打てない「ガラクタリーチ」・・・・・・。順目も遅いぞ。なぜ和了りきれるんだコレ。。
しかもラス牌らしい。。二をツモって来たとき、解説も実況もうめき声を上げてたぞ(笑)。

西家の二階堂氏からの、発暗カンの6-9待ちリーチ
四五六七七七78白白 発発発発(暗カン)
さらには北家の白鳥氏のダマ
三四四五五六③⑤34566
この二人の攻撃をかいくぐってガラクタリーチで和了り切るとか、喰らった方のショックは推して知るべしだろう。

しかしそこからは、白鳥氏の独壇場に近い展開となる。
東2局は5順目、西家から
二二1236799白発西西 ドラ4 
対面から出た西をポンして、二切り。ノミ手を嫌い、ドラ色のホンイツに向かう。他家から攻撃を受けるもドラの4を引き、8をチーして発単騎でテンパイ、ツモ和了り。

東3局に前原氏の700‐1300を挟んで親番。この局が圧巻だった。

東4局 北家の前原氏が、お手本のようなリーチをかける。5順目。
四四六六③③④④22南南北 ドラ四
捨て牌は「一⑨西3二」と、極めて普通。七対子だとはとても読めない。北は場に一枚切れ。残り二枚は山にあった。かなり和了れそうなリーチだ。

白鳥氏は四順目
四④⑤⑤赤⑧⑧⑧367899 ツモ⑦ ドラ四
この⑦をツモ切り。⑥の二度受けを避けてシャンテン数を戻す。次順に⑥を引き③⑥待ちのテンパイを逃したところに、前原氏からのリーチがかかった形だ。後手を引いた感覚があったかもしれない。

しかし、ここからが見事だった。前原氏のリーチの一発目に、現物の3を切らずに、歯を食いしばって八をツモ切り。場に悪くない索子に和了りを求めた。この一打、実はなかなか打てないよ。

9順目、残した3に4をくっつけ、ドラの四を勝負して追いかけリーチ。
5をツモって裏ドラが乗り、4000オールに。
③⑥受けを避けて浮かせ打ちし、後手を引いてもリーチの現物をひよって切らずにその牌にくっつけ、和了り切る。この手を和了りまでもって行ける人、実はかなり少ないと思う。

そこから5800は6100、二着目直撃の3900などでトップ目を盤石に。和了りに向かった局は和了りきり、行くべきではない局面では、手が進んでいても攻撃を受けたら即、店閉まい。こういう人には、なかなか勝てない。

気づけば南3局には46800点持ちで、二着目の朝倉氏は19700点。オーラスは自分の親。もう盤石に見えた。しかしこの南3局一本場で朝倉氏が2000-4000をツモ和了り、オーラスにハネツモ条件まで漕ぎつける。

このオーラスも見ごたえがあった・・・・・・。

点棒状況。
トップ目(親) 白鳥氏 44700点
二着目(南家) 朝倉氏 28000点
三着目(西家)前原氏 15300点
四着目(北家) 二階堂氏 12000点

二階堂氏も南三局の親番で4000オールを和了り、箱寸前から上の着順を狙えるところまで粘りこんでいるのが素晴らしい。

朝倉氏はハネツモトップ、リーチ棒が出たら満直でもOK。
前原氏は二着までハネツモ、満直。仮に朝倉氏を含めた二人からリーチがくれば、満貫ツモでも2着となる。
二階堂氏は3900点で三着。仮に朝倉氏からリーチ棒が出たら、ハネツモで二着まで見える。トップ目の白鳥氏は配牌に北の暗刻があることもあり、無理せずに守備的に手を進める選択をする。

最初にテンパイが入ったのが二階堂氏。
五六七①②③⑤⑥⑦⑧⑨44 ドラ4
ダマでも高めツモ跳満、安め出和了りでも3900で三着条件は満たす。二度受けの⑦を引いてのテンパイだからって、勢いでリーチに行くようなことはしない(自分ならしてそう)。

続いて朝倉氏。
156①①②⑤⑤赤⑧六七七中 ドラ4
この配牌から手順をひとつも間違えることなく手を進め、13順目。

五六七七八①①①④⑤赤⑥56 ドラ4
このイーシャンテンに絶好の四を引き、八切りでリーチ。
(これ仮に4引いてテンパイしたら、八切りで四七待ちかな? ①切って六九待ちのほうが明らかにいい待ちだけど、ツモ裏一が必要になるし・・・)

四五六七七①①①④⑤赤⑥56 ドラ4

高めの4を引けば、リーチツモ三色ドラ2で跳満の手を作り上げる。しかし残念なことに、ドラの4はすでに他家がすべて使い切っていた。

このリーチを受け、ツモハネ2着の条件となった二階堂は、ツモ切りで追いかけリーチ。ダマでも④ツモなら跳満だが、⑦直撃でもOKとなったので、当然の追いかけだ。

さらに三着目の前原氏にも手が入っていた。

一二二五赤六⑥⑦⑧45赤6南南 ツモ三 ドラ4

二人に危険牌とはいえ、ここでは降りられない。二切りで追いかけリーチ。現時点でリーチドラ3。二着目直撃ならもちろん、朝倉氏のリーチ棒を含めて2本出ている現状なら、満貫ツモでも2着だ。

誰が誰から上がっても着順が変わる叩き合い。チームメイトたちも揃うパブリックビューイングは、ドキドキだったことだろう。

最後は前原氏が7を掴んで、朝倉氏に振り込み。朝倉氏は2着キープ。裏ドラが乗り、三着と四着が入れ替わる結果となった。
全員が正確に、そのときに狙うべき手を作り上げている面子と打っていると、本当に牌の後先ひとつで、天国と地獄。それが実感できる一局だった。

本当は今日、もう一半荘も書こうと思ってたんだけど、ちょっと力尽きました。連休のうちに1週目の分(あと3半荘)は書かなきゃ、どんどん溜まってしまうね。明日、頑張ります。



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