トレーニングマッチ 福山シティFC vs NTN岡山 小谷野拓夢監督、田中憧選手、磯江太勢選手 ゲーム後コメント


 今回の投稿は、2月22日に行われたトレーニングマッチ、福山シティFC vs NTN岡山での、小谷野拓夢監督、キャプテン田中憧選手、磯江太勢選手のゲーム後コメントをお届けする。
 結果は前半6-0、後半3-1の合計スコア9-1で福山シティFCが勝利した。
 今季の福山シティFCの戦いの道のりを記していくうえでの事前取材のひとつとして、この日のトレーニングマッチを訪れたのだが、世界規模の新型コロナウイルス感染リスクによって、すべての日程は未定となっている。
 筆者のプランでは、4月の天皇杯予選が佳境に入ったところで、この日のトレーニングマッチのことを記そうと思っていたのだが、先行きがまったく未定であること、自分に何かできることとして、この日のことを投稿しようと思った次第である。
 この日、三人が語ってくれたことに目を通していただければ幸いで、
再び平穏な日常とワクワクする週末がやってくることを願うばかりである。

・小谷野拓夢監督 ゲーム後コメント
ー今日のトレーニングマッチの結果を見ると、福山シティFCは中国リーグを充分に戦える、と思えるのですが。

「自分たちはまだ県リーグを戦っていく立場です。まず今季は県リーグ優勝と天皇杯でJクラブ相手に勝つことを目標としています。それを続けながら、来季は中国リーグをどう戦うか、地域CLをどう勝ち上がっていくかを逆算して、今年から積み上げていければいいと思っています」

ー今日のゲームでいえば、前半から立て続けに得点していき、NTN岡山はどんどん受け身になっていきました。トレーニングマッチとはいえ、ガッツリとしたファールもほとんどありませんでしたが、もっと相手に来てほしいという想いがあったのでは、と思うのですが。

「相手から来てほしいという面もありますけど、やはり相手が来る前から自分たちがパスを出せているという、いい意味での捉え方もできます。自分たちが相手に合わせずに、ゲームをコントロールできたかなとは思っています」

ー前半とは打って変わって、後半は先に失点してしまいました。どの点で前半と後半で、再現性が足りなかったのでしょうか?

「今回のテーマとして、ボールを失ったらすぐに奪い返そうというテーマを持っていました。ボールを奪うところまでは良かったです。ボールを奪い返したあとの繋ぐ局面でマイボールにできなかった、というのは何回もあったミス、再現性のあるミスでした。そこの精度を上げていかなければならないことと、相手のプレッシャーがどうきているのか。そのうえでどこが空くのかをキチンと狙いたかった。後半開始直後からそれをやりたいですね。結局、後半15分過ぎたぐらいから、それらができ始めた。より早く気づき、より早く相手の弱点を攻めるというところの再現性をより高めていくのが大事だと思っています」
「後半は、前半のメンバーから7人を交代したうえでの戦いでした。サブメンバーを含め、チーム全体としての総合力がまだまだ達しないのが課題です。ただそこで、ゲームを良くするうえで自分が外からコーチングして何か改善する方法もひとつですけど、選手たちが課題に気づき解決するための情報は予め与えているので、戦ううえで自分たちでどうするのかをあえて今日は(自分は静観した)そうしたゲームでもありました。サブメンバーという言い方はしたくないのですが、メンバーを入れ替えた中での課題のひとつかなと思っています」

ーそういった修正におけるコーチングについて今は我慢、という時期なのでしょうか。

「試合によって分けています。言わなくちゃいけないこと、そこについては言います。ただ、チームとしてこういうことをやろう、そのうえでやれていないことは選手たちで議論することも大事なことだと思っています。議論する時間、その場を与えることもひとつの仕事だと思っているので、意識的にするようにしています」

ー話は大きく変わりますが、なぜ、福山シティの監督に就任されたのでしょうか?

「ありがたいことに、いくつかのクラブからお話をいただいていましたが、やはり将来、監督業を目指したいという想いがあり、いつ監督業をスタートさせるかという自分の人生設計を考えていたタイミングで、岡本GMからお声をいただき、このクラブのビジョン、どういうプランでいくのか、日本のサッカーにどういう疑問を抱いていて、そこに対して自分たちはこういうふうにアクションしていくという明確なビジョンとプランがありました。岡本GMの熱意にやられたといっても、過言ではないですね。そこに自分の力を少しでも貸せるのであれば、というのが(監督に就任した)経緯です」

ー福山市は広島でもなければ岡山でもないと言われ、娯楽が少ないとも言われています。そのなかで、どういったスポーツエンターテイメントを考えられているのでしょうか。

「高校時代、スペインに行ったことがあり、バルセロナやビジャレアルのゲームを観たのですが、街がそのゲームに向けて数時間前から賑やかになって人々は楽しんでいるし、サッカーをやっているのかと尋ねられて、それだけでも会話が盛り上がる。子供ながら、サッカーが文化に根付いていると気づく一方で、それができている街って他にあるのかな、と。それこそ福山市なんてサッカーをするグラウンドすらなくて、自分たちはそんな環境に困っている。そういう環境を変えていき、子供から大人までサッカーが身近にある環境を作っていけば、自分たちのゲームがより注目されて、人々が集まっていくのかな、と。自分たちから寄り添っていき、街とともにサッカーを浸透させて、発展していければと思っています」


ー福山市は戦後復興の象徴として薔薇があります。福山シティFCの選手たちは、その薔薇を手にピッチに入場し、キックオフ前の写真撮影に薔薇とともに写る。これだけブランディングに特化したクラブは数少ないでしょうし、とても感動しました。

「ブランディングが強みであることはGMとも話しています。その部分はフロント業なので、自分の仕事とは少しかけ離れているのですけど、ブランディングは常に意識しながら、強みにしてやっていけたらと思います」


・キャプテン 田中憧選手 ゲーム後コメント


ー今日の結果やJリーグ昇格という目標も含めて、福山シティFCは充分に実力がある、と言えるのではないでしょうか。

「僕は去年、関西リーグからJFLへ昇格を目指す、おこしやす京都ACに在籍していましたが、やっぱりJFLはすごい大きな壁だと、僕自身も経験したうえでそう感じました。監督が言うように、まずは中国リーグを優勝して、JFLへ上がるという目標を大前提に(クラブは)動いているんだなと思っています」

ーJFL昇格に向けての大きな壁とは、どう言い表せるのでしょうか。

「サポーターの力も大きかったのかなと思います。昨季の地域CL決勝ラウンドは福島県のJヴィレッジで行わたのですが、京都よりも遠い高知ユナイテッドのサポーターの方々が多くいらしていて、些細なところかもしれないですけど、最後はそういうところなのかなと。あとは、チーム全員のベクトルがひとつに合わないと良いチームになっていかないですし、出場していない選手が腐らずチームのために働ける、そんな人があってこそ最後まで戦っていけるのだと実感しました。サッカー以外のところも大事になっていきます」

ー福山シティFCは地域課題解決型クラブであり、福山市における戦後復興の象徴としての薔薇をクラブのブランディングとして用いていますが、クラブの構想やブランディングについて何を思いましたか?

「ビジョンやブランディングについて聞いて、未来があるなと感じました。率直に(サッカーについてでは)一年ずつ、Jリーグに向けて上がっていくビジョンがあったので、それに期待してクラブに加入しました」

ーこれから有料試合もやっていかなければならないですし、そうなるとそれに見合った価値というものを提供していかねばならないと思います。田中選手はいわてグルージャ盛岡でプロ選手としていらしたわけですが、有料試合というのは当時はある意味自然のことであると思える。それを、福山シティFCではこれから作っていく、ということになる。サッカー以外のこと、プロモーション活動や営業をしていく必要があると思えます。

「まずは地域の方々に存在を知ってもらわないと興味を持ってもらえない、足を運んでもらえないので、チーム一人ひとりが、最近でいえばポスターによる告知活動をしているので、徐々に知名度や知ってくれている方は増えているのかなと。あとはSNSによる発信が多いので、そういったところでも知名度を上げていければ、というのはあります」

ーサポーターの方々はこれからドンドン増えていくでしょうし、福山市の、子供たちのヒーローの一人として、どういう存在でありたいですか?

「僕自身はこんな選手になりたい、そんな像を作りたいですね。子供たちに田中選手みたいになりたい、そういう子供たちが増えてくれたら嬉しいなと思います」


・磯江太勢選手 ゲーム後コメント


ー福山シティFCへ移籍した理由とは?

「条件面で自分と合うチームがなかなか見つからないなか、これから楽しみな、将来性のあるチームを選ぼうと思っていました。岡本GMからの話を聞いたり、(曽我)大地や敬くん(三浦敬太郎)といった元チームメイトもいて、そういったことも含めて、福山シティに決めました」

ー松江シティ在籍時、18年では中国リーグを制し、19年のクラブ史上初のJFLは辛くも残留でした。地域リーグとJFLは、どのような違いがあるといえるのでしょうか。

「やっぱり、フィジカルコンタクトと守備面です。(JFLは)組織として動くチームが多くて、そこを切り崩していくうえで苦労して、得点していくのが難しかったです」

ー今日のゲームでは、ガッツリいくファールがほとんどなかったですが、それは自分たちではどうしようもない部分で、自分たちが求めているステージへ上がっていくしかないわけですが。

「自分たちで高めていくしかないですね」

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